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ペットとの死別は悲しい。とてもとても悲しい。最近では「ペットロス」という言葉もあるように、その死を現実として受け入れるには相当のカロリーと時間が必要だ。特に長年飼っていたペットならば尚更であろう。

約半年前のこと。妻の母、つまり私(P.K.サンジュン)の義母が飼っていた金魚が死んでしまった。縁日で買ってきた金魚がすくすくと育ち、水槽で泳ぎ続けること10年弱……。金魚のキンちゃんは、ついに天に召されてしまったのだ。

・感受性の豊かな義母

亀などを除き、多くのペットは人間より寿命が短い。つまり、私たちを残して天国に旅立ってしまう場合がほとんどである。私も小学生の頃からビーグル犬を飼っていたが、20歳の頃パク(犬の名前)が死んだ時のことを思い出すと、今でも胸がギュッと締め付けられる。

義母は感受性に富んでおり、私よりペットへの愛情が深い。ハムスターのハムちゃんが死んでしまったときはウン万円もかけて埋葬していたし、しばらくの間は声もかけられないほど憔悴しきっていた。

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・10年近く生きた、金魚のキンちゃん

そんな義母の家で金魚のキンちゃんが死んでしまったのは約半年前のこと。家に来たときは3~4センチだったキンちゃんも、やがて20センチほどに成長し、水槽の中の他の金魚が死んでしまっても、キンちゃんだけは生き延びていた。キンちゃんは水槽の長(おさ)だったのだ。

妻から「キンちゃんが死んだらしいよ」と聞いて、私も非常に残念に思った。そして同時に義母のことを心配した。先述したハムスターのハムちゃんの件で、義母の人並み外れた感受性による大ダメージを知っていたからである。

それから約半年が経った。その間に何度か会っていたが、わざわざキンちゃんの話はせず、義母の家にお邪魔した時のことだ。「そういえばキンちゃんの埋葬について聞いていなかったな」と思った私は、ハムちゃんやキンちゃんを懐かしむため、「キンちゃんはどうしたんですか?」と軽い気持ちで聞いてしまった。今思えばこれが間違いであった

・まさかの埋葬方法

私が発した言葉に、引きつる妻と妻の妹の顔。意外にも義母はニコニコとしながら台所に向かい、何かを私の前に持ってきてくれた。カッチカチに冷凍されたキンちゃんであった。そう、義母は冷凍庫でキンちゃんを凍らせていたのである……。

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もちろん、ゴミ箱に捨てるわけにはいかない。スタンダードなのは、どこかに埋めることだろう。だが、義母は常人にはわからない近未来的な発想で、キンちゃんを冷凍埋葬していたのだ。ムシムシと暑かった2016年7月のあの日。まさに何も言えなくて……夏、であった。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

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