年末年始の恒例となったロケットニュースの福袋企画。速度と量が重要なので、中身についてのレビューはシンプルなものになりがち。筆者が担当したビックカメラのSIMフリースマホについても、簡単に中身を紹介するにとどめている。

しかし、筆者としては少し気になったのだ。約2万円とクッソ安いこのスマホ、どれくらい使い物になるんだろう……。これで十分なら、10万近くするスマホは不要なのでは? ということで、筆者目線で福袋の格安スマホがどれくらい「使える」のか試してみたぞ!

・評価基準について

テストに入る前に、まずは筆者目線というのがどういうものなのか明確にしようと思う。なぜなら、「使える」の基準というのはユーザーによって大きく変わると思われるからだ。ということで、筆者目線はこんな感じ。


1. ソシャゲはバリバリやる。
2. ブラウジングもめっちゃする。
3. カメラはそんなに使わないが、画質や使いやすさにはうるさい。
4. 音楽もスマホでは聞かないが、スピーカーはほんの少し気にする。
5. 外見やサイズ、重さについては気にしないが、使い勝手に影響する部分についてはうるさい。


各項目について補足しよう。まず1についてだが、割とゲーマーなので話題の新作ゲームには大体手を出している筆者。「あらゆるソシャゲに対応できること」は超重要項目

2のブラウジングについても要求は高い。大体常に15~20くらいタブを開きっぱなしで、毎日チェックしている。読み込みや表示が遅いのは許せないタイプ

3については少しめんどくさい理由がある。筆者がスマホのカメラをそんなに使わないのは、ちゃんとしたカメラを常備しているから。スマホを使うのはメモ代わりとしてだったり、写りなどどうでもいいものをSNSに投稿するときだけである。

また、カメラとしてのスマホの利点として、大きいカメラを持ち歩かなくていいからという側面があると思う。しかし、筆者は大きいカメラを持ち歩くことに何の問題も感じないタイプなので、そこは評価しない方針。したがってカメラの評価は少し厳しめになる。

4の音質については、筆者はそもそもスマホで音楽を聴かないし、悲しいことに音の良し悪しもよくわからない。しかしスピーカーについては、ソシャゲを快適にプレイできるかどうか程度は気にする。

また5についてだが、外見は割とどうでもいいし、スマホの重さも気にならない。ただし、ボタンの位置や画面の湾曲などが操作性に影響する場合には少しうるさい。

少し長くなったが、「こういうユーザー目線での感想」である前提で、先に結論を述べよう……。


『ASUS Zenfone Max Plus(M1)』は、カメラに多くを求めず、またソシャゲはほとんどプレイしないか、するとしてもラグや処理落ちは我慢できるという方なら十分な性能


この結論に至った経緯と、テストの内容は以下の通り。

・ソシャゲのプレイフィール

まずは最重要なソシャゲのプレイフィールから。テストに使ったソシャゲは、『Fate/Grand Order』(以下FGO)と『アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ』(以下ミリシタ)の2本。

FGOは一見すると2D表示でそんなに負荷がなさそうに見えるが、実は3Dも併用されており、結構重たい部類。FGOがサクサク動くなら、処理速度的には大体どんなゲームも普通にプレイできると思う。

ミリシタも3Dの表示に関しては比較的負荷がかかる。リズムゲームということで主にタップ精度をチェックするのが目的だ。ミリシタでストレスを感じないなら、大体のリズムゲームは安心してプレイできるのではないだろうか。

・FGOをプレイ

テスト方法は筆者の「Xperia XZ3」(以下Xperia)と、今回入手した「ASUS Zenfone Max Plus(M1)」(以下Zenfone)で「最も演出が重い」ともっぱらの『巌窟王』の宝具をだいたい同時に使用。演出が終了するまでの時間差をチェックしてみた。

ちなみに、両者ともデータは一括ダウンロード済みである。結果はXperiaでも宝具選択から発動まで10秒ほどかかったのだが、Zenfoneではなんと30秒

Xperiaの10秒も結構ストレスになるのだが、慣れれば何とかならなくもない。しかし、30秒はさすがにそういうレベルではないと思う。ちなみに、こちらも重いと噂の『源頼光』でも試してみたところ、やはりZenfoneだと多少の遅れが生じていた。しかし『岩窟王』と比べたら我慢できる範疇。

