我が国日本の隣国・中国。古くから交流があるものの、近年は何かと利害の不一致が目立ち、よく思っていない人も多いだろう。だがしかし……! この政策は応援したい。「中国トイレ革命」だ。

文字通り「中国のトイレを本気でレボリューション! 清潔ピッカピカ」を目指したものである。2017年11月、習近平国家主席が改めて強調し、その動きが注目されている。

・中国トイレ革命

中国トイレ革命は、2015年4月に習主席主導で提言されたものだ。3年間で主に観光地のトイレを新設・改修し、清潔なトイレを提供するという政策である。

中国を訪れたことがある人ならご存知だろう。中国の公衆トイレは何かと衝撃的だ。その代表格が「ニーハオトイレ」。個室という概念はなく、ただただ便器がズラっと並んでいるアレだ。

用を足せば、尻も何もかもが丸見え。顏を合わせて「ニーハオ」と言えるくらいの距離感なので、「ニーハオトイレ」と呼ばれているのだとか。ご近所さん同士でウンコをしながら談笑する姿を見たときはマジでビビった。

そして「溝トイレ」もインパクト大。もはや便器はなく、一直線に溝が掘られているだけ。ちょっと気のきいたところで、先頭にバケツが用意されており、気が付いた人が水をくんで流すというものだ。

運が悪いと、前方から知らない人のウンコが流れて来る。またバケツ程度の水なので、水流も勢いもあるわけはなく、後方は排泄物のたまり場になりがちなのだ。とても衛生的とは言えないだろう。

そんなトイレは外国人観光客に大不評。そればかりでなく、地元民の健康にもよくないということで、急速なトイレ革命が進められたのだ。

・トイレを見れば国が見える

中国トイレ革命の宣言からはや2年……習近平国家主席はこの革命を「成果があった」と評価しているそう。10月末までに新設 or 改修されたトイレは6万8000、目標を19.3%も上回ったという。そして、各部門にさらに力を入れるよう指示したのだとか。

実際に都心部では公衆トイレは清潔なものが増えているし、利用者の意識も高まっているように思える。とはいえ、一夕一朝で、あの広大な大地に広がるニーハオトイレや溝トイレが消滅するとは思えないが、いずれこの世から姿を消す日が来るかもしれない。ある意味 “伝統” が失われるとも言えるが、利用者にとってトイレが清潔であるに越したことはないだろう。

私事で恐縮だが、そんな中国のトイレ事情を見ていると、亡き父が常々「トイレを見れば、その家がわかる」と言っていたことが思い出される。

どんなに表面を取り繕っても、トイレを見れば「衛生観念=生きるうえでの基本」ができているかどうかがわかる、というのだ。だからトイレ掃除はしっかりと……という教えだったのだが、それは国についても同じことが言えるかもしれない。

トイレの変化によって、中国も変化している……のかもしれない。

参考リンク:新華網(中国語)
執筆、イラスト:沢井メグ

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