「ドローンの羽の回転、遅くね?」 ──そう感じたのは、キッチンドローンの電源をONにしてから、わずか5秒後のことだった。つまり、私のテンションがドローンで浮き上がったのは約5秒。

その後はゆっくりと降下を続け、約30秒後に「まぁ、これくらいがちょうど良いのかもなぁ」というところに着地した。視界不良のモヤモヤした着陸ポイントに、私は今いる。……つまるところ、私はキッチンドローンの全貌をいまいち把握できていないのだが、自分が見えている範囲のことだけでも報告したい。

・キッチンドローンとは?

そもそもキッチンドローンとは何なのか? ドローンというくらいだから、空飛ぶキッチングッズ? と思う人もいるだろうが、このドローンは空を飛ばない。じゃあ何をするのかというと、具材をひたすらかき混ぜるのみ。鍋の底を這うように ただただ具材をかき混ぜる。それが、キッチンドローンの任務だ。

したがって、キッチンドローンは空軍所属のようなネーミングにもかかわらず、仕事内容はバリバリ陸軍。キッチングッズの “ほふく前進専門部隊” なのである。

このキッチンドローンが活躍するのは、コトコト煮込み系の鍋。その上にセットすると、羽(ブレード)の部分が回転し、自動で具材を炒めてくれる。玉ねぎなんて、飴色までノンストップ。他にも、ジャムやらホワイトソースなどを作るときには便利な予感がするぞ。

ちなみに、Amazonによると『キッチンドローン』はイタリア発のキッチングッズで、同サイトでの価格は1個1270円(2019年6月20日時点)だ。ドローンと名のつく商品の中では、世界最安……かもしれない。


・使い方

さて、この商品を使うには、まず単三アルカリ乾電池を4本用意する。これは別売りだから注意してくれ。


その電池を本体にセットし……


フタ的なものをハメて……


ついでにシャフトもハメて……


そのシャフトに黒い羽(ブレード)をガチャン!


本体をひねると……


ビヨ〜〜〜ン


──とするのがヒジョーに楽しいものの、何回かやると飽きるので、適当なタイミングで鍋にセットしよう。どうしても「ビヨ〜〜〜ン」に夢中になりがちだが、必要に応じて飛び跳ねネットを使うことも忘れずに。

また、黒いブレードは長さが伸びるので、事前になべ底のサイズに合わせてからガチャンと接続するのが効率的。

セットに関しては、こんなところだろうか。複雑な工程が無いので、そういう作業が苦手な人でも手間取ることはほぼ無いはず。ただし、使用後のブレード掃除はやや面倒くさい。この部分に具材が詰まっちゃうのだ。

というボヤキはさておき、セットが終わったドローンを見ると……


鍋の上に浮いている……ように見える。このあたりがドローンの由来なのだろが、もちろん浮いているわけではなく、鍋のフチに必死で掴まっている。ダチョウ倶楽部の上島さんが熱湯風呂に入る直前のような状態というか、華やかさ皆無の浮き方だ。


とにかく、そのまま電源をONにすれば……


ウィーンウィーンと結構な音量を響かせながら、ゆっくりとブレードが回り出した。ここで「遅っ!」と感じても、回転速度を変えるボタンはない。スピードは固定である。


・時間を計ってみた

この回転速度、具材を混ぜるというドローンの任務を考えれば、ちょうどいいのかもしれない。しかし、「ドローン」の名前がついた商品であることを考えたら遅すぎる。明らかに墜落必至の回転速度だ。試しに時間を計ってみると、ブレードは1分間で約10回転だった。1回転するのに約6秒ってところ。

こんなにゆっくりしたものをドローンと言っていいのか? 「低速自動かき混ぜ器」とかが妥当なところではないのか? って気がしたが……まぁ楽しいからいいか。ビヨ〜〜〜〜ン。

参考リンク:Amazon「キッチンドローン
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼説明書によると、キッチンドローンに対応している鍋のサイズは直径16~24cm・深さ7~13cmとのこと

▼また、使用時間は15〜20時間らしい