誰だって一度はタイムトラベルに憧れたことがあるはず。過去に行って歴史を変えたい、未来に行って技術の進歩を体感したい。でも『ドラえもん』じゃないんだし、現実では無理だよなあ……なんて、ため息をついているそこのあなた!

これからご紹介する絵画を見れば、そんな考えも変わってしまうかもしれない。なんと19世紀に描かれた絵画にスマートフォンらしきものが映っているというからだ! タイムトラベラーの仕業か!?

・1860年頃に描かれた絵に……スマホ!?

「1860年頃に描かれた絵に、iPhoneを持つ女性が映っている」「150年前の絵にiPhone登場」……そう、多くの海外メディアが ある1枚の絵を取り上げている。スコットランド在住のピーター・ラッセルさんがTwitter上で指摘したことで話題となった。

オーストリアの画家フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラーによる『期待』と題された絵で、1860年頃に描かれたものだという。

田舎道を歩く女性と、道の途中で彼女を待つ男性の姿が描かれている。男性の手には女性の為に用意したと見られる小さな花が握られており、この部分にタイトルの「期待」が感じられる。

だが注目すべきは、女性の手元。彼女は、手のひら大サイズの物体を両手に包んでいるのだが、なんだかスマホを握っているように見えないだろうか? 下に向けられた目線も、スマホの画面に集中しているように見える。

もしかしたら誰かがタイムトラベルして、彼女にスマホを渡したのでは……などと考えると面白いが、彼女が手にしているのは賛美歌集ではないかと伝えられている。残念!

・17世紀にも iPhone が存在していた!?

昔の絵画に “スマホ” が登場したのは、これが初めてではない。以前にも、1670年頃に描かれた絵画にiPhoneが映っているとAppleのCEOティム・クックさんが指摘した。

オランダの画家ピーテル・デ・ホーホの絵画に登場する男性の手に、 iPhone らしきものが握られているのだ。

絵のタイトルは『玄関ホールで女性に手紙を手渡す男性』なので、彼が握っているのは手紙だと考えるのが妥当。だが、クックさんは「iPhoneがいつ発明されたか、これで分からなくなりましたね」と冗談めかしに発言したのだった。

・チャップリンの映画にも携帯電話が登場?

このように “時を超えた携帯電話やスマホ” が登場する動画や写真は、他にもたくさんある。

例えば、1938年にニューヨークで撮影された動画『Massena Time Traveler Cell Phone 1938』や、1928年のチャーリー・チャップリンの作品『サーカス』にも、携帯電話のようなものを手にした人物が登場しているのだ。

・ラッセルさん「当時の人なら賛美歌集だと分かったはず」

だがこれらは、今の時代に生きる私たちが見るからこそ、なんでもかんでも携帯電話やスマホに思えてしまうのかもしれない。

前述のラッセルさんも……

「技術の普及具合によって、絵の見え方が変わってくる」

「1850〜60年代の人々がこの絵を見ても、女性が手にしているのは賛美歌集や祈とう書だとすぐに分かったはずです。しかし今の時代の人の目には、若い女性がスマホに熱中しているように映ってしまうんですね」

……と述べているのだった。

ということは逆に、今の時代に撮影された写真を昔の人が見たら「みんな、なぜ賛美歌集や手紙を耳にしたり、ジッと見つめて歩いているのだろう?」などと不思議に思うかもしれない。

参照元:Mail Onlineindy100CNBC(英語)、YouTube[1][2]
執筆:小千谷サチ
Photo:Wikimedia Commons[1][2]

▼1938年の映像。女性が携帯電話を手に歩いている!?

▼チャップリンの『サーカス』はこちら