国内所持率が8割近いと言われているにもかかわらず、いまだべらぼうに高額なスマートフォン。その分、中古スマホの需要は日々高まりつつあるが、個人的にどうしても気になるのが個人情報だ。やはり古着や古本と同じ感覚というワケにはいかないだろう。

仮に私(あひるねこ)がスマホを売ったとして、そこに入っていた情報が何らかの手段で復元でもされたら一大事である。「マジかよ、前の持ち主ロケットニュースのヤツじゃん(笑)」なんて事態になったら、もう死ぬしかあるまい。

そこで今回、中古スマホを扱う工場に潜入し、個人情報が本当に消去されているか探ってみることにした! 緊迫の一部始終を以下でお伝えしよう。

・潜入調査

2020年1月某日──。私は東京から新幹線で名古屋に来ていた。中古スマホの工場に潜入するためである。どうやらこの建物がそうらしい。

入口に書かれた「ゲオ 名古屋プロセスセンター」という文字。そう、実はこちらはレンタルビデオや中古ゲームでお馴染み「ゲオ」が運営するモバイル専門店「ゲオモバイル」の工場なのだ。


早々に黒幕の正体が分かったところで……


さっそく中に潜入。


するとそこには……


大量の段ボールが……!

聞くところによると、各店舗で買い取られたスマホや携帯電話は一旦工場に集められるそう。その数は1カ月で約1万台にものぼるという。え、みんなそんなにスマホ売ってんの? そこにまず驚きなんだが……。

・厳重なセキュリティ

さて、ここから先は機密情報を扱うエリアだ。中に入るには専用のカードキーが必要になる。

ピッ! とかざすとカギが開くのだが、なんでもこのカードは部屋から出る時も必要なんだとか。つまり、たまたま侵入できたとしても結局外に出られなくて詰むってワケ。だからくれぐれも忍び込もうなんて思うなよ。人生も一緒に詰むぞ。

・内部へ潜入

さあ、セキュリティを突破した先ではいよいよ、この記事の肝である中古スマホ初期化の現場に立ち会えることに。うおおおおおお! トップシークレット感あるゥゥゥゥウウウ!! もちろん店舗での買い取りの際にも初期化はされるものの、完全な消去は工場で行われるのだ。

それでは加工の過程を順番に見ていこう。店舗から送られてきたスマホはまず充電ブースで充電される。そこにはケーブルが無数に設置されており、場所が場所なら人がゾンビのようにワラワラと集まって来そうな、さながら充電天国の様相を呈していた。

天国を横目に進んでいくと……ん? んん!? ど、どういう状況なんだコレは……。大量の中古スマホが機械に繋がれ支配されているではないか! 暗い未来かよ!! なんか怖えーよ!

・完全消去

説明しよう。実はちょうど今、ここで、中古スマホのデータが完全に消去されているのである。なるほど、よく見るとモニターには「消去中」だの「消去済み」だのと表示されているな。

データ消去には、官公庁も導入しているという『Blancco(ブランコ)』なるシステムが使われる。世界15以上の組織から認定を受けている猛者中の猛者とのことだ。これで中のデータを空にした後、意味をなさない文字列データを上書きすることで解析不能にし、個人情報の漏洩や悪用を防ぐんだとか。

作業はスマホ1台につき約10分~20分で終了するらしく……え? てことは……本日の潜入終了? 早くね!? 名古屋まで来た意味……! と思いきや、工程はまだまだあるようなので引き続き見ていきたい。消去が終わったら、次に待っているのは動作確認である。

傷や破損、バッテリーパックの膨らみを確認し、他にも液晶画面、ボタン、カメラ、バイブ、着信音などに異常はないか1台ずつチェックしていく。

ちなみに、すでにお気付きかと思うが、これらの工程はすべて手作業によるものだ。ゲオモバイルなりの何かこだわりがあるのだろうか? 聞いてみたところ、やってくれる機械がないからとのことだった。まあ、そうだよな。お疲れ。

そして最後に、個人情報が残っていないかの最終確認をしてフィニッシュ! ……にはまだならない。ならないの巻。そう、これが終わったらスマホ全体のクリーニングが待っているのだ。表面はもちろんバッテリーパックの裏側から隙間まで、こちらもすべて手作業で行っていく。

間近で見せてもらったが、スピーカーって小さい穴? みたいなのあるじゃないですか。あの部分も道具で全部キレイにしていたぞ。本当にお疲れ様です。クリーニングが終わったら最後にシールを貼って……


ようやく完成である!

・入念な工程

ぶっちゃけ今まで、買い取られたスマホはそのまま店頭に並んでいるものだとばかり思っていた。しかし、ゲオモバイルの中古スマホはすべてこういった作業を経て、万全な状態で出荷されているのだ。

さらにぶっちゃけますと、実は私、今の今までスマホを中古で買うとか100パー無しだろって思ってたんですよ。古着とかならいいけど、スマホは売るのも買うのもナシよりのナシやなって。

でも今回工場に潜入してみて、ゲオモバイルの作業の徹底ぶりを目の当たりにし、これはアリよりのアリだなって思うようになった。新品のスマホってちょっと意味分かんないくらい高いし、次に買い替える時は中古でもいいかなぁ。

・現金でもらえる

ちなみにスマホを売る際、キャリアショップの下取りに出すとポイント還元なのに対し、ゲオモバイルだと現金化できるとのこと。ここ最近、支払いはもっぱらキャッシュレスな私だが、もらえるなら現ナマが一番アガるのが人情ではないか。

・料金を安く

中古スマホを買ったついでに、もういっそのこと格安SIMに乗り換えてもいいかもしれない。ゲオモバイルによると格安SIMにした場合、大手キャリアの料金と比べて月々4000円以上、年間だとなんと約5万円も安くなるケースが多いそうだ。これもアリよりのアリ案件と言えよう。

・迷ったら相談

店頭には「スマホ相談員」という強者が待機しているので、自分に合ったプランをバッチリ相談できるぞ。もしあなたが4月から新生活を控えているなら、そろそろ準備に取り掛かり始める時期ではないか? スマホを新しくするタイミングとしても申し分ないはずだ。

これを機にスマホを買い替え、月々の料金も見直したいという人は、とりあえずお店に足を運んでみてはいかがだろう。


つまり結論としては……


安心な中古スマホ最強ォォォォォオオオオ!


– 完 –

参考リンク:ゲオモバイル
Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.