レトルトボルシチなんてものを初めて見た。御徒町のスーパー『吉池』でレトルト棚に置かれていたのである。レトルトカレーをよく食べるため、レトルト文化の成熟は肌で感じていたが、ボルシチのレトルトまで存在するなんて。

とは言え、その実力の未知っぷりはカレーの比ではない。レトルトカレーは種類の多さゆえ競争が激しそうだが、レトルトボルシチはライバルが少なそうだからである。そこでこのレトルトボルシチがどこまでガチなのか、実食してみた。

・日本最初のロシア料理レストラン

税込み396円だった本商品。パッケージには『ロシア料理渋谷ロゴスキー』の名が。どうやらこの店が監修した商品のようだ。ロゴスキーは日本で最初のロシア料理レストラン。そして、1951年に創業した当時から続く看板料理が「いなか風ボルシチ」です……とロゴスキーの公式サイトに書かれていた

私(中澤)はロシア料理好きというわけではないためロゴスキーの名前は知らない。知っているのは本場ロシア料理のボルシチの味だけで、これは以前、ロシア人が「日本と思えない」と語ったロシア料理店でボルシチを食べたことがあるためだ。

・ロシア料理マニアではない

ゆえに、ガチの味は分かるものの、あくまで一般日本人かつロシア料理素人の感想と考えていただいて問題ない。「日本最初のロシア料理レストラン」や「歴史70年」と言われるとビビッてしまうが、今回も正直な感想を申し上げよう。

まず、作り方は、5分湯煎か、皿に移して2~3分レンチンの2パターン。つまるところ、レトルトカレーと同じなのだが、日本の食卓でのレア度を考えると、この手軽さでボルシチが食べられるだけでプラス要素だろう

・レトルトの第一関門

とは言え、それは味と関係のない部分であることも事実。レトルト臭さがあったりするとすべてが台無しだ。そして、価格を見ると、396円はレトルト臭くとも仕方がない価格帯と言える。レトルトが安っぽく感じる第一関門はここだが……

結論から言うとレトルト臭さはない。それどころかちゃんとボルシチの味がしている。安いレトルトカレーやレトルトシチューだとカレーやシチューの味と思えないものもあるが、ビーツもちゃんと入ってるし、食べて「ボルシチだな」と舌が認識する味だ。

・正直言うと

ただし、ガチロシア料理店のボルシチ……長いのでガチボルと略すぞ。ガチボルを思い出して比べると、正直、素材の味が少し薄いのが気になる。ガチボルはもっとトマトを始めとする素材のハーモニーが攻めてきた。


一方で、ロゴスキーはコショウなど調味料の味が強い。ゆえに、ロゴスキーはガチボルほど素材の味が鮮烈に感じられないのだ

というわけで、正直にまとめるなら、レトルトボルシチはガチボルとは違う。素材と調味料のバランスが少し日本っぽいというか。しかしながら395円。価格を考えるとリアルな味であることは疑いようもない事実なので、手軽にボルシチ入門という意味では良いレトルトなのではないだろうか。

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執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.