6月4日、今日は「虫歯予防デー」である。おそらく長年歯医者に行っていない人も多いはず。せめて年に1回くらいきっかけを見つけて、歯医者に行くべきだ。そのきっかけの1つに、今日という日をいかして欲しい。

私も昨年一念発起して、真剣に治療に取り組んだ。現在まで健康な歯を維持しているのだが、日々どんなケアに努めているかをお伝えしたいと思う。「歯医者に行くの面倒くせえ」と思う人に、ぜひ読んで頂きたい。

・5本もの歯を失う

治療に行く前の私の口腔環境は、ボロボロとしか言いようがなかった。「歯冠崩壊」もしくは「残根状態」の歯が5本もあったのだ。歯冠崩壊とは、歯のてっぺんが虫歯により砕けていることを言う。残根状態は、歯の根っこしか残っていないことを指す。

幼い頃から歯並びが悪く、虫歯になりやすい歯列だった。治療でかぶせた銀歯が外れたのをずっと放置していたために、このようなヒドイ状態になってしまったのだ。


・ブリッジ53万円!

毎週1回7カ月ものあいだ歯医者に通い続け、かなりまともな口腔環境に回復するに至る。その間の治療でもっとも費用がかかったのが、ジルコニアセラミックスのブリッジ(3本分)だ。ジルコニアセラミックスは銀歯と違い、保険がきかない。その費用はなんと53万円!

虫歯を放置していた自分の責任。長い目で見れば、きっと高い買い物ではないと思って、現金一括で支払った……。


・治療を終えたところからが始まり

さて、治療はここで終わったのだが、治療後が本当の始まりであると、私は思う。というのも生きている以上は食事を欠くことはできず、食事をするということは歯は汚していることになる。歯のケアは日々の積み重ねである。健康は1日してならずだ!


・どんなに悪くても「自分の歯と向き合うこと」

治療によって歯の健康を取り戻した私が、もっとも注意して行っているのは歯磨きだ。そんなの当たり前だろ! と思う人もいるだろうけど、5本も歯をダメにする人間が、歯磨きをキチンとやることにどれだけ心を割いているか、わかって欲しい。

きっと現在歯が悪い人も、歯磨きが大事なことなど百も承知だ。大事なのは、「自分の歯と向き合うこと」ではないだろうか。


これはダイエットや筋トレ、もしかしたら禁煙などと同じことかもしれない。自分の置かれた状況を正しく把握して、それと向き合うことからしか始めることができない。歯の悪い人は、自分の悪い歯を鏡を通して見るのがイヤだったりする。できるだけその現実から目を背けたい気持ちになる。

私自身がそうだった。わかっているけど、向き合わなければ知らずに済む。そんな気持ちだったと思う。しかし事実から目を背けても何も前には進まないのだ。その反省を踏まえて、今ではほぼ3食後に歯磨きをするようにしている(たまに昼食後に怠ることもあるが)。


・食べカスの与える影響

その歯磨きで私が気をつけているのは、いわゆる「歯周ポケット」に入る食べカスの除去だ。歯磨きがあまり上手でない人は歯の表面をゴシゴシやるに終始するのだが、大事なのは、歯と歯茎の隙間の掃除。歯ブラシでうまくいかない場合は、歯間ブラシも使用して、鏡を見ながらしっかりと食べ残しを取るようにしている。

食べカスが歯茎に与える影響は結構深刻だ。虫歯もさることながら、歯茎の後退をもたらす可能性もある。

食べカスは放置すると歯垢になる。歯垢は歯磨きで除去できるが、歯垢がそのまま除去されないと歯石になってしまう。歯石は歯磨きで除去できない。歯石の沈着が長く続くと、歯と歯茎の隙間を隙間をどんどん広げることになる。その影響で歯周病を促進し、歯茎がぶよぶよになって歯の根幹を揺るがすようになる。


・唾液本来の働きをいかす

唾液には本来、歯を健康に保つ働きがある。唾液が歯に接触する状態を保つと、エナメル質を生成する効果があるのだ。これが歯の「再石灰化」というヤツだ。食べ残しがあると、唾液が充分に歯に接触することができず、再石灰化を促すことができない。歯磨きは歯にも歯茎にも大事な役割を果たしていると言えるだろう。

逆にいえば、「歯磨きをしない」ということは、歯と歯茎の健康を自ら遠ざけているとも言えるだろう。


・まずは歯医者に

私は毎日の歯磨きと、月に1度通院して歯のコンディションを歯医者さんに確認してもらっている。その時に、歯磨きの出来をチェックしてもらって、不十分なところがあれば日々改善をしている。結局どうすりゃいいんだ!? という人のために、以前の記事でもお伝えしたまとめを紹介しておこう。


1.まず歯医者にいく
2.自分の歯と歯茎の状態を知る
3.治療にどれだけの時間と費用がかかるのかを知る
4.歯を入れる場合には、いくつか選択肢(銀歯(保険適用)・セラミックス(保険適用外)など)があることを理解する
5.歯磨きを見直す
6.歯を入れてからも定期的に歯医者に行った方が良い


とにもかくにも、まず歯医者から! 口腔環境を正しく把握して、歯磨きを見直すことから始めよう。そして、小さな努力を積み重ねて、歯と歯茎の健康を取り返そう!! きっと良くなるから

取材協力:小山歯科 中目黒デンタルスクエア
Report:佐藤英典
Photo・イラスト:Rocketnews24