古来から日本で親しまれているそば。すでに研究されつくしており、型が完全にできあがっていると言っても過言ではない。その上、立ち食い店になると安価であることも魅力の1つ。必然的にメニューは似通ってくる……

そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。今回は、他の店ではあまりお目にかからないメニューが支配するロックな立ちそば屋をご紹介したい。パクチー天に行者にんにく天など、菜の天ぷらが超充実した『稲浪』である。

・ガラスケースの異変

ウマいそば屋を求めて色んな街を放浪する「立ちそば放浪記」。やって来たのは飯田橋だ。夏を予感させる気持ちよく晴れた空はまさにそば日和。もはや、目の前に現れたそば屋『稲浪』ののれんをくぐるのに一片の迷いもない。たのもー!

とは言え、特にメニューを決めていなかった私(中澤)。かき揚げも良いが、春菊も良いな。よし、ガラスケースに並ぶトッピングを見て決めることにしよう。と、その時異変に気付いた。

緑成分高くね? そう、ガラスケースに並ぶ天ぷらに、やたらと菜が多いのである。その様子はさながら緑一色。春菊以外分からないんですけど。

・草への異常なこだわり

メニューを見たところ、パクチー天(税込150円)、あしたば天(税込90円)、根三ツ葉天(税込120円)などがあるようだ。草への異常なこだわりを感じる。さらに、その中でもひと際存在感を放つ天ぷらを発見。

かき揚げタイプが多い中で、そのまま揚げられているこの大ぶりの茎のようなものは一体? 親父に正体を聞いてみたところ……

親父「行者にんにく。くさいよ」

──オススメするどころかマイナス面を言ってきた! それはさて置き、行者にんにく天のトッピングなんてなかなかレアである。というわけで、「行者にんにく天(税込120円)」を注文してみた。かけそばと合わせて400円なり。

・食べてみよう

生育速度が遅いため、希少な山菜とされている行者にんにく。はたして、そばと合うのだろうか? っていうか、食べるの初めてだ。一体どんな味なのか? 食べてみたところ……

ニラのような歯ごたえの中広がっていくにんにくの風味。その野太い強烈さと甘めのつゆでふっくらとした衣に、自然とそばが進む。ウマイ! クサイけど激ウマ!! とても400円とは思えない味である。

なぜか、菜の天ぷらが超充実しているこの店。通常のきつねやかき揚げもあるが、明らかに緑成分が高めである。やっぱりそばには菜の天ぷらだよね! そんなあなたはきっと満足できるはず。

・今回紹介した店舗の情報

店名 稲浪
住所 東京都新宿区新小川町5-8
営業時間 月~金6:00~17:00
定休日 土・日・祝日

Report:立ちそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼菜の天ぷらサイコー!

日本、〒162-0814 東京都新宿区新小川町5−8