奈良には鹿しかいないと思っているそこのアナタ! 「そんなことないよ~」と声を大にして訴えたいところではあるが、そう捉えられても仕方がない現実がココにはある。夏の夕方には決まって、数百ものに鹿がうじゃうじゃと一堂に会するのだから。

一度でも目にすればわかるが「コラ画像かな……?」と思うほどに、不自然な情景。『鹿だまり』と呼ばれ、一説には “涼を求めるために集まっている” という。しかしこれだけ密集していれば、むしろ暑かろう。何頭集まっているのか、何故集まるのか。気になって仕方がないので、調べてみたぞ。

・『鹿だまり』は1時間程度か

記者は毎年『鹿だまり』を見てはいるが、2019年は特に数が多いとの噂を聞いていた。どれほどのものかと気合を入れて4度、観察をしに出掛けてみた次第だ。じっと見ていると、鹿たちは18時半ごろから奈良公園の一角に位置する奈良国立博物館前に集まりはじめる。

19時少し前には、集まって来る鹿も落ち着き、その数はピークに達する。各々好きな場所に陣取ったまま、動かずじっとしているようだ。19時を過ぎたあたりから鹿たちは立ち上がり、またどこかへと帰っていくことが、お決まりの行動パターンであることがうかがえた。なるほど『鹿だまり』ができるのは、おおよそ1時間ほどのようである。

・実際に数えてみた

あまりに鹿がたまり過ぎているので、何頭いるのか数えてみることにした。折り重なっている鹿も多く、くじけそうになりながらもカウントする。鹿たちはたまっている間は滅多に動かないことが不幸中の幸いだ。

汗だくになりながら、数えた結果は……623頭!! もちろん日によって数は変わるだろうし、この日も多少の誤差があった可能性は否めない。しかし、ざっくり600頭ほどの鹿が集まっていたことは間違いないはずだ。

2019年現在、公園には1388頭の鹿がいることが、奈良の鹿愛護会による調査で明らかになっている。つまり公園内に生息する鹿の約半分が、鹿だまりに参加しているのだ。いやいやいや……集まり過ぎでしょ! 

・鹿に突撃インタビューしたところ……

見たところ、全く涼しげではないが彼らは何を思ってたまっているのか。考えても埒が明かんと、奈良の鹿愛護会に問い合わせてみたところ、予想外の答えが返って来た。

なぜ集まるのかの理由もわかりません。

なんと、奈良の鹿の生態について、どこよりも詳しそうな同会を以てしても、鹿だまりの理由についてはわからないのだとか。

いやはや、謎は深まるばかりである。仕方がないので最終手段として、鹿に扮した記者が直に聞いてみることにした。まあ、結論から言うと彼ら自身もその理由はわからないとのこと。なんとなく集まっているに過ぎないらしい。記者は鹿語の理解に乏しいので、本当がどうだかわからないけどね……。

こうして多くの未解決問題を残したまま、鹿だまり調査は終わりを迎えた。引き続き、チェックはしていこうと考えているので気付きがあれば、また報告したい。夏休み中のキッズたちも、自由研究の一環として、鹿だまりの謎に迫ってみてはいかがだろうか。何か発見があれば是非とも教えてくれよな! 

参照元:奈良の鹿愛護会
Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.
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▼毎年7月から8月にかけて、奈良国立博物館前には「鹿だまり」ができるのだ

▼どこからともなく集まる

▼心なしか排気口周辺に密集している気がするが、涼しいのだろうか

▼水に足を付けたほうが気持ち良いと思うぞ

▼昼間は暑すぎるのか、鹿の姿はほぼ見られない奈良国立博物館前

▼奈良の鹿愛護会の力をもってしても、その理由は不明

▼なぜココに集まってるんだろう。気になる~! 

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