スマホやタブレット、PCなどと接続することで、簡単に高音質なサウンドを楽しむことのできるBluetoothスピーカー。オーディオマニアでなくとも、ひとつは持っておいて損のないアイテムといえよう。

今回は続々と新製品が登場しているBluetoothスピーカーの中でも大手ネットショッピングサイト「Amazon」のランキングで長らく上位をキープしている5機種を聴き比べると共に、オススメの製品をご紹介したい。

・高評価のBluetoothスピーカーのうち5機種を比較検証

今回聴き比べる5機種は以下の通りである。前述の通り、いずれも2017年4月24日時点でAmazon「デジタルオーディオ用スピーカーの売れ筋ランキング」で上位の製品で、以前の記事で個別に検証したスピーカーも含まれている。なお、記載した価格は現時点のものだ。

【Amazonランキング上位常連5機種】
Anker SoundCore mini(2199円)
Anker SoundCore Sport (2799円)
TaoTronics TT-SK09(2999円)
Anker SoundCore(3999円)
Bose SoundLink Mini Bluetooth speaker II(2万3760円)

価格をみるとBose SoundLink Mini Bluetooth speaker IIだけが2万3760円と圧倒的に高価で、その他は2000〜4000円程度。この価格差がどこまで音質に現れるのかにも注目である。

では5つのスピーカーを検証していこう。検証方法は実際に聴いた感想と併せて、以前からスピーカー検証で使用しているiPhone用アプリ「Audio Frequency Analyzer」で音質をグラフ化していく

なお、今回新たにiPhone7Plusのマイクで再測定しているため、以前の測定結果と多少相違があることを記述しておきたい。

1. Anker SoundCore mini(2199円)

まずは5機種中、最も安価でありながら最も多機能なのがこの製品だ。外部入力端子はもちろん、FMラジオや、音声ファイルを再生するためのmicro SDカードスロットを装備。重量は215グラムと軽量で、連続再生時間も15時間と必要十分である。

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音質については、コンパクトなボディーの割には低音と高音のバランスが良好だ。スピーカーが上向きであるため音が遠く感じられるのと、設置場所によって低音の鳴り方が大きく変わってしまう可能性があるが、細かい点を気にしなければ実用性は高いだろう。

ankersoundcoremini
【5つ星評価】
携帯性:★★★★
高音:★★
低音:★★★
音の繊細さ:★★

2. Anker SoundCore Sport(2999円)

防水規格「IPX7」である本機は、5機種の中で最もタフなスピーカーと言える。ちなみに、IPX7は「一時的(30分)に一定水深(1m)の条件に水没しても内部に浸水しない」規格だ。なお、重量は230グラムで最長10時間の連続再生が可能となっている。

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音質はグラフの10kHz辺りが盛り上がっていることからもわかるように、高音のエッジが際立った派手なサウンド。室内で使用する場合は音量を絞らないと聴き疲れするかもしれないが、音の抜けが良いので屋外や広い部屋向きの印象だ。

ankersoundcoresport
【5つ星評価】
携帯性:★★★★
高音:★★★★
低音:★★
音の繊細さ:★★★

3. TaoTronics TT-SK09(2999円)

防水規格「IPX4」であるTT-SK09は、重量が200グラムと5機種の中で最軽量で、連続再生時間は10時間という使い勝手の良いスピーカーだ。スリムな長方形でバッグやポケットに収まりの良いところも本機の特徴といえよう。

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携帯性抜群のこの製品だが、好みが分かれるのが音質である。グラフにも現れている通り、8kHz以上の高音の鳴りが控え目で、やや中域寄りの落ち着いたサウンドだ。聴き疲れしにくい反面、キレのあるシャープな音を求める方には物足りないかもしれない。


【5つ星評価】
携帯性:★★★★★
高音:★★★
低音:★★★
音の繊細さ:★★★

4. Anker SoundCore(3999円)

Amazonランキングで不動の1位となっている本機は、2600件以上のレビューのうち約90パーセントが星4つ以上という驚異的な高評価を記録している。重量は358グラムとなっており、何より連続再生24時間というのが大きな特徴だ。

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音質は160Hz以下の低音が抑え気味ではあるが、全体としては上手くまとまっていて大変聴きやすい。バッテリーが長持ちする以外にこれといって飛び抜けた特徴は無いものの、スピーカーとしてはバランスの良い製品といえる。

ankersoundcore
【5つ星評価】
携帯性:★★
高音:★★★★
低音:★★★★
音の繊細さ:★★★★

5. Bose SoundLink Mini Bluetooth speaker II(2万3760円)

前述の通り、2万3760円と他の機種に比べ圧倒的に高価なこの商品。BOSEの技術をコンパクトなボディーに詰め込んだ人気のモデルだ。高級感漂うデザインである反面、重量は670グラムと5機種の中では圧倒的にヘビーで、携帯性に優れているとはいえない。

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低音と高音が強調されたドンシャリ気味のサウンドではあるものの、やはり高価なだけあって5機種の中では圧倒的にパワフルで、特に80Hz以下の重低音はたいへん良く鳴っている印象だ。ただし低音が響く分、環境によっては音量を上げにくい状況が出てくるかもしれない。

bosesoundlinkmini
【5つ星評価】
携帯性:★
高音:★★★★
低音:★★★★★
音の繊細さ:★★★★

以上、5機種をスピーカーの感想をご紹介してきた。用途によって好みが分かれるところだとは思うが、以下で全機種のまとめとオススメの1台をご紹介したい。

・オススメまとめ

聴き比べてみるとそれぞれの個性が見えた今回の検証。感想を簡単にまとめると、細かい点にこだわらず気軽に音楽を楽しみたい方には、安価で小型なAnker SoundCore mini。アウトドアでガンガン鳴らしたい方には、音抜けが良く防水性も高いAnker SoundCore Sport 。

バッグなどに入れて持ち運ぶ機会の多い方は、スリムなTaoTronics TT-SK09。さらに、防水性や携帯性よりも音質を求めるという方には、バランスの良いAnker SoundCore。そして、価格や携帯性に関係無く、とにかくパワフルなサウンドを楽しみたい方にはBose SoundLink Mini Bluetooth speaker IIという印象であった。

あえて5機種の中からオススメを選ぶとすれば、筆者の個人的な感想では、値段や音質においてバランスに優れたAnker SoundCoreとなる。その他、防水機能や携帯性を重視する方なら、TaoTronics TT-SK09も良いだろう。

いずれにせよ、どれもAmazonランキングで長らく上位をキープしている製品なので、用途を見極めれば大きな失敗はないハズだ。また、思い切って複数の機種を購入して目的別に使い分けるのも良いかもしれない。以上、Bluetoothスピーカー選びの参考になれば幸いである。

参考リンク:Amazon「デジタルオーディオ用スピーカーの売れ筋ランキング」
Report:K.ナガハシ
Photo:Rocketnews24.