今もっとも勢いのあるコンテンツと言っても過言では無い「ウマ娘」。ゲームやアニメだけでなく、リアルな競馬にもウマ娘経由でファンが増えているように感じる。そして、SNSでは連日のように何らかのウマ娘関連ワードがトレンド入り。

例えばこの記事の執筆時(2021年4月16日)は、今日が誕生日ということでナイスネイチャが特に話題なようだ。おめでとうナイスネイチャ。ところで、ウマ娘から競馬に興味を持ったトレーナーの皆さんの中に、こう感じた方はいないだろうか。「最近ウマ娘の誕生日めっちゃ多くね?

・誕生日ラッシュ

それは全く気のせいではない。「ウマ娘プリティダービー 公式ポータルサイト」のキャラクターページに掲載されているウマ娘の数は、記事執筆時点で72人(作品オリジナルのハッピーミークを除く)。

そのうち4月に誕生日を迎えるウマ娘の数は、筆者が数え間違えていなければ24人もいる。多いのは4月だけではない。3月は22人で、5月も15人が誕生日を迎えるもよう。残り11人もその前後の月だ。きっとトレセン学園の寮では毎日のように誰かのバースデーパーティ


ちなみに本日(4月16日)誕生日を迎えるのはナイスネイチャだけではない。イクノディクタス、ゴールドシチー、シーキングザパールも同日産まれだ。皆さんおめでとうございます。育成可能キャラとして実装される日を楽しみにしています。


・馬の生態

さて、なぜウマ娘たちの誕生日は3月から5月あたりに集中しているのだろうか? これに対するもっとも浅くシンプルな答えは、モデルになった競走馬たちが、揃ってその時期に産まれているからだが……(ウマ娘たちの誕生日は、モデルとなった競走馬たちと同じ)

これにもちゃんと理由がある。それは、馬が季節繁殖動物だからだ。簡単にいうと、基本的に決まった繁殖期がある動物ということ(牡馬は年中OKだが)。馬たちはまさに今くらいの時期に繁殖活動を行い、約11か月の妊娠期間を経て、翌年の同じような時期に出産する。

すると、暖かくて餌となる草木が豊富なシーズンに子育てができるのだ。仔馬もハッピー。これは馬に限った話ではなく、多くの動物が同様の理由で似たような時期に出産期を迎えるということも付け加えておこう(妊娠期間が動物ごとに違うため、繁殖期は様々)。


・北か南か

ここで中には、ひとくくりで「例外」とするにはいささか多い、このケースに当てはまらない競走馬たちの名前を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれない。

ジャパンカップを制したホーリックス(10月産まれ)は? 高松宮記念で優勝したエアロヴェロシティ(8月産まれ)はどうなんだ? 他にも……といった具合で。

確かにここまでの解説だと、3月から5月あたりが馬の繁殖や出産のシーズンだと受け取れなくもない。春から夏にかけてと、暦ではなく季節で表現する方が、より正確だろうか。

競馬は発祥の地とされるイギリスや、我々の住む日本。ケンタッキーダービーのアメリカや、凱旋門賞のフランスなど、北半球に属する国だけで行われているわけではない。南半球でも大いに人気だ

南半球の季節は北半球と逆になるため、南半球に暮らす馬たちは日本が秋から冬の時期に繁殖や出産のシーズンを迎える(あちらでは春から夏)ことになるのだ。北半球で活躍した馬でも「誕生日が冬とか珍しい」と思った時には、出生地を確認すると南半球だったりするぞ。

まあ、最近は「ライトコントロール」という、馬房内を電気で照らすことで馬が体感する昼夜の長さを操作し、より競馬的に好ましい時期に馬の諸々のサイクルを誘導する技術もあるという。もしかしたら、野生はともかく競走馬に関しては、繁殖期という概念が形骸化する日も来るかもしれないが。

ということで、ウマ娘の誕生日がここの所めちゃくちゃ多い理由について解説してきたが、いかがだっただろう。なお、ナイスネイチャは現在も北海道の浦河渡辺牧場にて、元気に過ごしているそうだ。

牧場の公式Twitterでは、彼の様子がそこそこな頻度で投稿されているぞ! まだオリジナルの方をノーチェックだったウマ娘トレーナーは、この機に見てみてはいかがだろう。

参照元:ウマ娘軽種馬育成センター(PDF)、Twitter @urakawawatanabe
執筆:江川資具
ScreenShots:Google Calendar、© 2021 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 2」製作委員会、(C) Cygames, Inc.

▼記事執筆時点(2021年4月16日正午)で最新のナイスネイチャ。


▼数える過程で作った5月分も。来月お役立てください。