いつの頃からかは知らないが、なぜかバレンタインの時期になると「チョコレートラーメン」を限定販売するラーメン店が増えてきた気がする。そんな風潮に、私、P.K.サンジュンは一言だけ申し上げたい。「誰が得すんの?」と──。

これまで数回に渡り「チョコレートラーメン」や「チョコレートつけ麺」を食してきたが、結局は「食えなくはないけど普通の方がウマい」という結論に落ち着く。だがしかし、日本屈指の人気店『ソラノイロ』ならば……! ソラノイロが本気を出せばあるいは……!!

・2日間限定メニュー

名物の「ベジソバ」がカップ麺になってしまうほどの超人気ラーメン店『ソラノイロ本店』が2020年2月13日と14日だけ、25食ずつ販売するのが「カカオ薫る白いチョコレート麺」である。

カカオ薫る白いチョコレート麺──。そう聞いただけで「おいしそう☆」なんて思うのは、薄っぺらいなんちゃってインフルエンサーか、常人の20倍カロリーを摂取する「泣き虫サクラ(漫画・餓狼伝を読んでね!)」くらいであろう。ハッキリ言って食欲はそそられない

・過去にはチョコミントラーメンも

……んが、ソラノイロの神髄は「ベジソバ」ではなく、型に捉われない斬新な一杯にこそある。これまで「さくらんぼ冷やし麺」「青汁冷麺」「夏野菜とフルーツの塩冷麺」などを限定販売しており、さらに2019年には「チョコミントラーメン」を発表した。

その「チョコミントラーメン」を1時間近く並んで食べたのが、何を隠そう……私だ。ぶっちゃけ「おふざけラーメン」をイメージしていたものの、結果的には「チョコミントラーメンにおける最高傑作」とまで思ったから、「カカオ薫る白いチョコレート麺」にも期待できる……と信じたい。

・行列はあたり前

さて、18時からの販売開始に合わせ1時間ほど前にソラノイロに到着すると、早くも行列が……。当然、狙いはただ1つ「カカオ薫る白いチョコレート麺」である。おそらく並んでいるのは猛烈なソラノイロファンか、超ド級のラーメンマニアであろう。みなさん、本当にお好きですね☆

それはどうでもいいとして、「カカオ薫る白いチョコレート麺」は1杯1300円。純粋にラーメン1杯のお値段と考えた場合、そこそこ高い部類に入るだろう。大丈夫か、ソラノイロ。大丈夫か、カカオ薫る白いチョコレート麺。俺はまだ信じているぞ……!

・麺はチョコレート麺

席について待つこと数分。「カカオ薫る白いチョコレート麺」がやってきた。何も知らずにパッと見たら「ポタージュ系?」と思うであろう乳白色のスープは、ごくごくナチュラルなたたずまい。よく見ないと気付かないほど、チョコレートの気配は消えている

スープには豆乳のような優しい口当たりで、そこにチョコレート感はなかった。……んが、麺は「チョコミントラーメン」でも使用されていたチョコが練り込まれた麺で、褐色のボディは己のチョコを隠す気ゼロである。

そして不思議なことに一口目だけ、ファーストコンタクトだけはチョコではなく小麦を強く感じた次第だ。そう、美味しいラーメン屋さんで一口目の麺をすすった時のあの感覚。二口目以降から徐々にチョコの風味が勝っていったから「入口はラーメンで出口はチョコ」のような摩訶不思議なラーメンである。

さらに不思議なのは、最後までイヤな気持ちにならず食べ切れたということ。フルーツの酸味やごぼうチップの香ばしさがアクセントになり、甘くなりかけた舌を引き戻す役目を果たしていた。「仕上げてきたな」──。これが「カカオ薫る白いチョコレート麺」を食べ終えた率直な感想だ。

・チョコレートラーメンを出す理由を考える

おそらくこの時期のチョコレートラーメンは、ラーメン屋にとって目一杯の創作が許される数少ないタイミングであり、また逆に1度手を出してしまうと避けられないイベントでもあるのだろう。とどのつまり “腕の見せ所” に違いない。

個人的には「ベジソバ」の方が俄然好きだが、ニューヨークあたりで「カカオ薫る白いチョコレート麺」を販売したら1万円くらいで売れる……気もする。少なくともチョコレートという無茶なお題がありながら、ラーメンとして高いレベルで完成していた。


というわけで、ソラノイロの「カカオ薫る白いチョコレート麺」は決してゲテモノラーメンではないから、興味がある人はぜひご賞味いただきたい。「カカオ薫る白いチョコレート麺」は2月13日と14日の18時から、ソラノイロ本店で25食限定で販売だ。

参考リンク:ソラノイロ公式サイト
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.