悲しいかな、人生における時間は有限である。その上で「どう生きるか」というのは非常に大事なことだ。筆者はなるべく空いた時間を見つけて、Uber Eatsの新着店舗情報に唐揚げ屋が載っているかどうかを確かめるようにしている。唐揚げを愛しているが故である。

そんな熱心な活動が実り、最近、新たに注目すべき唐揚げ屋を発見した。「唐揚げ宅配専門店」を称するその店の名は「赤丸唐揚げ」。メニューを見てみれば、唐揚げが何やら赤い。それが唐辛子の色だとわかった瞬間、注文の意向を固めていた。辛い物好き故である。

Uber Eatsを通じて、東京とその周辺に分布する17店舗(2020年7月30日現在)を拠点に配達を行っている「赤丸唐揚げ」。どうやら件(くだん)の赤い唐揚げは同店の看板メニューらしく、名前もそのまま「赤丸唐揚げ(1個149円)」という。

さらに特徴的なのが、この唐揚げに関して「1辛」から「5辛」までの「辛増しオプション(数字が増すごとに10円追加)」を選べる点だ。力の入れようが伝わってくる。

せっかくなので今回は通常の「赤丸唐揚げ」に加え、「3辛(1個179円)」のものも頼むことにした。「5辛」を選ばなかったことに深い理由はない。辛い物好きとはいえ辛い物が大得意というわけではないため、「5辛」だと泣いてしまう可能性があったからだ。

ともあれ、注文した2つのパッケージが届いたので開封してみる。改めて実物を前にすると、やはり赤い。

「辛増し」をしていない通常の「赤丸唐揚げ」であっても、やけくそのように唐辛子が振りかけてある。すでにこの時点で涙がこぼれそうである。及び腰になって「3辛」を選んだが、それすら背伸びのしすぎだっただろうか。

不安が立ち込める中、まずは通常のものから箸をつけることに。つかむのに一苦労するほどの大ぶり具合のうえに、持ち上げた瞬間にふわりと香ばしい匂いが漂った。不安など消え失せていた。食欲のままにかぶりつく。

歯先がサクサクとした衣を突き破り、弾力のある肉を噛みしめる。濃厚なタレがコクのある旨味と連れ立って溢れ出てきた。美味しい。そして予想していたよりずっと辛くない。全く平気だ。

いっそ安心感さえ覚える適度な甘辛さに、何度も箸が引き寄せられる。そのたびに少しピリっとした感覚が走る程度で、辛い物が苦手な人でも問題ないのではないかと思えるくらいだ。

これならば行けるだろうと踏んで、今度は「3辛」の方に挑む。筆者の唐揚げ人生における最大の賭けだったが、見事に成功した。

通常のものよりは当然辛い。舌がひりつくし、徐々に額に汗もにじんでくる。しかし個人的には絶妙に許容範囲内で、辛い物を食べている満足感もひとしおだった。

もっと言えば、辛さが増している分だけスパイスの風味も豊かになっているように感じられ、むしろこちらの方が味わい深かった。オプションを選んでよかったという思いしかない。

店側が推しているだけあって、さすがのクオリティを披露してくれた「赤丸唐揚げ」。適切な辛さを選べば、多くの人の舌に適合するはずだ。唐揚げ単品だけではなく、お弁当などのメニューも充実しているので、気になった方はぜひ覗いてみてほしい。

この店に偶然にも出会えた喜びを、筆者だけで終わらせるのはもったいない。ここからさらに赤い丸の輪が広がっていくことを願おう。

参照元:「赤丸唐揚げ」公式HP
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.