「人気店」といわれる飲食店の味なら、誰だって1度は食べてみたいはずである。私(佐藤)もそういうお店が1つや2つはある。その1つが、埼玉県熊谷市のかき氷の有名店『慈げん』だ。ここは「日本一ウマい!」と言われる人気のお店。

1度トライしようと思ったのだが、あいにくお休みで、そのまま機会を得られずにいた。ところが! 2018年3月7~12日の日程で新宿高島屋に出店しているとの情報を得た。早速行ってみると、行列の難易度が高すぎる!! しかも競争の激しさに震えあがってしまった。ちょっとコレは……。

・開催初日

高島屋では3月7日から6日間の日程で、『グルメのための味百選』という催しを11階の催事場で行っている。慈げんが出るというのはかなり珍しい話で、「ぜひともかき氷を食べてみたい!」と思い、開催初日の14時すぎにお店にたどり着くと……

超激混み! 催事場を取り巻くようにして長蛇の列ができていた。この時の待ち時間は、なんと3時間!

この日は諦めてあっさりと退散。


・開催2日目

翌日再トライ! 今度は10時半頃に行ってみる。10時に高島屋が開店したばかりなので、それほど並んでいないだろうと思いきや!!

ウソーッ!! すでに50人くらいいるじゃないか!? 係の人に尋ねると、1時間半待ちと言うじゃないか。平日の午前中からかき氷を食うために並ぶ人がこんなにいるの?

ダメだ、開店前に来なくては……。


・3日目でようやく!

ということで挑戦3日目は、9時に高島屋の玄関に到着。すでに5人いたけど、これなら安心して入れるだろう。少なくとも1巡目で店内に入れるはずだ。

3日目にして、ようやく食べられる兆しが見えてきた。1時間くらいの行列なら楽勝だ。ちなみに高島屋に入ることができるのは10時で、慈げんのイートインスペースが開くのは10時半。まあ、1時間も1時間半もそんなに変わりはないだろう。


・行列のプロ

それよりも気になったのは、周りの人たちだ。行列に並んでいる人の9割が女性。スイーツ好き、かき氷好きの女性たちなのではないだろうか。なかには年配の親御さんと並んでいたり、小さな子どもを抱えて並ぶ人たちもいる。1時間も突っ立てるのは結構しんどいと思うが、それほどかき氷を欲しているのだろう……。オッサンの私は割と丈夫だし、iPhone行列に比べれば “屁” でもなかった。


だが、その考えはかなり甘かった……。


・10時に開店すると……

高島屋前の行列は次第に伸びていくなかで、店内のスタッフは着々と開店準備を進めて行き、順調に段取りが整ったところで時計の針は10時ちょうどを指した。


そして……

高島屋の自動ドアが静かに開くと……


それまで「あ~、まだかな~」とか「どのかき氷食べる?」「写真撮ろうね♪」なんて和やかに話していた人たちが豹変(少なくともそう見えた)し……



ギャーーーッ!! と絶叫するような勢いでエレベーターに向かって駆けだしたのである。スタッフの「走らないでください!」という声は、その耳に届いていない。血相を変えて走り出す人々の姿に、こちらは血の気が引く思いがした

せき立てるようにして後から後から押されて、いくぶん速足でエレベーターに乗り込んだ。しかし、その殺気立った状態はまだ続く。エレベーターに乗ったのは良いのだが……。


・我が目を疑う

誰もエレベーターの奥へと進もうとしないのだ。奥に入ってしまうと、11階に到着した時に、エレベーターから降りるのが遅れてしまうからだ。入り口に立って、その立ち位置を譲ろうともしない。

当然11階についても猛ダッシュ。驚いたのは11階だというのに、エスカレーターを駆け上がって、エレベーターを追い抜いている人たちがいることだ。その速さもヤバいが、もしも転倒したらと思うと……。

・味わうどころじゃない……

なんとか、列の15番目くらいで店前まで来たのだが、その頃にはすでにかき氷を食べる気持ちが減衰しており、戦慄に身震いが止まらなかった。

途中で、緊張と興奮で顔をひきつらせた女性が盛大に転倒する姿を見た。比較的若い感じの女性だったが、もしもそこそこ年配の女性だったら、弾みで骨折する可能性もなくはない。そこまでして食べるものなのか? と思ってしまった。


・トータル2時間半

初日は注文数の制限がなかったらしく3時間待ちになっていたが、2日目から1人2杯の注文制限を設けていた。それでも、私が入店してから店を出るまで、2杯注文して1時間を要した。トータル2時間半をかけて人気店の味を口にすることができた。

この様子だと、土日は確実に混雑が予想される。高島屋のお店に行ってみたいと思う人は、長時間の行列を覚悟した方が良いだろう。

・整理券制にした方が良いのでは?

そしてできれば、高島屋の方には、行列の管理をしっかりとして欲しいと思う。せめて整理券を配布して、高島屋に入る前からある程度列を制限し、1日のオーダー数に上限を設けないと、また明日行列ダッシュが繰り返される気がする。危険だと思ったので、帰る時にインフォメーションカウンターで「整理券制にした方が良いのでは?」と一言伝えておいた。

あの行列ダッシュは、コミケの時の国際展示場駅さながらだ……。

なお、慈げんの熊谷の店舗では、時間制で整理券を配布しており、店前で長時間待たなくても良い工夫をしている。これにならって、高島屋の方でも工夫をしてくれると良いと思うのだが。正直、安心してかき氷を味わうことができなかった……。

・イベント詳細

名称 グルメのための味百選
会期 2018年3月7~12日
会場 新宿高島屋(東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目24−2)11階催事場
時間 10:00(イートインは10:30)~20:00(9・10日は20:30、最終日は18:00)

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24