もはや国民食とも言える餃子だが、日本における焼き餃子の歴史は意外と浅く、爆発的に普及したのは戦後のことだと言われている。現在の餃子は日本独自の進化を遂げ、中国の餃子とは一線を画した存在だと言えるだろう。

そんな日本の餃子が、再び中国と交わった。日本ではほとんど市場に出回らないようなマイナー野菜が、実は中国では餃子の具でよく使用されるものだと判明。しかも日本産のものが究極の品質であったというのだ! その野菜の名は「葉にんにく」。「葉にんにくの餃子」である。

・日本の餃子、究極の食材に出会う

葉にんにくとは、球根である にんにくが成長しきる前に収穫する葉の部分で、中国では「蒜苗(スワンミャオ)」と呼ばれている。特に四川では餃子などに使われるポピュラーな野菜だが、品質管理が難しいため日本では市場に流通することが少ない幻の野菜だ。

そんな幻の野菜が、それも究極のクオリティのものが日本の餃子と出会った! 葉にんにくの生産や加工を手がける高知県の企業「アースエイド」の葉にんにくが銀座アスターで総料理長をつとめた故・久保木武行氏や料理の鉄人でお馴染みの陳建一氏の目にとまり、ついに日本でも「葉にんにくの餃子」が量産されることとなったのである。

・爽やか! 餃子の概念が覆る味

アースエイドの葉にんにくは中華料理のプロ絶賛のクオリティ。そんな葉にんにくが使われた餃子とはどんな味なのだろうか。

商品自体は冷凍餃子。12個入り×3パックが1950円(税込)で販売されている。さっそく餃子をフライパンで焼いてみる。米粉を使った皮はあっという間にパリパリに色づき、プクッとふくらんだ餃子の腹はうっすら緑色に透けてきた。これが葉にんにくか!

まずは何もつけずに食べてみると……なんて爽やかなんだろう! この香り、にんにくであることはわかる。だが若葉のような瑞々しくスッキリした香りであり、あのにんにく独特な臭みは一切ない。これはめちゃくちゃ不思議な感覚だ!

オリジナルのタレにつけると、味わいがさらに引き締まり、葉にんにくの香り、肉汁、そして玉ねぎの甘味が強調されてくる。うまーい! タレもうまーい! タレはまろやかな柚子の酸味がたまらない! 

日本の餃子というとジャンクなイメージがあるが、葉にんにくの餃子はまるでエエところの飲茶(ヤムチャ)の点心のような上品な味わいだ。ラーメンや白飯と一緒にかきこむというより、香りのよいお茶と合わせたい味わい。葉にんにく餃子は、まさに日本の餃子の概念を覆す味だと言えるだろう。

・さらに進化していた!

さてこの葉にんにくの餃子はクラウドファンディングの返礼品として登場し、間もなく1年となるが、最近、さらに進化していたことがわかった。それは使われる葉にんにくの種類の変更だ。

アースエイドに問い合わせたところ、以前はハーリック種というにんにくの香りが強くパンチのある品種が使われていたが、現在は旨味成分そのままに香り高く甘味が強い四川種に変更されたのだそう。

私はちょうど切り替え時期に両者を食べ比べることができたのだが、確かに印象が全然違う! リニューアル後のものの方が各段に上品で、改めてニンニクの香りがするのに嫌味がない味わいの葉にんにく餃子のオリジナリティを感じたのだった。

現在、販売されている葉にんにくの餃子は四川種のもののみだが「葉にんにくのたれ」ではコクの麦味噌味でハーリック種が使われているので、気になる人はこちらを味わってみてもいいだろう。

戦後70年以上が経ち、日本の餃子はすでに円熟期を迎えていると言えるが、まさかこんな風にも進化するとは! 葉にんにくの餃子からは葉にんにくそのものの美味しさだけでなく、餃子自身のポテンシャルの高さも感じられるのではないだろうか。

参考リンク;アースエイド『有機の葉にんにくで作ったヘルシー餃子』
Report:沢井メグ
Photo:アースエイド
Photo:Rocketnews24.

▼葉にんにくの餃子は焼き餃子にしても美味しいが

▼茹でると……

▼香りがより引き立つ!

▼サッパリしていて上品! こんな餃子が存在していたなんて!