2019年5月1日、新元号がスタートするその日まで、あと約20日。平成の終わりが近づいて来ている。そんななか、早くも新元号の「令和」を冠したお店が誕生したとの情報を得た。

マッサージ店とのことなので、早速そのお店に行ったところ、私(佐藤)は令和が持つ本当の意味を知ることとなったのである。令和、深い……。

・外国人の女性スタッフ

お店は関東の某所にある。開店時間を調べ、その時間にお店を訪ねると、たしかに営業している。


どうしてお店の名前を新元号にしたのか? 新元号についてどんなイメージを持っているのか? そのほかいろいろ尋ねたいことがあった。

店に入ると、そこにはスタッフと思われる女性が1人。「いらっしゃいませ」と招かれると、すぐにマッサージの案内をされた。とても物腰が柔らかく気さくな女性だったのだが、外国人の方で日本語はあまり得意ではない様子。


佐藤「すみません、マッサージもお願いしたいんですけど、お店の名前についてもお聞きしたく……」

スタッフ「ごめんなさい、私はあまり日本語が上手ではないです……。店長さん、17時来ます」


弱った……。まだ6時間もある。どうしようか……。さすがに6時間もブラブラしている訳にはいかない。


佐藤「あ、そうだ。あとで電話します」


スタッフ「店長さん、17時に来ます」


佐藤「ですから、あとでここにお電話をしようと……」


スタッフ「私、あまり日本語、上手じゃない」


・マッサージのスペシャリスト

とりあえず、今はもうやめておこう。「大丈夫です」と伝えて、とりあえずマッサージを受けることにした。

45分で4300円。5000円札を出すと、1700円のお釣りを渡されたので、「1000円多いですよ」とお返しすると、「ああ、ごめんなさい」と、恥ずかしそうに笑った。

それから、45分間のマッサージを受けた。最初はちょっと不安だったが、次第にその実力がかなり高いことを感じることができた。身体のコリを丁寧にほぐし、「ここ痛いでしょ」、「こっちも痛いでしょ」と的確に指摘しつつ、その痛いところを和らげていく。


こ、この人、出来る!


まるで私の身体に「問い」を投げかけて、施術によってその「答え」を導き出しているようだ。普段はデスクワーク、週3でポールダンスの練習をしている私の身体は、疲労が溜まってガチガチになっていた。身体バランスはバラバラになったパズルと同じ。それを1つずつ丁寧に組み上げてもらっているようだ。

言葉はそこまで通じ合わないかもしれないけど、マッサージを通して何かわかり合おうとしている気がする。


・17時に電話

そうして、アッという間に45分間が過ぎた。終えた直後は、ややもみ返しで身体が少し痛かったが、時間が経つにつれて、身体が軽くなっていくことがわかる。おお! なんて軽やかなんだろう~!


念のため17時にお店に電話する旨を伝えて、店を後にした。


<6時間後>


お店に電話をしてみると……。

佐藤「もしもし、本日お伺いした者なんですけど」



スタッフ「ああ~、ハイ。わかります」


てっきり店長さんが出てくると思ったら、先ほどの女性スタッフじゃないか! 彼女はこう言う。

スタッフ「店長さん、18時に来ます」

佐藤「わかりました。その頃にまたかけます」


<さらに1時間後>


突然私の電話が鳴り出した! 普段一切電話がかかって来ることはないのに、なんだッ!!

佐藤「もしもし、佐藤です」


電話口の向こうから聞き覚えのある声。

この声は……。


スタッフさんじゃないか! スタッフさん、どうした? 何かあったのか!?


スタッフ「店長さん、今日来ません」


なんてこった……。こんなに待ったのに………。


しかしながら、私はこの時、残念に思いつつも こうも思った。ありがとう、スタッフさん。わざわざ電話をかけて来てくれて。日本語が上手ではないことを自分でも承知しておきながら、私に電話するのは、さぞ勇気を要しただろう……。


ハッ!

私はこの時に気が付いた!!



もしかして、これが令和なんじゃないのか? 言葉の壁を越えて、外国の人とわかり合うこと、助け合うこと。これこそが令和、そう「Beautiful Harmony(美しい調和)」なんじゃないのか?


なんて素晴らしい言葉なんだろう。私はあの女性スタッフと美しい調和を垣間見ることができた。これから2020年に向けて、人々はビューティフルハーモニーを奏でていくに違いない。そして東京オリンピックが成功することを願う。がんばれ、ニッポン!

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
Screenshot:iOS「再現CGメーカー」