shokushitu

自分で言うのも何だが、私(佐藤)はさわやかな人物ではない。見るからに怪しいところがある、大体金髪だし……。だが、慎ましやかに生きているつもりだ。できるだけ人に迷惑をかけないように、細々と生きている。

それなのにだ! またしても警察に呼び止められた。以前は下を向いただけで、職務質問される始末。今度は道の向こうからパトカーが来たから、よけただけで「(警察を)避けるような動きがあった」というのだ。ムチャクチャでしょ、お巡りさん。車来たら誰だって避けるって。それだけでなく、そのお巡りさんの行動に疑問を抱かずにはいられなかった。

・パトカーをよけたら

ある日の帰り道でのことだ。時間は21時すぎ。事務所近くの雑貨屋さんでタバコを買い、裏道を歩いていると、1台のパトカーが向こうから来た。すぐ近くに駐車場があるので、そっちの方によけてやり過ごすと、1人のお巡りさんが駆け寄ってきて「ちょっといいですか?」という。

・断る方法はないのか

またか、と思った。3年前にも同じように声をかけられたから、何か聞いてくるのだろうと思っていると、やっぱり「持ち物を調べさせてもらっていいですか?」という。断る方法があるなら知りたい。だって、ただ歩いているだけじゃないか。でもその方法を知らないから従うことに。

・カバンの中身も

パトカーに同乗していた、2人のお巡りさんも降りてきて、3人で私を囲む。まずは上着のポケットに入っているものを調べる。1つひとつ出して一通り見られる。何が出てくる訳ではない。タバコと名刺入れ、PASMOとガム。そんなものだ。

これで終わりかと思ったら、今度は「カバンの中身もいいですか?」。なぜ? しかもである。「刃物とか持ってないですよね?」、どういう基準でコレを聞いているのか、まったくわからない。その時だ。

・お巡りさんが2~3人の男にあいさつ

私の後ろの方から2~3人の男性が連れだって歩いている声が聞こえた。その声が真横を通りすぎようとしたところで、ひとりのお巡りさんが「こんにちは」と声をかけたのだ。

知り合いなのかな? と思い、その3人を見ると……。明らかにその筋の人たちであることがわかる。3人ともゴツい身体付きをしていて、パンチパーマ。さらに驚いたのは、ひとりの顔に殴られたような大きなアザがあった……。

・彼らはスルー?

『お巡りさん! あの人たち普通じゃないよ!! だってほら、あの右の人の顔を見てごらんよ。ヤバくない? ねえ、ヤバくない? 俺はヤバいと思うんだけどねえ。俺の持ち物を検査してる場合じゃないでしょ。朗らかに「こんにちは」じゃないでしょ? ねえ』、そう心で叫んだ。

そんな人たちに、媚びたようにあいさつした風に見えたけど、気のせい? たしかに私の見た目は怪しい。怪しいけど私よりも彼らの方がアレなんじゃないの!? なのに、彼らにあいさつしてスルーするのは、ちょっと納得できないんだけど!

私が「避けたように見えた」のは、あくまでもお巡りさんの主観でしかないと思う。何かきちんとした理由があるのなら、それをちゃんと説明して欲しい。時々職質や持ち物検査を、理不尽だなと思う。たしかに私の見た目は怪しいけど……。

執筆:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24