Hulu、Netflix、Amazon prime video……。定額制の動画配信サイトが近年次々と登場し、多くの加入者を獲得している。家で映画やアニメを視聴する手段としては、すでにネット配信がスタンダードになっているかもしれない。この流れは今後も加速するものと思われる。

その一方で、昔ながらのレンタルビデオ店(以下、ビデオ屋)は苦しい時代を迎えていると言っていいだろう。

しかし、そんなビデオ屋には「ビデオ屋にしかない味」があるということを、皆さまはご存知だろうか。今回はそんな話をお届けしたい。映画が好きな人には共感してもらえる部分もあると思うので、ゆるりとお付き合いくださいな……。

・思わぬ出会い

ビデオ屋の最大の魅力は、思わぬ掘り出し物の映画と出会うことができる点だと筆者は考えている。ビデオ屋の場合、借りたい作品が決まっている場合でも(どこに陳列されているか分からないので)店内を一定時間ウロウロすることになる。観たい作品が決まっていない場合なら、なおさら店内をウロウロすることになる。

この「店内パトロール」の過程で、「えっ、こんな映画あったの?」「なにコレ面白そう~!」「この俳優ってこんな作品にも出てたんだ!」といった掘り出し物の映画を発掘することがあるのだ。これが楽しい。

メジャーな作品を押さえるのもいいが、マイナーな作品を発掘するのも映画ファンにとっては楽しみのひとつ。そんな映画ファンにとって、ビデオ屋の陳列棚はいわば宝の山だ。ちなみに、お宝映画は棚の最下段か最上段に眠っていることが多い。

動画配信サイトでは、そうはいかない。検索すれば観たい作品をすぐに探せるし、お目当ての作品がない場合でもトップページに表示される「おすすめ作品」「レビューが高い映画」「人気上昇中の映画」などから選ぶことになりがち。

そういった特集ページに掲載されている作品は、得てして多くの人が視聴しているメジャーな作品であることが多い。マイナーな作品との出会いという点では、動画配信サイトは少し弱いのだ。


・パッケージに恋して

世の中には、「パッケージだけでお腹いっぱいになる映画」というものがある。明らかに低予算で作られたであろうC級パニック映画などが該当するのだが、実際にレンタルせずとも、そういった映画のパッケージを眺めているだけでも非常に楽しい時間を過ごすことができる。

いったい何を考えてこんな映画を作ったのだろうか? てかこんな映画借りるやついるのか? と思ったら借りられてるよ……。そんなことを考えながら、ひたすらニヤニヤして過ごすのだ。

真面目に作られた作品であればあるほど、香ばしさは増す。パッケージに書かれた日本語のキャッチコピーにも注目だ。


・映画談義に花が咲く

断言しよう。友達と行くビデオ屋は、友達と行く映画館の10倍楽しい。

映画が好きな人にとって、同好の士とアレコレ語り合う時間は楽しいもの。でも友達と映画館に行っても、結局上映中は何も話せないでしょ? せいぜい終わったあと喫茶店に行き、感想を言い合うくらいではないだろうか。

しかしビデオ屋は映画談義に花が咲く。なにせ360度、映画のパッケージに囲まれた空間だ。話題には事欠かない。「この映画オススメやで!」「コレまだ観てへんの?」「ポール・ニューマンみたいな顔に生まれたかったな~」なんて会話で盛り上がったり、自分のオススメ作品を猛プッシュしてみたり、逆にオススメ作品を教えてもらったり。そんな至福の時間を過ごすことができるのも、ビデオ屋ならではの魅力といえよう。


・ビデオ屋へ行こう!

動画配信サイト、確かに便利だ。観たい作品が借りられていたり、借りてきたDVDに傷が入っていて再生できずムキイィィィィィィ!! となることもない。そして何より「わざわざ返しに行かなくてもいい」というメリットは大きい。

かくいう筆者も 、その便利さに「これもうビデオ屋いらねえじゃん!」と思っていた時期もあった。しかし最近になって、上記のようなビデオ屋の魅力に改めて気付かされた次第だ。

映画を観るのが好きであれば、たまにはフラリとビデオ屋に寄ってみてはいかがだろうか。そこにはきっと素敵な出会いがあるはずだ。

執筆:グレート室町
Photo:RocketNews24.

▼自分のオススメ映画をプッシュしてみたり……

▼パッケージだけでお腹いっぱいになってみたり……

▼こんな顔に生まれたかったな~と思ってみたり……