Wikipedia(ウィキペディア)といえば、ハンパない情報量が掲載されていることで有名だが、一方でハンパない “寄付してアピール” をしてくることでも知られている。では、その “寄付してアピール” に応えてみたら どうなるのだろうか?

──という記事を公開し、実際に寄付をしたのが2017年9月のこと。あれから2018年2019年2020年と少額ではあるが寄付をし続けている。

そして今年2021年。例のごとく、またWikipediaから「寄付催促メール」が来たと思ったら……一線を越えていたので思わず笑ってしまった

どのあたりが一線を越えているのかというと、寄付してない人をさり気なくディスっているのだ。もちろん、ただ悪口を言っているわけではない。メールの目的はあくまで寄付を募ることなのだが、その気持ちが高ぶりすぎて錯乱していると言おうか。

まず、メールのタイトルから見ていきたい。これだ。


雄一郎様 – あなたは特別な存在です


ただの寄付依頼メールだというのに、ほんのり匂うスピリチュアル臭。このタイトルだったら、メールの内容が「神様はおっしゃいました」とか、「守護霊と交信して分かったことがあります」でも、一切不思議ではないだろう。

そう言う意味で、誰しも警戒心がMAXになるタイトルと言える。しかし同時に「クセ強めの香ばしいメール来た!」という気持ちにさせるので、一周回ってすごい戦術なのかもしれない。


・Wikipediaの作戦

さて、上のタイトルを見て察しがつく人だって多いと思うが、Wikipediaの作戦としては「過去に寄付したことに感謝して感謝して感謝しまくって、今年も寄付をお願いします」というのが基本的な流れ。

それ自体は特に変わったことはないというか、むしろ寄付を募るための王道的手法だろう。しかし、何かがちょっとずつズレているのがWikipediaでもある。

その1つが、上のメールタイトル。感謝の気持ちを表明しようとしすぎて新興宗教の勧誘っぽさまで醸し出してしまっているのは、さすがWikipediaと言っていい。

そしてもう1つが、寄付していない人へのネガティブなコメントだ。おそらく、Wikipediaは我慢できなかったのだろう。「申し上げにくいのですが、正直に言います」と前置きした上で、以下のように記載している。



「読者の98%は寄付をしてくださらず、私たちからの一年に一度のお願いを見て見ぬふりをします」


もちろん、Wikipediaの意図としては「そんななか寄付してくれたあなたは素晴らしい! だから今年もお願いします」と言いたいだけ。それだけと言えばそれだけなのだが、寄付した人をアゲるために寄付してない人を「見て見ぬふりをしている」とサゲるところがなんとも言えない。

必死すぎるというか、なりふり構わなさすぎるだろう。寄付しない人の気持ちを無視してアピっているのだから、もはやメチャクチャである。


・イジケるWikipedia

これだけではない。さらに特徴的なのが後半だ。Wikipediaが太字と黄色バックで強調している文の一部が……



「残念ながら、多くの方はこのメッセージを無視されるでしょう」


もはやイジケの領域だ。まるで重大なSOSが見落とされたかのようなトーンだが、何度も言うようにこれは寄付依頼メール。まぁWikipediaにとっては「重大なSOSですが何か?」ってことなのかもしれないが……。

Wikipediaの「寄付のお願い」というページには、「ウィキメディア財団(Wikipediaの運営元)の財政状態を考えるとむやみに不安を煽りすぎではないかとの声もあがっている」と記載されているから、Wikipediaが必死になる理由をWikipedia自身が否定する形になっている。


そのページを読んでいるとなんとも複雑な気持ちになるが、私は今年も寄付をしてみようと思う。ここまで来たら、来年どんなメールが来るか楽しみで仕方がないから。もしかしたら、寄付を続けることでWikipediaがもっと本音を見せてくれるかもしれない。

なんなら、数年後には「寄付しないナメ腐ったクソどもと比べたら、あなたはGODです」というメールが来るかも……と密かに期待にしている。Wikipediaにならって「正直に言う」と、動機はそんなところだ。

参考リンク:Wikipedia「寄付のお願い」
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼メールの全文はこちらで確認できる。