2017年3月27日、破産手続きが開始した格安海外旅行業者「てるみくらぶ」。テレビ朝日によると、そんな「てるみくらぶ」は今年度50人ほどの内定者を出していたという。新年度が目の前まで迫ったこのタイミングで突如就職先がなくなってしまった新卒生たちは哀れと言うほかないが、そんな彼ら彼女らに救いの手が伸びた

なんと「JALF」が、内定を取消された学校卒業生をほぼ無条件で採用することを発表したのである。捨てる神あれば拾う神あり! でも、団体名聞いたことないんだけどココって何してるとこ? そう思って、HPを見てみたところ……団体の説明がイミフすぎィィィイイイ!!

・JALFとは

まず、HPを開くと、トップには「財団法人宿泊施設活性化機構」との文字が躍る。ふむふむ、財団法人なのか。だが、「宿泊施設活性化機構」って何だ? 耳馴染みがなさすぎる言葉である。具体的に何をやっている団体なのか……組織情報の「JALFとは」という項目を開いてみると下記の説明が書かれていた。

これは、或る男の思いが形となって始動した。或る男は、都市銀行からシンクタンクを経て監査法人系コンサルティングファームに。
そこで、零細旅館から超大型ホテルまで、様々な宿泊施設の事業再生を手がけていく。

男が常に感じていたことがある。

『宿泊施設においては、マーケティング機能がほぼ欠如し、加えてセールス機能も極めて脆弱である』と。その一因が、「目の前に来たお客様を全力でもてなせばよい」というメッセージ発信にあると気づく。つまり、「お客様が目に前に来るまでの販路や累積消費額は考えなくてよい」という幹部からの指導が存在しているからである。

なぜなら、一旦接客担当の従業員にまでゲストの区別を託すと、根拠なき差別の危険性をはらんでいるからだ。肝心のリピーターゲストを見落として、怒らせることが明らかであると幹部が考えているからである。それが管理職に昇進したとたん、売上げ向上が担務となる。わかるわけがない。

かくして、積極的セールスではない、新しいコミュニケーションの形で継続的に売る仕組みを構築するマーケティングが宿泊施設にはなかなか根付いていかないのである。

次に男が感じていたのは、外資系ホテルの優越。『なぜ日本の宿泊施設はダメなのか?』
答えは簡単であった。

1.右脳的付加価値販売ができないから(左脳的(合理的)な割引販売しかできない)
2.本部に各ホテルのベストプラクティスをいったん吸い上げ、各ホテルに再配分する仕組みが動いていないから。
(中略)

これらの課題はいずれもコミュニケーションに基づくものである。そう、宿泊業界はコミュニケーションが下手なのである。お客様とのコミュニケーション、同業者同士のコミュニケーション、政界とのコミュニケーション、官界とのコミュニケーション、経済界とのコミュニケーション、就労希望者とのコミュニケーション、一般国民とのコミュニケーション、etc

JALF = 業界広報組織
「同業者同士のコミュニケーション以外」のすべてのコミュニケーションの推進・支援を担務する、新しい組織です。JALFはいわゆる「業界団体」ではありません。現存する全ての「業界団体」と、補完関係にあるコミュニケーション支援・促進団体です。

まずは、黒字化するノウハウと各種相談権に対して、年会費をお納めいただければ幸いです。必ずや、国民および政官へ宿泊業界のプレゼンスを高めてまいります。」(原文ママ)

──イミフすぎ説明する気なさすぎィィィイイイ!「答えは簡単」と言っておきながら、「1.右脳的付加価値販売ができないから(左脳的(合理的)な割引販売しかできない)」って答え難しすぎーーーーーー!! 結局何するとこかがわからなかったので、『JALF』に直接聞いてみた。『JALF』って何なんですか?

JALF「宿泊の業界団体です。『政観広報』『業界内広報』『一般国民広報』の3本柱で活動していますね」

──『政観広報』って何するんですか?

JALF「『政策提言』などをしています」

──せ、『政策提言』……?

JALF「宿泊における法律や法令の問題を政府、内閣などに提言する活動ですね」

──何それ凄そう。では『業界内広報』は?

JALF「収益向上のノウハウを業界内でシェアしたりして広めていく活動になります」

──コンサルティング的な感じですかね。

JALF「そうですね。例えば、ホテルに広報担当として常駐しつつディレクターとして活動するなどの仕事があります」

──なるほど。『一般国民広報』はどんな感じなんでしょうか。

JALF「宿泊産業や施設の情報を国民に広める仕事です」

──それって具体的には何をするんですか?

JALF「フェイスブックやTwitter、HPなどで情報を発信したり、ドラマやCMなどで広めたりの広告関係全般ですね」

──なるほどなるほど。この団体に入った場合、具体的な業務の内容を教えてください。

JALF「団体全体の業務は多岐に渡るので、その人の向き不向きに合わせて……という感じです。団体の業務には、経理などの一般事務から、イベントもやっているので企画・立案が得意な人も歓迎です」

──仕事量ってどれくらいあるんですか?

JALF「仕事は毎日降ってくるように一杯あるので、自ら仕事を見つけて能動的に動ける人は人脈もノウハウもグイグイ広がるでしょうね。ただし、ずっと指示待ちのような受け身の人には難しいかもしれません」

──ありがとうございました。専門用語的なものが連発したため、キョドってしまったが、要するに、宿泊業界全体をアピールする広告団体というイメージのようだ。また、HPの求人募集に記載されていた給与は以下の通り。

・給与

「正社員(健康保険共済年金雇用保険労働保険加入)総給与額14万円~35万円
契約社員(雇用保険労働保険加入)総給与額15万円~38万円
アルバイト(時給制各種保険加入なし)総給与額18万円~40万円
※報酬は金銭的対価が主体ではなく、知識や人脈などのナレッジが対価の主体となります。」

──安いと見ることもできるが、仕事の面白さと広がりを最優先したい人には良いかもしれない。いずれにせよ、まさかの事件で土壇場で内定が取り消された人にとっては神対応であることに変わりはないだろう。

なお、フェイスブックによると締め切りは3月31日23時59分。「ご希望の学卒者の方々は、ダイレクトメッセージをください」とのことなので迷ってる人は急げ!

参照元:JALF、Facebook @jalf.japanテレビ朝日
執筆:中澤星児

▼内定を取消された学校卒業生をほぼ無条件で採用