文化やテクノロジーなど、様々な面で世界の注目を集める “日本” 。しかし日本で生まれ育った私たち日本人にとって、日本の全てが “当たり前” になっており、世界的に見て、日本の何が素晴らしく、何が悪いのかはあまりピンと来ない。

というわけで、今月開催された世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット82」(以下、コミケ)に来ていた外国人の方に、「日本の好きなところ・嫌いなところ・変なところ」「日本に来て、一番驚いたこと」についてインタビュー取材してみた!

彼ら彼女らの声からは、普段私たちが気づかないような日本の新しい一面を発見することができ、非常に興味深い内容となっている。それでは、外国人の目には日本がどう映っているのか一緒に見ていこう!

【日本の好きなところは何ですか?】

ドイツ Danaさん(女性26歳)
「漫画、ファッション、音楽のような日本のサブカルチャーが好きです」

エストニア Annさん(女性22歳)
「私は日本のファッションと音楽が好きです。ファッションで言えば、ロリータファッションが特に好きです。今日私が着ている服は、ゴシック・ファッションですけど(笑)」

エストニア Valdarさん(男性25歳)
「日本の文化と食べ物が好きです。食べ物はラーメンのような麺類、そして寿司、おにぎりのようなお米の日本料理が好きです」

フランス Matthieuさん(男性20歳)
「僕は日本の人々が好きです。日本の人は、敬意をもって相手と接します。僕が日本のレストランに行って、『これ下さい』と片言の日本語で言っても、店員の方は敬意を持って接してくれます。しかしこれがフランスだと真逆で、店員の態度はすごく悪いです」

オランダ Danielさん(男性25歳)
「日本人はいいと思ったことを、実際に行動に移して、現実のものにするところですね。例えばホットケーキに、アイスクリーム、チョコレート、いちごのトッピングを加えるのはいいアイデアだと思ったら、すぐに行動に移して、そのアイデアを現実のものにします。それから、時間通りに運行される電車のように、日本社会のあらゆるものの規律がきちんとしていて、素晴らしいです。また日本の道は、ゴミが落ちておらずキレイですね。オランダには、道にゴミを捨てることをなんとも思っていない人がいて、ゴミがよく落ちています」

オランダ Dennisさん(男性29歳)
「日本にはオランダにはない様々な文化があって、それに触れるのが好きです」

オランダ Robinさん(男性25歳)
「日本のみなさんが親切なところです。道に迷って、目的地までの行き方を聞いたら、日本の人はしっかり時間をとって、行き方を教えてくれます」

オーストリア Brigitteさん(女性24歳)
「もちろん日本の漫画とアニメも好きですが、私は日本の食べ物、伝統文化、古い建物、そして他人に対して礼儀正しくあろうとする日本人が好きです」

オーストリア Susanneさん(女性25歳)
「日本には、このコミケのようなコミックイベントがたくさんあって、好きです。オーストリアにはこのようなイベントは全くなく、オーストリアに帰ったら、恐らく日本のコミックイベントが恋しくなることでしょう。それから日本の歴史も好きです。特に織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人の時代から、明治時代までの歴史が好きです」

オーストリア Victorさん(男性18歳)
「僕はオーストリアで剣道をしているんですが、剣道などの日本の古い文化、そしてアニメなどの新しい文化のどちらとも好きです」

フランス Nicolasさん(男性24歳)
「町の中にも自然があるところです。新宿に行っても、新宿中央公園のような静かで自然に満ち溢れた場所があります。フランスのパリでは、こういった自然の場所がほとんどありません」

フランス Jeremieさん(男性24歳)
「僕は居合道と杖道(じょうどう)を学んでいて、日本の武道が好きです」

カナダ Jessicaさん(女性24歳)
「私は日本の文化とテクノロジーが好きです。日本では古いものと新しいものが上手く共存していて、素晴らしいと思います。文化で言えば、芸者や食べ物が好きで、テクノロジーで言えば、電車、Suicaカード、自動販売機が凄いと思います。それから日本の建物は、非常に美しいです」

フランス Jordyさん(男性30歳)
「日本の食べ物ですね。特に寿司が好きです。日本には、魚を調理せず、生で食べる文化があって素晴らしいです。フランスにも、寿司のレストランがありますが、おいしくありません」

【日本の嫌いなところは何ですか?】

ドイツ Danaさん(女性26歳)
「時々、人が冷たく、他人を助けようとしない時があって、それが好きではありません」

エストニア Annさん(女性22歳)
「電車の中にいる痴漢です。私は一度、電車の中で痴漢されたことがあって……私の国にも変質者はいますが、日本ほどひどくはありません。たいてい私の国の変質者は、こっちをじっと見てくるだけで、体は触ってきません」

エストニア Valdarさん(男性25歳)
「日本には英語を話せる人が多くなくて、人々とコミュニケーションをとりにくいところが好きではありません」

フランス Matthieuさん(男性20歳)
「日本には、タバコを吸う場所が全然ないところですね。タバコを吸える場所を見つけるのに、1キロ歩くことさえありますから。もっとタバコが吸えるスペースを増やしてほしいです」

