裁判。その言葉の響きだけで震えあがってしまうのは私(中澤)だけではないと思う。訴状が届こうものならテンションだだ下がり。できることなら一生関わりたくない世界である。

でもでも、イマドキ裁判の1つや2つ知らないとモテないぞ。だ・か・ら! 初めて法廷に行ってきたよ!!

・傍聴

その法廷とは、民事裁判の「音楽教室における著作物使用にかかわる請求権不存在確認事件」だ。長ッ! 簡単に言うと、JASRACとヤマハ音楽教室のアレである。判決に個人的な興味もあったので、傍聴ついでに法廷というものを体験してみようと思ったのである。

・異様な空気感

というわけで、やって来たのは霞ヶ関の天を衝く東京地方裁判所(東京地裁)だ。私のイメージのせいか、門の前ですでに迫力が尋常じゃない気がする。道や建物は綺麗に整備されているのに、その空気感は異様と言わざるを得ない

まあ、きっと気のせいだろう。初めての裁判所に私がビビッているだけに違いない。それはさて置き、本日の目的は他でもない法廷に行くことである。そこで入り口に突入してみた。

・空港みたいなゲート

ちなみに、裁判所の中は撮影禁止でカメラとかの持ち込みも禁止となっている。そのため入り口には、出入国する時に通るみたいな金属チェックのゲートがあった。荷物をカゴに入れて係の人に渡した後、自分はゲートをくぐる。ほっ、音が鳴らなかった。

とは言え、その厳重さに身が引き締まる。ゲートを抜けると広場になっており、両サイドにソファが備え付けられていた。そして、広場の奥に、法廷を検索できるタッチパネル式の検索機がある。めちゃくちゃ厳粛なTSUTAYAみたいだ

検索の方法は様々で、本日開廷する法廷を全て表示することもできるし、開廷時間帯などから絞ることもできる。「JASRAC対ヤマハ音楽教室」の裁判は13時30分から721号法廷で開かれる様子。721号をビルの案内板で見ると7階にあることが分かった。13時30分にはまだ少し早いが様子を見てみよう。

・法廷の前の廊下

7階に上がると、がらんとした廊下の両脇にガラス扉が4つほど並んでおり、その扉の向こうに廊下がまた続いていた。がらんとした圧倒的なまでの飾り気のなさがまた厳粛な雰囲気を感じさせる。上の案内板の番号を頼りに4つの扉の1つを開けると廊下沿いに721号法廷の文字が見えた。

約1時間前なのにすでに4人くらい部屋の前で待っている。これが多いのか少ないのかいまいち分からないが、なんとなく一緒に待機することに。隣の人が法廷の名札みたいな詳細をメモっていたため私もメモってみた。裁判長は佐藤達文さんか。なるほど。頭良いんだろなあ。

と、その時! 法廷の関係者っぽいかっちりスーツの男性がつかつか近づいて来るではないか!! え? メモったらあかんかった?


男性「傍聴の方ですか?」


「そ、そうですが……」


男性「どうぞ」


「? なんですか? この紙は」


男性「整理券です」


──整理券あった……!

白い紙に番号だけが打たれた素っ気なさではあるものの、グッとイベントっぽさが増した気がした。オラ、ワクワクしてきたぞ!

・法廷に入る

そんなこんなで、13時15分に法廷の扉が開いた。入ると傍聴席は42席しかない。しかも、そのうち14席はメディアの席である。整理券が配られるはずだ。

そんな傍聴席の前には柵があり、向かって左手に原告(今回はヤマハ)の机、右手に被告(今回はJASRAC)の机がある。そして、三段くらい高くなって真ん中を陣取るのが裁判官の席。あっち側はかなり法廷っぽい。立ったらテンションが上がりそうだ

まあ、法廷にいる時点でテンションなんてゼロだろうけど。ゼロから1になってすぐゼロに戻るだろうけど。それにしても……

民事裁判ってこんなに狭いところでやってるのか。ゲーム『クロノ・トリガー』の王国裁判みたいなのを想像していたが、どちらかと言うと教室より少し広い程度である。

・開廷

開廷時間になり、裁判長が入廷すると、全員で起立して礼。ちなみに満席だ。その静粛さたるや、周りの人の息遣いが聞こえるレベル。空気に型取りされているみたいに動けない。これが裁判の緊張感……!

ただ、こんなに間近で裁判のやり取りを見られるのはちょっとテンションが上がる。逆転裁判見ることができるかなあ? と思いきや!


佐藤達文裁判長「判決ですが、原告の主張を棄却します」


──いきなり言ったァァァアアア! ビックリしすぎて細かい秒数は数えてないが、ひょっとしたら判決を言うまで30秒以内だったかもしれない。少なくとも裁判長以外しゃべってない。

その後、理由的なものを裁判長が述べて裁判は15分くらいで閉廷。最後まで裁判長しかしゃべらなかった。裁判長無双である

裁判というものはすべからく、その場で弁護士が証拠とかあげつらってアレコレ言い合うものと思っていたので衝撃だった。民事裁判ってこんなにサラッと終わるのね

・改めて思ったこと

印象的だったのはメディア席に座っていた記者たちが、判決が出た瞬間に立ち上がって、裁判中にもかかわらず出ていったこと。仕事とは言え、あの雰囲気の中で立ち上がれるのは普通に凄い。

そう思ってしまうほどに空気がビシッと張り詰めて別世界のようなのだ。ちなみに、私は仕事だけど立ち上がれなかったので裁判終わった後で記事を書きました

初めての法廷は想像したものと随分違ったが、緊張感だけはガチ中のガチだった。マジで法廷にだけは立ちたくないものである。

Report・イラスト:中澤星児
Photo:Rocketnews24.