国民の9割以上がイスラム教徒の国イラン。旅行者には大変やさしく、バックパッカーの間ではすごし易い国として知られています。旅行者だけでなく、貧しい人への「施し」も、イスラムでは義務化されており、街のいたるところに募金箱が設置されています。その数は多いところで、100メートルの間に10個! 油断していると、パーキングメーターと間違えてしまいそうになります。

記者(私)はイラン滞在当初、本当にパーキングメーターだと思っていました。幸い運転する機会がなかったため、本当に間違えてしまうことはなかったのですが、道端にいくつも設置されているために、募金箱とは想像もしませんでした。

日本でいえば、自販機に匹敵する数。いや、それ以上設置されているのではないでしょうか。実際募金をするのかどうか、イランの人々に尋ねると、意外にも返答はマチマチです。毎日欠かさず募金をするという人もいれな、余分にお金を持ち合わせている募金する、という人もいました。義務化されているとはいえ、ふところ事情によって、異なるようです。

募金するという人に詳しく話しを聞くと、「神様は全部見てる。だから余分にお金があるときに、募金しないと何か悪いことが起きる気がする」と、教えてくれました。しかしその善意は、無事に貧しい人のもとへ届いているのでしょうか。いたるところに募金箱があるのは良いのですが、安全に管理されているのかは微妙です。

実際に、募金箱からお金を盗むのを見たという人もいました。したがって、管理体制は十分とはいえないようです。とはいえ、盗人がいるからといって、毎日募金している人の習慣は、変わることがないでしょう。なぜなら、見返りが欲しくて募金や施しをしているわけではないのだから。旅行者に対してのやさしさも、見返りを求めてのことではないと、記者は体験から感じ取っています。

取材、写真:Photographer Koach
執筆:フードクイーン・佐藤

▼ 見た目はパーキングメーター、もしくはポストにそっくり