駄菓子はコンビニで買うものになって久しいが、私たちの子どもの頃から……どころかお父さん、お母さんの子どもの頃から同じ駄菓子を作り続けている大阪のお菓子メーカー「オリオン株式会社」

そんなオリオンのお菓子が詰まった玉手箱みたいなセットがあるぞ。箱のコンセプトは昭和を感じる「お道具箱」。新しいお菓子が生まれては消えていくお菓子業界ではあり得ない奇跡が今ここに……。おなまえ欄もあるからちゃんと記入して、さっそく中を見てみよう!


・ココアシガレット

オリオンを代表するお菓子といえば文句なく「ココアシガレット」だろう。1951年(昭和26年)発売、その前身になったお菓子の誕生は1948年だというから、軽く半世紀超えだ!

「タバコごっこができる子ども向けお菓子」なんて今なら完全アウトだろうが、筆者の子ども時代にはタバコは「大人の証」であり、自立や労働を象徴するかっこいいものだった。行き先もわからぬまま、盗んだバイクで走り出す時代である。

くわえタバコを真似したくてココアシガレットを買ったものだが、正直なところ味はハッカ臭くて好きではなかった。甘いだけでもない、ミントのさっぱりでもない、なんともいえない微妙な味……。美味しいからではなく、完全に背伸びして買っていた。


今回、数十年ぶりに食べてみたのだが……


思っていたほど不味くない。商品開発のたまものか、あるいは筆者の口が大人になったのか……。

大人って仕事しながらタバコ吸ったりしてかっこいい、と思っていた当時の自分に言ってやりたい。いざ自分がなってみると、働かなければ1円も入ってこないわ病気がちになるわ老後が不安だわ……大人って悲しい生き物だよ、と。


・ミンツシリーズ

ミンツシリーズから梅ミンツとミニビタミンツ。梅ミンツは1973年(昭和48年)発売。

なんと、タバコをモチーフにしたココアシガレットに対して、ライターをモチーフにしたお菓子として開発されたんだとか! 知らなかった〜! だからこういう形なのね。

ココアシガレットとミンツはセットで買わなければいけない。覚えておこう。


・ミニシリーズ

ミニシリーズからミニサワー、ミニコーラ、ミニピーチ、ミニビタC。ミニコーラは1978年(昭和53年)発売。

缶飲料を模していて、プルトップの開け口がついている。今考えるとココアシガレットと同じく「大人の真似をしたい」という子ども心をよく捉えている。好きなだけ缶ジュースを買うことはできないけど、駄菓子屋でミニコーラなら買えるもんなぁ。

中には小さいラムネが入っている。口の中で溶ける柔らかいラムネじゃなく、ガリガリかじるタイプで大好きだ。


・バラエティシリーズ

バラエティシリーズからコーヒー味チョコ、ミルク味チョコ、ハローキティいちごDe Chu。最後のは誤植じゃないよ、「いちごでちゅ」なんです。

昔懐かしテトラパックの牛乳、ということなんだけど筆者は知らない。1960年代に全国に広がり、学校給食で使われたものの、積み重ねにくさなどから次第にブリックタイプ(四角いタイプ)に変わっていったらしい。中身は粒チョコレート。


・クレヨンしんちゃんラムネチョコビ

「クレヨンしんちゃん」は筆者的にはまったく懐かしくなく、「ごく最近の漫画じゃん」という感じだが、同社のラインナップに加わったのは1998年。生まれた子が成人する月日が流れている。いつのまに……。

チョコビといえばバンダイのものがメジャーだけど、元々は作中で出てきた架空のお菓子なのでオリオン版も全然あり。各社から何度か商品化されているらしい。


・その他いろいろ

その他として「いちごdeEカラ」「メタモルシール」「サワーシガレット」など「時期によってお菓子内容やおまけの内容は異なります」とのことだがお菓子が15種入っている。すべて違う種類で、ダブっているものは1つもない。

「ビヲフェロモン」は「どこかで見たことのあるお薬のパッケージをパロディ化しました」という「おくすりやさんカプセルラムネ」のシリーズ。パロディのオリオン、本領発揮。

「ゴージャスフェロモンで異性がむらがります」「飲み過ぎると化粧が落ちることがあります」と注意書きがある。どこまでも大阪のノリである。

おまけとしてミニサワーのストラップがついていた。ストラップは全3種類で、どれか1つが同梱。ミニサワーのほかにはミニコーラとココアシガレットがあるようだ。


・オリオンよ、永遠なれ

創業当時からの商品を大切に育てつつ、それと同時に攻めたパロディで駄菓子業界の最先端を行くオリオン。攻め過ぎてクレームが入ったり、訴訟になったこともあるらしい。これからも臆さず独自の道を突っ走って欲しい。

「オリオンのおかしばこ」(税込648円)は、公式オンラインストアのほか、全国の雑貨店で購入可能だ。「全然知らない」という場合は、お父さんやお母さんにプレゼントすれば喜ばれるかもしれない。懐かしい方も新鮮に感じる方もぜひどうぞ。


参考リンク:オリオン株式会社Bplatz
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.