2018年11月2日、映画「ヴェノム」が公開される。その日本語吹き替え版の声優に私、P.K.サンジュンが挑戦したことは以前の記事でもご紹介したが、実はヒロイン「アン・ウェイング」の声を務めた中川翔子さんとも対面していた。

しかも、ちょこっとだけ掛け合いをさせてもらったら……しょこたん声優激ウマ! 全ッ然素人とはちげぇぇぇえええええ!! というわけで、今回は中川しょこたんに「声優としてのアレコレ」について聞いてみたのでご覧いただきたい。

・声優としても大活躍

2007年から10作以上の「劇場版ポケットモンスター」の声優を務めるなど、まさにマルチタレントとして大活躍の中川翔子さん。2011年には「塔の上のラプンツェル」でヒロイン役のラプンツェルを務めるなど、声優としての実績も申し分ない

そんな中川しょこたんが本作「ヴェノム」で日本語版の声優を務めるのが、ヒロインの「アン・ウェイング」である。私のようなチョイ役ではなく、めちゃめちゃ出番の多い重要キャラだが、果たしてしょこたんはどんな心構えでアン役に挑んだのだろう?


・はじめてのマーベルは「スパイダーマン」

「中川さん、はじめまして。想像の10倍くらい顔が小さいですね! まず顔の小ささにビックリして、その後に声優としての実力にビビりました」

「ちょっと褒めすぎてて怖いです(笑)」

「でも声優としてのキャリアもかなり長いですよね?」

「アニメだったらポケモンは10年以上やらせていただいてます。ラプンツェルからも7年くらい経ってますね。こんな機会をいただけるなんてありがたい限りです。しかもマーベルなんてもう最高すぎて……ドリームオブドリームですよね

「なるほど。ちなみにマーベルはお好きですか?」

「アメコミまで追いかけるほど詳しくはないんですけど、初めて見たのはサム・ライミ監督のスパイダーマンでした」

「あれは名作ですね」

「世界中が歴史あるヒーローに熱狂して、しかも脳の外側にあるようなアクションにもビックリしました。しかも監督が “死霊のはらわた” のサム・ライミさんですよ? 振り幅がすごすぎるって思いましたね」

「天才ですね、サム・ライミ監督は」

「映画の帰り道に世界堂でイラストボードとエアコンプレッサーを買っちゃいました。“スパイダーマンが街を飛んでる絵が描きたい!” って思った衝撃は忘れられないですね」

「絵もお上手ですもんね。しかもヴェノムはスパイダーマンの最強の敵ですから、願ったりかなったりだったんじゃないですか?」

「本当にそうです。私の周りにもサブカル女子だけど “マーベルは見そびれちゃってる”ってコが結構いるんですね。ヴェノムはそういう人たちにもピッタリの作品だと思うので、ぜひ観て欲しいです」


・トム・ハーディーがカッコ良すぎた

「たしかにヴェノムはいい入口かもですね。とにかくキャラクターが強いし濃いですから。しかもトム・ハーディー!」

「そうなんですよ! 最悪と言いつつ可愛く見えることもあるし、ラブありアクションありでおもしろい映画の条件を満たしてるんですね。それにしてもトム・ハーディーはヤバい……カッコ良すぎる……」

「いや、マジでトム・ハーディーはカッコいい」

「ふとした瞬間の表情もそうですけど、寄生されてパニくってる瞬間とか最高すぎですよ! 声優しながら見とれてしまいそうになりました」

「今回、中川さんはヒロイン役ですから、いちおうトム・ハーディーと付き合ってるんですもんね」

「もう……最高ですよ」

「ちなみに今作のアン役ですが、過去の作品と似ているキャラクターなどはいましたか?」

「ありがたいことに、これまで韓国映画やトランスフォーマーでも声優をやらせていただいたんですが、アンはその全てが試される役だったと思います」

「おお。中川さんはキャラクターが降りてくるタイプの声優さんですか? それとも考えてクリエイトしていくタイプの声優さんですか?」

「アニメと実写でも違いますし、アジア系と洋画でも違いますね。声色や息遣いもそうですけど、とにかく毎回納得いくまでやっています。監督のビシバシを受けながら(笑)」

「ビシバシ(笑)」

「アンはこれまでに出したことがない声が必要で、自分の中でそれを探しました」

「出したことがない声! いいこと言いますねぇ」

「芸能人が声優に挑戦! ……みたいなのはイヤで、中川翔子は消したいんですよ。ちゃんとアンになり切りつつ中川翔子はいなくなる……。そう考えるとわからなくなっちゃうんですけどね」


・初声優で受けたカルチャーショック

「いやー、エラい。大したもんだと思います。ちなみに僕はこれまで2回の挑戦で200回くらいNGを出してるんですけど、中川さんは最高何回NGを出したことがありますか?」

「たくさんセリフがあるキャラクターだと馴染んできて、意外とトントンいくことが多いんですけど、一言二言しかないキャラクターが逆に難しいですよね

「おお、短い方が難しいんですか」

「以前、ハガレン(鋼の錬金術師)で職員Bって二言だけの役をやらせていただいたんですけど、その人のセリフは “その人の人生があって今があるから出たセリフなんだ” って思うと本当に難しかったですね」

「いや……僕は警官になり切れてなかったかもしれません」

「ポケモンで1番最初に声優に挑戦したとき “ドンカラス! きりばらい!” ってセリフだったんですね。家では何十回も何百回も練習してシミュレーションしてきたのに、現場では上手くいかなかったんです」

「ほうほう、なんででしょ?」

「うわべのセリフだけじゃなくて、トレーナーになるためにいっぱい練習して、そして迎えたバトルです……の今ですよって言われて、もうカルチャーショックで」

「おお、とてもいい話ですね」

「なかなか見えづらいですけど、音響監督さんや翻訳して下さる方の想いとか、あとは今作ならミシェル・ウィリアムズ(アン役)さんとか、何億もかけて撮影していることとか、しかもずっと残る日本語吹き替え版の声優とか……色々考えると闇に飲み込まれそうになりますね(笑)

「でもヴェノムにはピッタリかもしれませんよ」

「今までの学ばせてもらったことを全力で出し切ったつもりなので、よければ日本語吹き替え版も見ていただきたいですね。中川翔子だとは思わなくていいので


しょこたんのアフレコは……それはそれはすごかった。というか「乗り移った!」とマジで思った。なんなら、気付けば鳥肌が立っていた。私は日本語吹き替え版の作品を観たが、どの声優さんも自然に役に入り込んでいるからスゴイ。上っ面のセリフだけ読んでも声優にはなれないのだ。

とにもかくにも、中川翔子さんはガチで声優と向き合っていると感じた今回のインタビュー。言われなければアンの声を中川さんが務めているとは思わないだろうから、しょこたんの目論見は成功しているハズだ。ヴェノムは11月2日に公開される。

参考リンク:映画「ヴェノム」公式サイト
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
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