あ〜ぁ、長引く外出自粛でめぼしい映画やドラマは見尽くしてしまったな〜。いっちょ「スポーツの名シーン」でも見て感動すっか! ということで、当サイトのスポーツ担当・原田記者がイチオシする『2015年ラグビーW杯 日本 vs 南アフリカ』を視聴してみよう。

すると……私はいつの間にか気持ちよく眠ってしまっていたらしい。やはりスポーツで感動するには選手の生い立ちや試合に至るまでの経緯など、ある程度の知識が必要なのだ。でもラグビーは1試合に30人もの選手が出場する。全員の生い立ちを調べるのは大変……。

となると、手っ取り早く感動できそうなのは…………やっぱり大相撲だよね!

・昔の相撲はマジ泣ける

スポーツにおいて多くの感動が生まれるのは “逆境から這い上がるシーン” ではないだろうか。ケガ、実力差、年齢……様々な逆境を乗り越えて戦う姿に、観客は大きな感動をおぼえるものだ。

私が初心者にオススメする “グッときやすい逆境” ……それはズバリ『貧しさ』である。昭和の大相撲界には 「入門すれば腹一杯食べられると聞いて」「母ちゃんに楽をさせたくて」といった入門理由が目立ち、経緯を聞くだけでオヨヨ……と泣き崩れそうになるぞ。

”田舎の貧しい家の子供が着の身着のままで入門 → 苦労して関取昇進” という『泣きの王道パターン』は、日本が豊かになった現在ではほぼ見られない。当時を知る世代じゃない私も、まるでドラマ『おしん』を見た時のような「がんばれ、がんばれ」という気持ちになるのだ。


・いざ検証

それでは大相撲がいかに感動できるコンテンツかを証明するため、ここで「お気に入りの取組を見て何分で泣けるか」を検証してみることにしよう。私が個人的に「何度見てもグッとくる」と感じるのは『昭和59年夏場所13日目 隆の里 対 北天佑』である。

この取組で重要なのは「北天佑が勝ったことで北の湖(兄弟子)の2年ぶりの優勝が決まった」という点。土俵際に控えていた北の湖は、優勝をアシストしてくれた北天佑と目を合わせて少し笑う……この場面、控えめに言って死ぬほど胸アツなのだ。

北の湖がここまでにメチャクチャ苦労したこと、これが最後の優勝であること、登場人物がすでに全員亡くなっていることなどを考えると…………クーッ! 日本人なら絶対にグッとくるものがあるハズ!


もう1回見てみよう……



ク、ク、クーーーーッ!



もう1回……



あっ!


涙デタ!!! 記録は7分ちょい!!!!!


・お分かりいただけただろうか?

検証の結果、やはり「大相撲は泣ける」ということが立証されたと言っていいだろう。「ちょっとマニアックすぎる」とお思いの方には『平成15年7月場所8日目 朝青龍 対 高見盛』がオススメだ。アレは予備知識ゼロでも感動できるだけの画力がある。

ちなみに今回なぜ私がここまでして昔の大相撲の良さをアピールしているのかというと……実は相撲協会の公式YouTubeチャンネルで昨年12月から『大相撲アーカイブ場所』というサービスが始まった。これがかなりイイということを、是が非でも皆さんに知ってほしいのだ。

このサービスのすごいのは、過去の場所の『幕内全取組』を視聴できるという点。「飛び抜けた名勝負」と呼ばれるものはDVD等で見られるが、「ひと場所15日間の全取組を公開」は前例がない。1日分あたり20〜30分にまとめられているから、長い仕切り(立ち合いまでの所作)で眠くなる心配もなし。

アーカイブ場所は現在『昭和56年 初場所』と『昭和39年 初場所』が公開されている。その他の場所についても今後順次公開予定だから、私の好きな『昭和59年夏場所』もそのうち見られるだろう。月額990円と少しお高めだけど、相撲好きならマジで見て損はないぞ〜!

参考リンク:相撲協会公式YouTube
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.