・ミリシタをプレイ

続いてミリシタをプレイしてみよう。こちらも両端末でデータダウンロード済み。ライブ設定は一番重い「3D高画質」で統一してある。Xperiaのほうではあらゆる面で特に問題は感じない。Zenfoneも最初は滑らかに動くのだが、続けてプレイするとだんだん速度が不安定に。そうなるとタップも時々反応しなくなり、ミス連発は避けられない。



また、Zenfoneのスピーカーはスマホ底面にあるのだが、これがどうもよくない。ゲームをプレイ中にスマホを横にした状態で両側から手で持つと、スピーカーが隠れて音が聞こえなくなる状況が頻発する。イヤホンを常時使用すればいいのかも知れないが、それが面倒な場面も大いにあると思うので、このスピーカー配置はNGだ。

ソシャゲのプレイフィールをまとめると、ZenfoneでもFGOはある程度我慢すればプレイ可能。しかし、ミリシタは論外。この感じだと、速度や精度が問われる系の3Dゲームには向かないと思う。

また、スピーカーの音質もZenfoneはちょっと難がある。Zenfoneのスピーカーはなんというか、100均で売ってるイヤホンのような深みの無い安っぽい音なのだ。とはいえ音の好みは人それぞれ。こちらもYouTubeにアップしたので実際に聞いてみてほしい。


・カメラをテスト

続いてカメラをテストしていこう。まずはマニュアル撮影時に重要となる、シャッタースピードとISO感度の設定可能な数値と、大体のスペックは以下の通り。


シャッタースピード:1/1000、1/500、1/250、1/100、1/50、1/30、1/25、1/20、1/15、1/10、1/8、1/4、1/2、1、2、4、8、10
ISO感度:100、200、400、800、1600
レンズの明るさ:f2.0
画素数:1600万


数値だけだと分かりづらいかも知れないが、実はこの時点で微妙である。レンズの明るさがf1.5くらいでISO感度も3200くらいまであげることができたら、もうちょっと使いやすかったと思う。

また、スマホのカメラとセンサーで、1秒以上の露光に対応しているのはどの層に需要があるのか正直よくわからない。レンズのf値が固定でISO感度も余裕はないため、個人的には1 / 100から1 / 500の間の選択肢を増やしてほしかったところ。

実際に晴れた昼間の屋外で撮影してみると、処理できる明暗差(ダイナミックレンジ)はかなり狭い。空の青さと日陰にある被写体を同時に撮影しようとすると、空が真っ白になるか、あるいは被写体が真っ暗になるかの2択になってしまう。



iPhoneおよび一部のAndroid端末では「Adobe Lightroom CC」というアプリを使うことで、RAWファイルでの撮影が可能。しかしこの機種ではできなかった。陰になっている部分は完全に黒くつぶれているので、編集で持ち上げることも難しい

屋内での撮影をためそうとスタバに持ち込んでみたが、全体的にしまりのない絵に。どうやら薄暗い環境だとオートフォーカスの精度もかなり落ちるようで、ケーキをオートフォーカスしたのだが今一ピントが合わずボケている



メモ代わり程度にはなると思うが、このスマホでバシバシ写真を撮ってSNSのアップ……という使い方は、恐らく使用者にとってストレスにしかならないと思う。一応デュアルレンズということだが、その恩恵は体感できなかった。


・結局「使える」のか

ここまでいろんなテストをしてきたが、ブラウジング速度や画面の見易さなどで特にストレスを感じる要素はなかった。スマホとしての最低限のラインはしっかりカバーしているぞ。

しかしカメラにうるさく、割と廃ソシャゲーマーな筆者の意見だと常用は難しい。ただ「使えない」というほどでもなく、故障などでメインのスマホが使用できない際の数日間の繋ぎ程度でなら何とか我慢できるかもしれないという感じだ。

ということで、福袋企画では元の値段と比較して「めっちゃお得やん!」と思った「ASUS Zenfone Max Plus(M1)」。実際に持ち出していろいろ使ってみると正直ストレスを感じる場面が多かった。「格安スマホ」は特にお得というわけではなく、値段相応という感じだった

Report:江川資具
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ(Android)

▼岩窟王の宝具を使うとこんな感じ。重すぎてプレイするってレベルじゃねぇぞッ!

▼やはり岩窟王が特別重いのか、源頼光だとまだ我慢できるレベル

▼片側にしかついてないZenfoneのスピーカーは、設置場所も音質もイマイチ

2019年の福袋特集。来年の参考に!