ついにこの日がやってきた! そう、本日12月20日はスター・ウォーズ・シリーズの最後を飾る映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』の公開日だ。

今までたくさんの感動と希望をくれたスター・ウォーズシリーズに何かお礼がしたい。超がつくほどのスター・ウォーズ好きの記者サンジュンに相談したところ、シリーズへの敬意を示すトリビュート動画を作ろうということになった。

結果的に渾身の作品ができあがったのだが、その作る過程が過酷すぎた……CGの世界がこんなにもキツかったとは。

・ライトセーバーのシーンをいっぱい撮りたい!

CG技術を使って映像を作った経験がない我々は、スター・ウォーズの映像や他のスター・ウォーズファンの動画を参考にしながら撮影プランを練っていった。

スター・ウォーズといえばライトセーバーということで、ライトセーバーのバトルシーンももちろん入れることにした。なんなら「ライトセーバーのシーンこそ、メインでしょ!」というノリでたくさん入れることにした。

この軽い気持ちがのちに、途方もない量の作業を生み出すことを我々知らなかった……。

・あまりの過酷さに発狂

慣れない演技に挑戦しながら、戦闘シーンの殺陣をどうするか試行錯誤しながら、撮影を進めていった。撮影にかけた時間は全部で5時間ほど。これででき上がる動画は3分ほど。

「映画の世界って、大変だなあ」とあたかも業界人になった気分で、CGの編集にとりかかる。そして最初のライトセーバーのシーンを編集し始めて、思わず声が漏れた。


なんじゃこりゃああああああ!


3秒のシーンを編集するのに1時間かかったぞ。待て待て、このペースだと3分の動画ができあがるのは……うぎゃああああああ!

・CG編集に時間がかかった理由

なぜこれほどライトセーバーのCG編集に時間がかかるのか。

まずシーンによって被写体とカメラの距離が変わるので、映像上のライトセーバーの太さが毎回変わる。角度も変わる。それに合わせて、CGのライトセーバーの太さや角度を編集しなければならない。

そしてなりより大変なのが、CGのライトセーバーを実写のライトセーバーの上に貼っていく作業だ。使っている動画編集ソフトに「トラッキング機能」、簡単にいうなら映像上で指定した対象物を自動で追いかけてくれる機能があるから、これを使えば楽ちんにCG映像を実写映像に合わせられると思っていた。当初のイメージとしては以下の通りだ。

<当初イメージしていたプラン>
撮影した映像に映る実写のライトセーバーを編集ソフトでトラッキングする(追いかける)→そのトラッキング情報に合わせてCGのライトセーバーを上からのせる

だが実際に編集し始めたら、トラッキング機能がほとんど機能しない。じっとライトセーバーを持っているシーンはなんとかトラッキングできたのだが、戦闘シーンになるとライトセーバーの動きが速すぎて、トラッキングが全くできないのだ。結果的に以下のような作業になった。

<実際の作業>
1フレームごとに実写のライトセーバーの位置を目視し、それに合わせてCGライトセーバーをのせていく

編集が進むにつれ、作業を効率化させるテクニックを身につけたことで、3秒の映像の編集に15分くらいで済むようになったが、それでもひたすら目視しながらCGのライトセーバーを合わせていく作業には身にこたえるものがあった。

・カイロ・レンのライトセーバーに殺意と敬意が芽生える

スター・ウォーズの新3部作の主要キャラ「カイロ・レン」を初めて映画で観たとき、彼が持つライトセーバーの形に胸が躍ったのを覚えている。一般的なライトセーバーとは違い、3つのブレード(刃)を持つそのライトセーバーはまさに男の子の “カッコイイ” を凝縮したようなフォルムなのだ。

今回のトリビュート動画でカイロ・レンのライトセーバーを使ったのだが、編集し始めて、あの憧れだったライトセーバーに殺意が芽生えてしまった。なぜならCG編集の作業量が、通常のライトセーバーの3倍だからだ!

通常のライトセーバーであれば真ん中の長いブレードをCG編集すれば終わりなのだが、カイロ・レンのライトセーバーは真ん中以外に左右に小さなブレードもあるから、そこもCG編集しなければならない。「この2本の小さなブレードさえなければ、今ごろ次のシーンの編集をやれてるのに……」と何度思ったことか。

そしてハッと気がついた。この気が遠くなるような作業を映画製作スタッフは、1作目が公開された1977年から42年間ずっとやってきたのかと。かっこいいライトセーバーを観客に見せるために、人知れない努力をしてきたのかと。

・スター・ウォーズがもっと好きになった

ヘトヘトになりながらトリビュート動画を完成させたとき、最初に心に芽生えのは「ありがとう」という感謝の念だった。

世界屈指のスター・ウォーズ製作陣は私よりはるかに効率的な編集をしていると思うが、それでもあれだけ美しく、あれだけカッコいいCGの世界を作り出すのには並々ならぬ努力が必要なはずだ。それを身をもって体験できたことが本当にうれしいし、スター・ウォーズ作品がより好きになった。

そしてCG技術の魅力にもとりつかれてしまった。だって夢で見ていたファンタジーな世界を自分の思い通りに作れちゃうんだぜ! そりゃ、ワクワクして血がたぎっちゃうよ!

たくさんの想いを込めて作った渾身のトリビュート動画、ぜひ観てほしい。そしてあなたの好きな作品への愛がより深まってくれれば、これ以上に嬉しいことはない。

参照元:YouTube
Report:田代大一朗
Photos:RocketNews24.
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▼こちらがそのトリビュート動画

▼こうやって見ると、本家の映像のスゴさが改めて分かる

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