来ちゃうねぇ、こりゃ来ちまうかもねぇ。何がって、「人類が皆バーチャル人間と化す時代」だよ。「マッドサイエンティストみたいなこと言うんじゃないよアンタ」って、いやいや奥さん、これが意外とマッドでもないんでさぁ。

そんなモダンSF小噺(こばなし)はさておき、バーチャル界隈に大きな動きがあった。日本でもバーチャルユーチューバーが地上波に進出したり、あのジャニーズ事務所からバーチャルアイドルがデビューしたりと動きが盛んだが、とうとう中国のバーチャルアイドルが日本に上陸するのである。これは大バーチャル時代到来の予感……!

・中国発バーチャルアイドルグループ、その名も「リブドル!」

元々はリアルタイム育成型バーチャルアイドルプロジェクトとして中国で誕生した「リブドル!」。その内容は、5人のアイドルたちがストーリー配信や生放送、SNS、時にはアプリを介したファン投票なども通じてファンと交流し、活動を展開していくというもの。

日本のバーチャルユーチューバーなども、SNSや生放送を通じてファンと交流する双方向性を重んじているが、ストーリーや人気投票といった部分で「リブドル!」は企画がより幅広く、そして大胆に見える。

あなたがアイドルの運命を決める」とまで銘打たれたキャッチコピーにも表れている通り、ネットワークの世界でユーザーとの距離をいくらでも縮められるバーチャルの利点を最大限まで活かす路線だと言えよう。

・気合入りまくりの「リブドル!」

そんな「リブドル!」が日本での上陸地に選んだのは、3月23日~24日に東京ビッグサイトで開催されるAnimeJapan 2019

もちろんただ上陸するだけではない。日本語版ミュージックビデオと新作プロモーションビデオを引っさげ、そのうえ中国語で活動中の彼女たちが、日本語でのトークを観客の前で初公開する予定だという。

おまけに彼女たちが新たに発表した日本語プロモ楽曲というのがすごい。あの大ヒット曲「PERFECT HUMAN」の作編曲家であるJUVENILEが楽曲を提供し、作詞に有名アニメアーティストのMay’nが参加するのだ。

いやいやもう……力の入れようがエグい。ガンガンに鳴り物入りだ。太鼓も笛もギターもドラムもガンガン鳴ってる。

・世界を見据える「リブドル!」

すでに日本進出が決まっているように、「リブドル!」は活動のスケールを中国一国にとどめる気など毛頭ないようだ。ここで注目してほしいのが、彼女たち一人一人のキャラクター。

李清歌、神宮司 玉藻、ローズ・バレット、カティア・ウラーノヴァ、イザベラ・ホリーなど、様々なビジュアルや性格が設定されたキャラクターで構成されているのが「リブドル!」。

一回聞いただけでは筆者のアホ頭には全く名前が入ってこないが、賢明な読者の方々はすでにお気づきだろう。そう、名前からわかる通り、メチャクチャ国際色豊かなのである。中国、日本、イギリス、ロシア、アメリカと、世界を股にかけている彼女たちのキャラ設定。設定段階から世界を見据えたユニットなのだ。

・「リブドル!」が予感させる大バーチャル時代、そして人類総バーチャル化

バーチャルユーチューバーに端を発したこのムーブメントは、日本国内のみならず、もはや世界規模に発展しつつある。私たちは今、エンタメにおけるリアルとバーチャルの比重が移り変わる転換期に立っているのかもしれない。

そしてバーチャルの世界は、巨額を投入する企業たちだけのものではない。『VRchat』などの専用のツールや機材を用意すれば、費用はかかるが個人でも、バーチャル空間でオリジナルの3Dアバターを用いて交流することができる。エンタメに限らず、「バーチャル」は人々の生活様式にも食い込んできているのだ。

うねりを上げ、世界を覆いつつある「バーチャル」の波。この調子だと、人類が皆バーチャル空間に居場所を持ったバーチャル人間と化す、「人類総バーチャル化」の日も近いのかもしれない。

バーチャル空間でバーチャルなアイドルのライブを応援し、バーチャルの自宅へと帰る。そんなSFチックな光景を夢見つつ、「リブドル!」が鮮烈に照らし出した未来への道程を見守っていきたいと思う。

参照元:「リブドル!」公式HP
執筆:西本大紀
Photo:(C)2019 Happy Elements Asia Pacific Co., Ltd.

▼なお、日本ではYouTubeやニコニコ生放送などで活躍しているので要チェック