親が子に様々な思いを込めて名前を付けるように、競走馬の名前にも馬主さんや関係者の「こんな馬に育ってほしい」「こんな活躍をしてほしい」という熱い思いが込められている。

名前だけでも強そうな馬名や、ロマンチックで美しい語感の馬名など、数々のセンスあふれる馬名が日本競馬の歴史を彩ってきた。そして本日9月16日は、JRAが設立された日であることにちなんで「競馬の日」。記念すべき日に、筆者が選ぶ「ネーミングが秀逸すぎる競走馬5選」を紹介しよう。

・アンバージャック

ユーモラスな珍馬名もあるものの、やはり多くの馬主さんは「カッコイイ馬名」を追求しているように思う。こちらのアンバージャックという馬名、確かに言葉の響きはクールだけど、一体どういう意味か皆さん分かりますか?

その意味はなんと……カンパチ! あの回転寿司でクルクル回っているカンパチである。カンパチって英語に直すとこんなにカッコイイ言葉なのかよ!

動物の名前で強そうなものといえば「タイガー」とか「シャーク」とかが定番だと思うが、まさかカンパチをチョイスするとは……。そしてそれがカッコイイとは……。この英単語を知っていた馬主さんに脱帽である。

・アイルラヴァゲイン

日本では馬名登録のルールとして、カタカナ2~9文字という制限がある。このため、オウケンブルースリのような「あと1文字使いたかっただろうな……」という馬名も散見される。

アイルラヴァゲインの意味は、I’ll Love Again(もっと愛したい)。カタカナ9文字までという制限があるなかで、よくぞ英語の文章を丸ごと馬名に当てはめたものだと感嘆せざるをえない。しかもロマンチックな響きだし。「アイラブユー」とかだと、ちょっと直球すぎるもんね。

ちなみに「ブ」と「ヴ」は口に出して発音すれば同じだが、日常生活で使う頻度の少ない「ヴ」が競馬の世界では割と多く使われる。ビリーヴやオルフェーヴルなど活躍した馬も多く、もしかしたら「ヴ」は競走馬にとって縁起の良い文字なのかもしれない。

・デニムアンドルビー

2013~2018年にかけて活躍した牝馬。JRA公式HPによると、馬名意味は「活発でお洒落なお嬢さんをイメージして」とある。恐らく「デニム」で活発な様を、「ルビー」でお洒落な様を表現したものと思われる。

元気いっぱいな様子を表現するのに「デニム」、気品のある様子を表現するのに「ルビー」という単語をチョイスするとは、言葉のセンスがすごくないだろうか? 個人的には、最もセンスのある馬名だと思っている。

名前に恥じない活躍も見せた。2013年のジャパンカップ、2015年の宝塚記念では強豪牡馬を相手に回して2着と大激走。まさに名前の通り、活発で男勝りな女の子でした。

・ノンコノユメ

親から子へと物語が受け継がれていくのも、競馬の醍醐味。そういう意味で競馬の魅力が詰まった馬名といえるのが、ノンコノユメだ。

母はノンコ。芝とダートでコツコツ走ったもののビッグレースには縁がなく、産駒に夢を託すこととなった。母の果たせなかったビッグレース制覇の夢を叶えたのが、このノンコノユメである。

3歳時にジャパンダートダービーを勝利すると、6歳時にフェブラリーステークスを勝利して待望の中央G1制覇。まさに親子二代の夢が府中の直線で花開いた瞬間だった。

・カワカミプリンセス

馬名の世界には「冠名」というものがある。これは馬主ごとに固有のフレーズのことで、有名なものだと「ダノン」とか「メイショウ」とかがある。

この冠名を使いながら、個性的な響きを持つ馬がカワカミプリンセス。「カワカミ」という和風の冠名に「プリンセス」という英単語を組み合わせることで、牝馬らしい可愛い語感の馬名となっている。

オークスと秋華賞を勝利して2冠を達成するなど、キュートな名前に似つかぬ活躍を見せたことも、当馬の馬名を印象深いものにしている。


今回紹介したのは、あくまで一例。きっと競馬ファンの方なら自分だけのお気に入り馬名があるはずだ。さて、あなたのお気に入りは?

参照元:JRA公式サイト
執筆:グレート室町
Photo:RocketNews24.

▼もちろんこの馬も忘れてはいけませんね。名前通り、本当に深い衝撃を与えた馬でした。