無限列車編が絶賛放送・配信中の「鬼滅の刃」。最速で放送される日曜日には、ネットも鬼滅の話題一色だ。筆者も1日遅れではあるが、アマプラで見るのを毎回楽しみにしている。

そんな鬼滅だが、TVにて2話の放送があった先の日曜日に、ネットではやや不穏な方向で鬼滅関連の話題が燃え上がっていた。火元は某SNSに投稿された、作中にて煉獄さんが食べていた弁当と酷似する、とある焼肉屋の弁当だ。

・謝罪&パッケージ変更済み

一応参考までに、煉獄さんが食べていた弁当について説明しておこう。中身は牛鍋弁当で、真ん中に牛のシルエットと「牛鍋辨當」という文字が書かれたものだ。全体的なカラーリングは、煉獄さんの髪やマントに似た赤やオレンジっぽい色。

鬼滅の刃のアニメ化を担当したアニメ制作会社「ユーフォーテーブル」の公式Twitterにて、オフィシャルのコラボカフェにて販売していた「本物」の写真が2020年10月20日に投稿されている。そちらを見るのが早いだろう。



そして、今回話題となった焼き肉屋が販売していた(2021年10月18日付けでHPにて謝罪および、パッケージ変更済み)、煉獄さんの弁当に激似の「牛鍋弁当」がこちら。


これは食ってみるしかねぇぇえええええ!!! と、色々な意味で思ったため、即予約した筆者。ちなみにこの弁当は、2021年3月23日から登場した新商品だそうだ(ページは削除済み)。


炎上する前のホームページについて、筆者はその後の展開を予想して独自にアーカイブしておいたため、当記事で掲載しているスクリーンショットはそこからのものだ。今はもうページが変更・削除され、アクセスすることはできない

鬼滅よりも前に出ていたら、ガチに煉獄さんの弁当のオリジナルな可能性もあっただろう。しかし、実際には鬼滅よりも後。つまり、限りなくブラックに漸近するグレー……と思っていたら、上述の通りHPで謝罪およびパケ変更したため、ブラックだったと思われる。

ちなみに筆者は18日に最速で予約。その時はまだHPも変更・削除前で注文できたのだ。しかし当日中にお店側から電話があり、パッケージを変更する旨を通達された。筆者側で、それでも構わないと伝え、19日にテイクアウトというのがゲットまでの流れだ。


・満席

店舗は飯田橋駅からほど近い場所に、2つあるもよう。テイクアウトに指定されたのは道路に面した小さい方の店舗(もう片方はそこそこ広そう)で、店内はカウンターのみで8席。

筆者が訪れたのはちょうど昼時だったが、満席だった。メニューは主力と思われるのが「黒毛和牛贅沢重」で、グレードが松(2200円)・竹(1650円)・梅(1100円)の3種(値段に誤りがあったため、10月21日付けで修正しました)。他には、お値段6600円の「贅の極み重」というのがあるもよう。

客層的には、比較的高収入かつ中高年がメインだろうか。鬼滅の刃どころか、アニメ自体全く見ない人たちがほとんどだと思う。恐らくテイクアウト品がネットで絶賛炎上中だったことも知らないだろう。その後も客足は途絶えることが無かったため、それなりに繁盛しているのではなかろうか。

わざわざ鬼滅人気に乗っかって、縁遠い層向けにアピールする必要は無かったんじゃないかな……と思わなくもない。もしかしたら、新規顧客層を開拓したかったのかもしれないが。


・牛鍋弁当

それではいよいよ、件の弁当を見ていこう。パッケージは変更され、真っ白だ。牛のイラストもない。


ちなみにサイズはこんな感じ。


蓋を開けると、中はほぼ写真通りだった。


パッケージのパクリはアウトだが、弁当に罪はない。もう謝罪済みだし、鬼滅公式からも、特に何もなさそうだしな。弁当のクオリティは、公正にレビューしていこう。

肉の他に具材は、麩(肉に見える)、玉子、豆腐、ネギ。どれも味がよく染みていて、はっきり言って美味い! お値段は1500円とそれなりなので美味くて然るべきだが、何にせよ美味い。


そして肝心の肉は、良い感じに柔らかい。すっと入って、溶けるように口の中で肉がほどけていく。クオリティは間違いなく本物だと思う。別に煉獄さんじゃなくとも「うまい!」と言うだろう。


世に出回る、他者の人気に便乗したグレー~ブラックなその手の商品というのは、クオリティが低いのが常。めちゃくちゃ正直に述べると、筆者も今回の弁当について「糞パクリ商品など、どうせクオリティも糞なのだろう」的な先入観を持っていた。

しかし食べてみるとどうだ。美味さは本物である。これはケチのつけようがない。ぶっちゃけて言うと、たぶん一般的に多くのアニメのコラボカフェ等で出るコラボ料理等よりも美味い。(ユーフォーテーブル公式の煉獄さんの弁当は、もしかしたらもっと美味いかもしれないが)

美味かったので弁当箱の内側を舐めるように細かな肉片まで食べてしまった。典型的な「良いお値段がするお店の味」だ。まあ、良いお値段するし、ここはそういう店が多い神楽坂だし、こう言うクオリティでなければ生き残れない感はあるけれども。


しかし、なまじクオリティが良かったがゆえに、なおのこと此度の「やらかし」が残念だ。すでに上で似たようなことを書いたが、これだけのものなら、一時の話題に乗っかって安易にリスキーな売り方をする必要は心底無かっただろうに。

当の焼き肉屋には、此度の過ちを真摯に受け止め、今後はクリーンな宣伝スタイルで頑張っていってほしい。そのようなことをせずとも良い評価を得られるであろうレベルの美味い料理を提供しているのだから。

参考リンク:Twitter @ufotabkecafe翔山亭
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼オフィシャルによる「本物」な煉獄さんの弁当