数ある料理漫画の中でも、現在30~50代の男性に絶大な影響を与えたのが、寺沢大介先生の代表作「ミスター味っ子」と「将太の寿司」だ。私、P.K.サンジュンは「寿司の基礎知識は将太の寿司で学んだ」と言っても過言ではないが、現在までに “小手返し一手” の使い手とは巡り合っていない。どこにいるんだ、小手返し一手使い……!

それはどうでもいいとして、なんと現在その寺沢大介先生が「スシロー」とコラボレーションしているというではないか。ついに将太が回転寿司でも始めてしまうのか? これは気になって仕方がない……。

・スシロー創業祭開催中

新型コロナウィルスの影響で気付かなかったが、2020年5月15日からスシローでは年に1度の「スシロー創業祭」が開催中だ。目玉はズバリ「天然まぐろ」で「天然本鮪と天然インド鮪の食べ比べ」など、数々のまぐろネタが提供されている。

スシロー大好きっ子たちならばご存じだろうが、スシローのまぐろはガチ中のガチ──。個人的に100円のまぐろは「100円で食べられる最高のまぐろ」だと考えているが、そのスシローが「1年で1番自信がある天然まぐろ」と言うのだから、絶対にウマいに決まっている。

その「スシロー創業祭」を盛り上げるべく、白羽の矢が立ったのが寺沢大介先生。スシローのまぐろにまつわる「描き下ろした完全オリジナルストーリー漫画」を公開し、スシロー創業祭に花を添えているのだ。


だがしかし──。


将太を始め「将太の寿司」に登場するほとんどのキャラクターは「回転寿司」と縁遠いのではなかろうか? 中には100円寿司の坂田などもいるにはいたが、それもごく一部。大変失礼ながら、寺沢先生は金の魔力に負けてスシローに魂を売ってしまったのではないだろうか? くっ、スシローめ……!

・寺沢先生に真意を伺う

笹寿司が繰り出す数々のエゲツない嫌がらせにも、ひたすら前向きに立ち向かってきた将太。その将太の生みの親である寺沢先生が、まさかとは思うが……確かめるしかあるまい。というわけで、以前1度お話を伺わせていただいた寺沢先生に、再びコンタクトを試みることにした。


──寺沢先生、ご無沙汰しております。本日は先生とスシローのコラボレーションについてお話を伺わせてください。

「はい、どうぞ」

──さっそく今回のコラボレーションに至った経緯を教えてください。

「ご縁をいただいてスシローさんとお話する機会があったんですね。僕も漫画なら描けるし、何か応援できることもあるんじゃないかと」

──なるほど。そもそも先生は回転寿司を利用されているのでしょうか? 正直、将太の寿司と回転寿司が上手く結びつきません。

「回転寿司自体、頻繁に利用していたワケではないですね。地方にあるような、いわゆる “グルメ回転寿司” のようなお店には行ってたけれど」

──だとすると、先生はスシローの札束ビンタに負けてしまったということなのでしょうか……?

「ハハハ。実は初めてスシローに行ったのは1年くらい前なんですよ。こんなことを言うのもなんだけど、正直に言えば甘く見てたんだよね。安いのはわかるけど、安かろう悪かろうじゃないかって」

──はい。

「でも、スシローのまぐろを初めて食べた時は感心しましたよね。100円であの品質のまぐろを提供するなんて、普通じゃできないですよ」



──わかります!

「確かに将太の寿司は職人さんの話だから回転寿司は坂田くらいしか出てこないんだけど、そもそも僕は “寿司はウマければいくら高くてもイイ” とは思ってないんですよ」

──ふむふむ。

「確かにウン万円するような寿司屋があってもいいけど、じゃあ寿司を食べられるのは金持ちだけかって言ったら違うでしょ?

──仰る通りです。

「もちろん、超高級店には超高級店なりの良さがあるし、グルメ回転寿司にはグルメ回転寿司の良さがある。僕は安いだけかと思っていんだけど、スシローには価格以外にも良さがあると思ったんだよね」

──実は僕も全く同じです。スシローデビューは遅いですし、ちょっと馬鹿にした気持ちもあったんですけど、実際に行ってビックリしました。

「僕は元々、寿司屋は超高級店と安い店の二極化が進むと思ってたんだけど、スシローはただ安いだけじゃないですからね。本当に感心しています

──なるほど。もしかしたら先生の寿司に対する考え方とスシローの企業理念が、元からマッチしていたのかもしれませんね。では、描き下ろし漫画についても話を聞かせてください。



「僕にとっては仕事ではあるんだけど、あまり広報漫画っぽくならないように気を付けました。取材をしてみると、スシローがどれほど まぐろにこだわっているかわかったし、その辺りを僕らしく描いたつもりです」

──漫画を拝見しましたが、違和感なくすんなり入ってきました。僕らの世代は寺沢漫画に飼いならされていますので。ちなみに、今後将太たちが回転寿司の世界に進出することはあるのでしょうか?

「うーん、将太の寿司2で将太の息子が鳳寿司で修業してますからね。3があるとしたら……どうなるんだろ?(笑)」

──佐治さんが「寿司は金持ちだけの食い物じゃねえ!」とか言って鳳寿司を回転寿司にしちゃったら胸アツですね。

「ハハハ。どうだろうね?」


というわけで、寺沢先生はスシローのクオリティを認めたうえでコラボレーションしているとのことだった。描き下ろし漫画はスシロー公式ホームページで公開されているから、全国4000万人の将太ファンはぜひチェックしていただきたい。

また、スシローの「天然本鮪と天然インド鮪の食べ比べ」はテイクアウトも可能なので、寺沢先生も認めたその品質を自宅で味わってみてはいかがだろうか? スシロー漫画に続編はあるのか? そして将太の寿司3は……? スシローにも寺沢先生にも注目だ。

参考リンク:スシローマンガBANG!「将太の寿司」
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼スシローのまぐろはガチだ。