日本もグローバル化が進み、ひと昔前よりも海外に留学する人が増えた。それに伴い、英語を話せる人が格段に増えたように思うが、ヨーロッパなどに比べたらまだまだ “発展途上国” だと言わざるを得ない。どのようにしたらさらに上達するのかと悩んでいる人もいるだろう。

そこで海外在住期間が長く、翻訳ライターとして働く筆者が英語を学ぶにあたって実践したこと、周囲の英語を学ぶ友人やすでにペラペラの人が何を実行したのか紹介したい。お金をかけずに “ながら” がポイントになるので、誰でもすぐに始められる。「もっと英語を上手くなりたい!」という人は、ぜひチェックしてみてほしいと思う。

1.出来るだけ英語のラジオ番組を流しておく

フリーランスで仕事をしている筆者は、今でも仕事&海外ドラマを見ている時以外は、アメリカのラジオを流しっぱなしにしている。

米ラジオ番組を聞くには、アプリストアで「American Radio」と検索すればいくつかヒットするので、自分が好きな物を選べばよいと思う。ちなみに筆者は、『Radio FM USA Stations』で「npr(ナショナル・パブリック・ラジオ)」という局を愛聴している。もちろん無料だ。

いくら英語の読み書きに問題がなくても、聞き取って意思を伝えるキャッチボールが出来なければ会話は成り立たない。そのためにはリスニングを強化させる必要がある訳だが、最初はラジオを聞いていて何を言っているのか分からなくても全然よいと思う。

まずは少しずつ耳を慣らしていくことが大切。毎回ガッツリと耳を傾けるのではなく、あくまで家事をしたり風呂に浸かったり「ながら」で実行する。これを毎日続けていたら、いつか必ず聞き取れるセンテンスが増えたり、何を言っているのか分かるようになるはずである。

ニュース番組の英語のレベルやボキャブラリーの難易度は、どの局も似たようなものなので、どこを選んでも大して変わらないとは思う。筆者が「npr」をおススメする理由は、政治や社会問題だけでなくエンターテイメントやコメディのコーナーもあり、様々な分野を取り扱っているからだ。

また、アプリでの放送だからか特集やインタビューを何度か再放送するので、1回聞いて理解出来なくても、2~3回聞けば内容を把握できるようになるのではないかと思う。忙しくても「ながら」でラジオを聞けば世界で起きていることを把握できるし、日本にいながら英語に触れる機会を増やすことが可能なのでかなり重宝している。

2.「POLYGLOTS」で読解力をアップ!

次に、ボキャブラリーを増やしたければ「読む」のが一番である。そして、筆者がイチオシするのが神アプリと呼びたい「POLYGLOTS(ポリグロッツ)」。アプリを使わなくても海外サイトに行けば英語の記事を読めるが、ニュース記事は小難しい単語の出没頻度が高いため、知らない単語を辞書で調べながらだと面倒だし、ヤル気が失せてしまいがちなのが難点である。

そこで「POLYGLOTS」の登場となる訳だが、良い点は自分の好きなジャンルを選べば、アプリがランダムに記事を選んでくれるところだ。スポーツや旅行、エンタメや健康など自分の興味がある項目を選んで登録したら、それに合わせたページが表示される。

その中から興味を引かれた記事を選び、読み進めていくうちに知らない単語に遭遇したら文字の上をタップ! すると、単語の意味が表示されるのでイチイチ辞書で調べる手間が省けるし、登録機能を使用すれば自分専用の単語帳を作ることも出来てしまう。

何度も単語帳を復習したらボキャブラリーが増えていくし、もし分からない点があればオンライン上の英語の先生が何人か待機しているので、チャット機能で分からない点は質問してしまおう。これが無料だなんて本当に信じられない! このアプリを活用しない手はないと思う。

3.海外ドラマで英語を学習

最近は、Netflix や Hulu などの配信サービスで数多くの海外ドラマを配信しているが、これも英語の学習方法としてかなり使える。特に Netflix は、ほとんどの作品を英語のキャプションで鑑賞できるので、耳で聞きながら目で英語を追えば自然と理解力が深まる。

発想を変えて日本の作品を英語キャプションで見れば、「こういう日本語のフレーズは、こう英語で言えばいいんだ!」と、さらに勉強になるはず。そして、分からない単語を電子辞書で調べたら登録して、「POLYGLOTS」で述べたように繰り返し単語を見直すこと! そうすれば、かなり速いペースでボキャブラリーを増やすことが出来る。

ちなみに筆者の女友達の中には、海外に一度も住んだことがないのに英語がペラッペラな人がいる。しかも、発音が日本語訛りゼロで、外国人にも「日本人じゃないよね!?」とよく言われる。彼女は中学生くらいから見始めた海外ドラマで英会話を習得した。

当時は配信サービスなどなかったので、レンタルビデオで借りたドラマを見ながら台詞を聞き取り、その英語と字幕を書き出したノートを復習して英語をモノにしたそうだ。大金を積んで留学しなくても、英語を習得できるという良い例ではないだろうか。

4.「Tandem」でネイティブとリアルな会話

そして、軽快に英語でコミュニケーション出来るようになるには、ネイティブとの会話は欠かせない。そこで役立つのが、語学エクスチェンジ・アプリ「Tandem(タンデム)」である。

筆者は使ったことがないが、数人の友人が利用している。まずはアプリをインストールして、どの言語でどんな内容を語りたいのかといった自分のプロフィールを作成。エクスチェンジしたいと思った人とチャットを開始し、単に興味があることを語るのでも、文法などについて知りたければ質問するも良し。

チャットは相手が書いたことを即座に理解し、パパっと返信しなければならないので、かなり英語でコミュニケーションを取る勉強になるはずだ。そして、このアプリは音声&動画でもメッセージを送ることが可能なので、まさに生きた英語を体験しながらエクスチェンジを楽しめる。

ちなみに、Tandem は Tinder などの出会い系アプリとは違うので、ナンパや恋愛目的での使用は禁止されている。とはいえ、同じ相手と何度もやり取りしていたら特別な感情が芽生えることもあるようで、筆者の女友達はエクスチェンジしていた米男子が日本に来た時に会い、意気投合して現在は遠距離恋愛中だ。

他にも、スウェーデン人の男友達は Tandem で知り合った日本人女子に、一度も会ったことがないのに告白されてしまったのだとか。恋愛に発展しそうになったら面倒くさい……と感じる人は、同性をパートナーに選ぼう。

5.英語の習得は「細く長く」が大切!

長くなったが、英語の習得は最初から頑張りすぎずに「細く長く」がポイントである。いきなり英語の小説や辞書を積み上げて取り掛かっても、すぐに三日坊主になってしまうだろう。

半年や1年ぐらいのインターバルで、なんとなく聞いていたラジオの内容が大分理解できるようになったとか、いきなり外国人に話し掛けられたけど意外とすんなり英語が出てきた……といった具合のスローペースで良いのである。

英語で外国人と交流できるようになれば絶対に楽しいし、一人で海外旅行に行けるようになれば確実に世界が広がるはずだ。英語の習得は「塵も積もれば」と「細く長く」を肝に銘じて、ゆっくりと上達することを目指してほしいと思う。

参考リンク:Radio FM USA Stations(iOS)、POLYGLOTS(iOS / Android)、Tandem(iOS / Android
執筆:Nekolas
Photo:Rocketnews24.