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選ばれし男たちの体に刻まれた “火星方形” の刻印。それは、戦うことを宿命づけられた戦士の証明。彼らが背負い続けるアーマー(皮)は、過酷な運命を背負った男たちの苦悩、孤独、葛藤をも包み込んでいる。

──何言ってんだ、こいつは? と思った人が多いかと思うが、そんな真っ当な意見を無視してガンガン進めたい。今回紹介するのは、ざっくり言うと苦悩を抱えて戦う男たちにありがちなこと。題して、火星方形あるある69連発だ。

【火星方形あるある69連発】

1. 「アーマー(皮)に毛が巻き込まれる事故のリスク」といつも隣り合わせで生きている
2. どれだけ気をつけても避けられない「毛の巻き込み事故」はあるものだ
3. 椅子から立ち上がるときには、事故起こりがち
4. 全く聞いてなかった授業の後には、特に事故起こりがち
5. そのまま歩くべきか、手でケアすべきか、そこが問題だ
6. 股間回りの感覚神経が「巻き込まれた毛は微量であります!」と脳に報告してきたときは、そのまま歩けば自然と解決することが多い
7. 股間回りの感覚神経が「膨大な量の毛が巻き込まれております!」と脳に報告してきたときは、仕方なく手をパンツの中に突っ込んで引き離す
8. シャツの裾を直す振りをして、さっとパンツに手を突っ込んで引き離すテクは歳を重ねるに連れて磨かれる
9. たまに、どうかと思うほど大量の毛がアーマー(皮)に吸い込まれているときがある
10. さっと手でケアすることに限界を感じて、トイレに駆け込んだことがある
11. トイレでパンツを下ろすと、映画『エイリアン』に出てきそうなヤツがそこにいる
12. アーマー(皮)から毛を1本1本引き離す作業は、何より焦らないことが大事
13. 焦って一気に引き離そうとすると、必ずチクっとする
14. 「そもそも毛が無ければ、こんな巻き込み事故が起こるリスクも無くなるのでは?」という気づき
15. それに気づいた後、自分で密かに毛を切ったことがある
16. やってみると、盆栽家のような気持ちになる
17. “珍盆栽” と呼んだりもする
18. 珍盆栽のとき、短かめに切ってしまうと歩くたびにチクっとする
19. 長いままだと巻き込み事故が起こってしまう
20. ベストな長さが、ビギナーの頃には分からない
21. しかし何度も盆栽を重ねていると、何かを掴みはじめる
22. すると、自分のスキルに自信を持つようになる
23. そうして天狗になっているときに直面する「TAMAの毛をどうするか問題」
24. さらに追い打ちをかけてのしかかる「ケツ回りの毛をどうするか問題」
25. 盆栽家として自信があればあるほど、 23.24の問題を見過ごすことが出来ない
26. その部分にハサミを入れるのがそもそも怖いんですけど
27. 何より、どう頑張ってもTAMA回りの毛が上手くキマらない
28. 自分のケツ毛を自分で切るのに必要なのは、手鏡と体の柔らかさ、そして少しの勇気である(どっかの名言風)
29. 「毛の巻き込み事故を防げればいいんだから」と自分で自分を納得させると、盆栽へのアートなこだわりを諦める
30. 風呂場で、自分の作品(珍盆栽)をじっくりと眺める
31. ついでに、両手でアーマーの端をつまみ、極限まで伸ばしたこともある
32. そんなことをしていると、そのまま両端を結べそうな気がする
33. 気がするだけじゃなく、実際にやってみる
34. 誰も得しないチャレンジが風呂場で行われる
35. そうやって伸ばした状態の “珍盆栽” を上から見ると、シルエットがスト2のガイルみたいだ
36. そんなことをしてる時だけ、「俺のん、むっちゃデカい」と思わなくもない
37. すぐに「自分では自分をごまかせない」という言葉が頭の中にいっぱいになる
38. そしてやってくる虚しさ
39. 認めたくはないが……認めたくはないが……やっぱりアーマーいらないかも……
40. そもそもアーマーを背負って、俺たちは何と戦っているんだろうか?
41. アーマーなんて脱ぎ捨てて、みんなで手をつないで踊ろうよ
42. ジョン・レノンの歌声が聞こえる
43. 「イマジン、ゼアーズ、ノーアーマー」
44. どう考えてもアーマーが無意味にしか思えなくなると、アーマーを切り離す方法を考えるようになる
45. 「意識的に常に剥いておこう」と、誰でも一度は決意する
46. 「もしかして……先端部分が刺激に強くなれば、自然とアーマーは後退するのでは?」という検証の価値がある俺流の仮説
47. そうやって考えた結果、例えばニチバンの白い医療用テープなんかを皮の伸縮部分にずっと貼ってたりもする(※マネ厳禁)
48. 最初こそ刺激が強いが、そのうちに慣れる
49. やってみると、確かにアーマーが後退していく……ような気がする
50. こうして手に入れた、憧れのノーアーマーライフ
51. だけど、どれだけテープを貼り続けても、それを取るとすぐにアーマーがビローンと覆いかぶさってくる
52. 根本的に改善されているのかが、自分では全然わからない
53. 無理に剥こうとしても全然意味ない……としか思えなくなる
54. こうして挫折する、自己流ノーアーマーライフ
55. こんなことを知り合いに話すと、「手術しろ」的なことを言うやつが絶対に1人はいる
56. 10人の知り合いに話すと7人くらいは「自分は関係ないけど」みたいな空気を出しているが、その7人のうち少なくとも3人は絶対に同じ火星人
57. 誰に何を言われようとも、「アレが起動状態になっていれば、アーマーの有無なんて関係ない」という真実に救われる
58.ワケあって、女性の前で珍盆栽を見せるときには、パンツを下ろす直前に自分で剥く
59. 剥けるチャンスは一瞬。まるで居合だ
61. このスキルも、歳を重ねるにつれて磨かれる
62. しかし! 年を重ねるにつれて起動力も弱くなるという残酷すぎる現実に打ちのめされる
63. 「歳をとっても技術は磨けるが、体力が落ちるのは避けられない」みたいなことを言っていたプロ野球選手を思い出す 
64.起動力が弱くなっているにもかかわらず、女性の前で珍盆栽を晒したままウトウトしてしまうことがある
65. 火星フォース発動 → アーマーがビローン → 死ぬほど後悔という流れ
66. しかし、相手は別に何とも思ってないような気も……。そういう振りをしてくれてるだけなのか!?
67. 少なくとも、自分が気にしているほどには、女性の方は気にしてないような……
68. 結局のところ、戦っていた相手は自分の中の見栄だったのかもしれないという遅すぎる気づき
69. 「自分の一番の敵は自分」という名言は、火星方形の刻印が刻まれた男たちの戦いにおいても当てはまる

——以上である!

いかがだっただろうか。「いかがだったじゃねえわ」というのがこれまた真っ当な意見のような気もするが、『火星方形の刻印が刻まれた男たち』のあるあるは大体こんな感じだ。なお、「個人的な体験に寄りすぎた」「いくつか火星方形と関係ない項目もあった」「強引に69に合わせた」というクレームは一切受け付けない。

とにかくだ。私(筆者)が言いたいのは、火星方形の刻印が刻まれた男たちはみな戦っているということ。毛の巻き込み事故と、ビローンと覆い被さってくる過保護なアーマーと、そして何より自分自身と……。そんな戦士たちに最大限の敬意を込めて、この記事を捧げたい。火星方形戦士たちに栄光あれ!

執筆:和才雄一郎
Photo:Wikimedia Commons.