2019年11月22日、渋谷パルコがリニューアルオープンする。それに先立って20・21日の2日間、招待客限定でプレオープンが行われた。人より先に中が見たい! そう考えた私(佐藤)は招待されていないけど、現地に赴いた。

実際に行くと、なんとその場でPARCOカードに入会すると中に入れるとのことなので、速攻でカードを作って無事入場! 中に入ってみたところ、ここの飲食街(地下1階)がステキすぎた! ここは違う、他の商業施設と全然違う。さすがパルコ、渋谷パルコだ!! 一瞬で好きになったぞ!

・地下の「カオスキッチン」がカオス!!

新生パルコには193のテナントが入っており、飲食店は全37店舗。地下と7階にそれぞれ出店している。私が注目したのは地下のフロアだ。ここは『カオスキッチン』と名付けられている。


生まれ変わったパルコは、ノンエイジやジェンダーレスなどをテーマに設定したのだとか。地下に行くとそのテーマが示すものがわかる。その名の通り、まさに「カオス」だ。まず目を引いたのが、サイケデリックな外観が印象的な『米とサーカス』である。


米とサーカスは、獣肉(ジビエ)や昆虫食を提供する東京・高田馬場の居酒屋である。万人受けするお店とはちょっと言い難いけど、これをリニューアルで入れてくるなんてパルコやるな!


ここだけじゃない。創業53年の日本式純喫茶『はまの屋パーラー』。新宿2丁目の性別を超えたミックスバー『キャンピーバー』(ともに22日オープン)。


キャンピーバーの裏側には、お店で接客する女装ウエイトレスの姿が掲げられている。


ビーガン居酒屋『真さか』の裏には、店主が撮影した都内の坂の写真が展示さている。坂の写真!? 渋いッ!



個人的にとても気に入ったのは、『占いコーナークローバーリーフ』だ。令和の新時代に生まれ変わった新生パルコで、まさか昭和の佇まいを目にするとは。ただ新しいだけの施設を造っただけではない、パルコの姿勢が垣間見える。イイ! 挑戦している感じがとてもイイぞ!


まだある! アナログ盤専門店の『ユニオンレコード』


「清潔なライフスタイル」を提唱するコンドーム専門店『コンドマニア』。その向かいには、アンダーウェアの専門店の『ヒップショップ』。飲食フロアにこれらのお店を持って来るとは。斬新!


同じフロアには『ギャラリーX』がある。ギャラリーでは現在、期間限定で『AKIRA ART OF WALL』(別途入場料金が必要)が開催されている。


これまでさまざまな商業施設の新規オープンを取材してきたが、渋谷パルコは全然違う! 「日本初出店」と謳った海外の飲食ブランドを持ってきただけの開業とは違う。文化を伝えようという意志がヒシヒシと伝わってくる。出店しているお店も、ヨソの施設と一味違う。最初に挙げた「米とサーカス」を筆頭に個性派店舗が営業している。


・フィッシュバーガー『デリファシャス』

数あるお店のなかで次の2店舗を紹介したい。まずは鮨屋が作るフィッシュバーガー専門店として、中目黒で人気を博した『デリファシャス』が移転して、カオスキッチンに出店している。


私は過去に何度か中目黒の店舗を訪ねたことがある。その度に行列で入店を断念していた。まさか、ここで再び出会えるとは。フィッシュバーガーも気になったが、今回は出汁巻き卵ドッグ(880円)を注文。ドリンクとポテトのセット(440円)をつけてオーダーした。


ふわふわの出汁巻き卵をパンで挟んだ一品。ただのたまごサンドとは異なり、出汁の効いた卵焼きがクセになる。


・うどん店『おにやんま』

そしてもう1店舗は、立ち食いうどんの名店として知られる『おにやんま』だ。え!? あのおにんまが渋谷に! しかもパルコの真新しい店舗に存在するなんて、それだけでも衝撃だ。うまくて安いものを早く食いたいサラリーマンの強い味方、それが渋谷のパルコに入ったなんて信じられない!


実店舗を知る人であればご存じかと思うが、お店は基本的に狭い。五反田店は店内が一方通行になっていて、人が行き来するだけのスペースがない。それをここでも再現してしまっている。

どうして広く造らなかったんだ? と言いたいが、それがおにやんまだ。新しいからと言って広くしない。その心意気がステキ!

券売機で冷やしとりちくわ天おろしうどんの食券を購入。価格は530円。安い! 食券を出し、トレーで商品を受け取ってカウンターの席へ。



味は言うまでもなく、おにやんまだ。たしかにこのお店には初めて来る。以前のパルコと同じ場所とはいえ、「初めて来る場所」といって差し支えないだろう。



なのに、初めての気がしない。どことなく懐かしさを感じさせる。おにやんまだけでなく、このフロア全体から懐かしさや親しみを感じてしまう。もしかしたら、渋谷パルコはただの「新しい箱」なのではなく、中身のあるもの。大げさに言えば日本の文化を詰め込んだ、宝箱なのかもしれない

渋谷という土地で新しい商業施設はいくつもオープンしており、きらびやかな装飾や華やかな照明に彩られたモノをたくさん見てきた。しかし、それらのどれとも違う空間がここにはある。渋谷パルコは間違いなく、繰り返し来たい場所だ。


・今回訪問した施設

名称 渋谷パルコ
住所 東京都渋谷区宇田川町15-1
営業時間 物販10:00~21:00 飲食11:00~23:30

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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