そろそろ柿のシーズンも終盤。「柿、熟しすぎ問題」だ。完熟柿は懐石料理のデザートにもなるほどだが、実は私はじゅくじゅくの柿の食感と甘さがちょっと苦手。プリンにしたり、スムージーにしたりと手を換え品を換え消費していたが、なんかもうめんどくさい……。

そう思っていたときに聞いた話がこれ。完熟柿に「ある粉」をかけると「わらびもち」のようになる。何それ気になる! 一体何の粉なのだろう?

・熟しすぎた柿を「わらびもち」にする粉

熟しすぎた柿を「わらびもち味」にする粉、その名は『おちらし粉』だ。なんじゃそりゃ? おちらし粉は北陸での呼び名で、またの名を『はったい粉』『麦こがし』。と、ここでピンと来た人もいるだろう。

大麦やはだか麦を炒って挽いた粉で、徳川家康も好んでいたと言われるものだ。これを柿にかけて食べる!

・実際に食べてみた

おちらし粉は香ばしいかおりで、ちょっときな粉のような雰囲気もありつつ、甘味もある。

柿にかけて食べてみたところ、香ばしい粉が柿の甘さと柔らかな食感と相まってたしかに、わらびもちの味だ!

個人的には、じゅくじゅくの状態の柿より断然食べやすい。これがあったら「柿、熟れすぎ問題」はもう問題じゃない。というかわざわざ熟すのを待ちたいくらいである。

・昔は「アイス代わりに食べていた」

「柿×おちらし粉」の食べ方は石川県能登地方で聞いたのだが、調べた範囲では、金沢などの加賀地方、隣接する富山県氷見市、また福井県でも広く食べられていることがわかった。

さて実際に「柿×おちらし粉」を子どもの頃から親しんでいるという男性(70代)に聞いてみたところ「よく食べていました、昔は甘いものが少なかったからね」「お風呂上りにアイスのように食べていた」とのこと。

あ~それは美味しそう! たしかに柿は体を冷やすというし、お風呂上りの火照った体をスッキリさせてくれそうだ。

「今は美味しいものがたくさんあるから、食べないでしょう」と言われたが、決して市販のお菓子に劣ることはない。甘く、優しく、そして罪悪感控えめな味わいなのだった。

・完熟した渋柿にかけるとより美味しい

「柿×おちらし粉」は丸くて甘い「甘柿」にかけても美味しいが、本来は、完熟した渋柿にかけて食べるものなのだそう。ためしに甘柿と渋柿とで食べ比べてみたところ、たしかに完熟した渋柿の方がキリッとした味わいで、より和菓子感があった。

これらの食べ方を紹介してくれた方は、完熟しないと食べられない渋柿をさして「ここまでして食べようとするなんて、いじきたないよねえ(笑)」と笑っていたが、とても素敵な知恵だと思う。もうシーズンも終盤だが、完熟柿を手にいれた方は試してみてはどうだろうか?

Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.

▼教えてもらった食べ方はこう! 完熟の柿をスプーンで丁寧にわって

▼おちらし粉をかけて食べる! これがわらびもちのようで美味しいのだ