2019年12月20日、ついに映画『スター・ウォーズ / スカイウォーカーの夜明け』が公開される。当サイトでは公開を記念して5連続インタビューを敢行中だが、今回は第3弾! C-3PO役の「アンソニー・ダニエルズ」のインタビューをお届けする。

金ピカ翻訳ドロイドのC-3POは、R2-D2と並び全シリーズに登場している人気キャラクターで、役者に限って言えばアンソニー・ダニエルズが唯一のシリーズ全出演を果たしている(R2はCGになったこともあるため)。40年以上もスター・ウォーズに携わり続けてきたアンソニー・ダニエルズは、まさに “レジェンド” である。

・THE レジェンド

現在、アンソニー・ダニエルズは73歳。ご高齢と言っても差し支えない年齢であるが、本作「スター・ウォーズ / スカイウォーカーの夜明け」でもC-3POの中に入り、金ピカドロイドを演じている。


母国イギリスでは政治家との顔も持つ彼は、この40年間でスター・ウォーズに、そしてC-3POに何を捧げ、そして何を得てきたのだろうか?


──レジェンドにお会いできて光栄です。

「それはどうもありがとう。今日にインタビューは英語でいいのですか?」

──残念ながら私は英語が全くできないので、通訳さんを介してお願いします。

「C-3POは600万以上の宇宙言語を理解するプロトコル・ドロイドなんですが、なぜか日本語だけには対応していないのです(笑)」

──おお、3POジョーク! これはあなたしか使えないジョークですね。ではさっそく質問させていただきます。

「どうぞ、よろしく」


・過去作と今作の違い


──あなたはシリーズ全作に出演している唯一の人物ですが、過去の3部作の終わりと今作はどのような違いがありましたか?

「今作でスター・ウォーズは本当の本当に終わりです。エピソード6が終わったときもスター・ウォーズは終わったと思ったし、それはエピソード3も同様でした」

──はい。

「でもそれは大間違いでした。ただ、スカイウォーカーの夜明けで本当にスター・ウォーズは終わりますし、とてもいい終わり方をしていると思います。またストーリーが完結したことで、新たなスター・ウォーズの扉を開くことも可能になったのではないでしょうか」

──なるほど。予告編で3POは改造されているような描写がありましたね。前2作と役割が変わることはあるのでしょうか?

「フフフ。あるかもしれませんね」

──言えませんよね。では、撮影面ではどうでしょう?

「それはだいぶ変わりました。実は監督が3Dプリンターのコスチュームを発注してくれたのです。これは今までのどのコスチュームよりも快適でした」

──そうなんですね。

「特に頭部のマスクは大きく違いましたね。エピソード4で初めて3POのマスクを付けたときは、それだけで30分かかりました。大変な作業なのでジョージ・ルーカスも私にはマスクを取らせたくなかったようです(笑)」

──それは大変だ。

「実際に撮影初日は1日中3POのマスクを付けっぱなしでした。でも今回は5秒で取り外しが可能になったのです。しかも顔は美しいままなので、言うことはありません」


・C-3POに与えられたものと与えたもの


──それは大きな進化ですね。では次の質問です。少々難しいかもしれませんが、C-3POというキャラクターはあなたに何をもたらしてくれたのでしょうか?

「ふーむ、そうですね。まず私の人生を変えてくれました。そしてとても奇妙な体験をさせてくれました。それはとても素晴らしいものだったと言うことが出来ます」

──ふむふむ。

「でも1番大きいのは友情をくれたことでしょうか。私と3POの友情です。私は彼のことが大好きなのです。あれほどのおしゃべりとは、さすがに毎日一緒にいたくはありませんが(笑)」

──おお……。では、あなただからこそC-3POに与えられたもの、もたらせたものは何なのでしょうか?

「……ある意味で、私は彼に人生を捧げたのかもしれません

──人生……!

「もともとの彼はプラスチックと金属のガラクタですよね。それを人間の形に組み立て、動くようにし、そして感情と声を与えたワケです。そういう意味では、私が彼に命を吹き込んだとも言えるのではないでしょうか」

──おっしゃる通りです。いまあなたのお話を伺っていて、声が3POそのものなので感動しています。

「こうするとさらに3POっぽいかな?」


※ここで突然立ち上がり、3POの動きをしてくれた!


──おおおおお! なんともったいない……!! 感動で言葉が出てきません。

「ハハハハ」


・もし40年前に戻るとしたら


──では次の質問をさせてください。C-3POは非常にユニークなキャラクターですが、スター・ウォーズは3POにも負けない個性的なキャラクターが多いですよね。

「はい、スター・ウォーズの魅力的なところですね」

──そこで、もしあなたが40年前に戻り、ジョージ・ルーカスから「好きな役を選んでいいよ」と言われたらどのキャラクターを演じたいですか?

C-3POですね(即答)

──オオオオオオオオオオ!

「彼は非常に個性的な存在です。敵でもなければヒーローでもありません。独特な立ち位置にいるキャラクターなのです。40年前、初めて脚本を読んだとき、唯一好きになったのがC-3POでした

──へぇぇぇぇえ。

「彼はとても複雑です。常に緊張していて、ディフェンシブな性格ですよね。危険に対して非常に敏感で、臆病ではないんですが、何かあるとすぐに逃げ出そうとします。彼のユーモアセンスが全く無いところも私は好きですよ(笑)」

──私も好きです。

「いつも真面目でシリアス。そして翻訳とエチケットという全く無用の能力を与えられている。本当に複雑なキャラクターです」

──確かにそうですね。

「これはエピソード4のときにジョージ・ルーカスが言っていたんですが、3POとR2-D2は黒澤明監督の “隠し砦の三悪人” に登場する農民を参考にしたキャラクターです」

──はい。存じております。

「農民たちにとっては起こる全てのことが困難です。それは3POも同じで、3POには数々の困難が待ち受けています。ただ、そこが観客の共感を呼ぶのではないでしょうか」


・ルークに感謝していること


──わかります。でもまさか、それでもC-3POを選ぶとは……。2年前にマーク・ハミルに同じ質問をしたら「ダース・ヴェイダー」だと即答していましたよ(笑)。

「それはわかる気がします。ルーク・スカイウォーカーは演じるのがもっとも難しいキャラクターですからね。ハン・ソロは小悪党でヴェイダーは絶対的な悪、その他のキャラクターもクレイジーな一面を持っています」

──確かにそうですね。

「ところがルーク・スカイウォーカーは至って普通の真面目な青年です。本当にマーク・ハミルは大変な仕事をしたと思います。それと別の意味でも彼には感謝しているのです」

──ほう。というと?

「観客のみなさんが3POを身近に感じてくれるのは、ルークがドロイドとしてではなく友人として接してくれたからです

──なるほど。とても素敵なお話ですね。では最後の質問です。あなたはシリーズに全出演を果たした唯一のレジェンドです。いまでも緊張するようなことはあるのでしょうか?

「40年以上前、初めてエピソード4を撮影したときは全く緊張しませんでした。なぜならスター・ウォーズに興味が無かったからです」

──おおお……。

「この馬鹿げた映画でロボット役をするなんて、自分でも恥ずかしかったことを覚えています。実際に、俳優友達には3POを演じたことを教えませんでしたから」

──そうだったんですか。

「友人は舞台やテレビでシリアスな演技をしているのに、僕は金ピカドロイドでしたからね。でもスター・ウォーズ、そしてC-3POの存在が大きくなるにつれ、緊張感は増してきました。もしかしたら今回が1番緊張したかもしれません」

──なるほど。

3POは僕の友人です。彼に恥をかかせるワケにはいきませんから


終始穏やかな表情で質問に答えてくれたアンソニー・ダニエルズ。そのたたずまいはC-3POそのもので、最後まで感動しきりであった。また、英国紳士らしいジェントルマンでもあったから「C-3PO = ジェントルマン」とも言えるのかもしれない。

とにもかくにも、さすがのレジェンドだけに興味深い話が多く聞けたのではなかろうか? 近日中に第4弾、フィン役の「ジョン・ヴォイエガ」とポー・ダメロン役の「オスカー・アイザック」のWインタビューをお届けする予定だ。『スター・ウォーズ / スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日公開される。

参考リンク:映画「スター・ウォーズ / スカイウォーカーの夜明け」公式サイト
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

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