オーストリア Brigitteさん(女性24歳)
「ものの値段がなんでも高いところです。例えば私は今、八王子に住んでいるのですが、都市部まで出るのにかなりお金がかかってしまいます。それから日本人の家は全部素晴らしいのに、お客を招くには部屋が小さいからといって、誰も家に上げてくれません。これはちょっと悲しいです」

オーストリア Susanneさん(女性25歳)
「日本人は人と議論することを避けていて、それが好きではありません。日本人は本音を隠そうとしていて、あまり議論しようとしません。日本人のみなさんが、相手に失礼がないように、相手を否定しないようにしているのは分かります。しかし、時には本音を語ってほしいと思います」

オーストリア Victorさん(男性18歳)
「嫌いところはほとんどないのですが、あえていうなら東京の物価が高いところです」

フランス Nicolasさん(男性24歳 / 日本で働いている)
「嫌いなところではないのですが、日本社会の上下関係は難しいですね。慣れていなくて、先輩に失礼がないよう、ちょっと注意しなければいけません。フランスでは先輩に対しても同期と同じように接しますし、敬語というものもありません」

フランス Jeremieさん(男性24歳)
「嫌いというより、日本で困ったことなんですが、日本には自転車を停めるところがほとんどありません。(笑)フランスなどのヨーロッパでは、自転車はどこにでも停められますから」

カナダ Jessicaさん(女性24歳)
「人が多すぎるところです。そのせいで、とても暑いです。(笑)」

フランス Jordyさん(男性30歳)
「日本人は本音を言ってくれないところですね。これは海外でも有名です。それから車の渋滞も好きではありません。あと日本のコーヒーはあまりおいしくありませんね。私はエスプレッソが好きなのですが、おいしいエスプレッソを飲みたい時は、イタリアンレストランに行かなければいけません。そして日本の野菜は、高すぎます」

【日本の変なところは何ですか?】

ドイツ Danaさん(女性26歳)
「(自分の携帯につなげている、お尻の穴が空いた動物のぬいぐるみストラップを見せて)例えばこのように、可愛いけどちょっと変なものが日本にはたくさんあって、それが日本の変なところだと思います。ドイツではこういうものはジョークショップで売っていますが、日本では普通にどこにでも売っています」

フランス Matthieuさん(男性20歳)
「頭のいい女の子が、大勢の友達と一緒に話す時、とてもバカっぽく振る舞うところですね。1対1で話している時はしっかりとしている女の子が、大勢のなかで話すと、まるで12歳の女の子が話しているように、きゃっきゃっ、きゃっきゃっ言います。なぜこうするのか僕にはよく分かりませんが、きっと日本の男の子がそういう女の子が好きだから、彼女らはそう振る舞うのでしょう」

オランダ Danielさん(男性25歳)
「日本には美しい自然や伝統的なことに従事する人が存在する一方で、光り輝くネオンや高層ビルがひしめき合う大都市や、派手な化粧をした女性たちが存在します。日本には、この2つの違った世界が同時に存在していて、そこが変わったところだと思います」

オランダ Robinさん(男性25歳)
「私たちの国ではできないようなことを、ここ日本では受け入れられているところです。例えばここコミケでは、BL作品を販売している人は自分の作品に誇りを持って、堂々と椅子に座ってお客さんを待っています。しかしオランダで、BL作品を販売していたら、指を指され『一体、何を売っているんだ!?』と周りに驚かれ、大変なことになってしまいます」

オーストリア Brigitteさん(女性24歳)
「時々、道でカラフルな服など本当に変わったファッションを見かけることがあります。でもそれは決して悪いことではなく、カッコイイことでもあります」

オーストリア Susanneさん(女性25歳)
「日本でそんなに変に感じるものはありませんが、ホストクラブやキャバクラなどの日本の水商売はちょっと変わっていると思います」

オーストリア Victorさん(男性18歳)
「温泉ですね。オーストリアには温泉みたいなものがありませんので、ちょっと変わっているように感じます。実際に僕も温泉に入ったことがあるのですが、感想としては『熱い!』ですね(笑)」

カナダ Jessicaさん(女性24歳)
「日本のテレビCMはとても変わっていますね。でもそれはいいことです。アメリカのテレビCMなどは、同じようなCMばかりでつまらないですが、日本には様々なタイプのテレビCMがあって、面白いです」

カナダ Gladzyさん(女性21歳)
「日本のトイレのウォシュレットです(笑)」

フランス Jordyさん(男性30歳)
「嫌いなことでも挙げましたが、日本人は本音を言わないところですね。本心を言ってくれないと、こっちも相手の気持ちが分かりませんから。それから日本のエッチなものも変ですね。例えば裸の子どもを描いたものとか(笑)」

【日本に来て一番驚いたことは何ですか?】

オランダ Dennisさん(男性29歳)
「この暑さですね。こんなに日本の夏が暑いとは、思ってもいませんでした。それから、浅草にあった巨大な金色のオブジェにも驚きました(笑)」

オーストリア Brigitteさん(女性24歳)
「日本の多くの人が、英語を話せないことです。私が日本に来た時、英語を話せない人がこんなにも多いとは思ってもいませんでした。日本の若い人たちは、英語が話せると思っていたのですが」

オーストリア Susanneさん(女性25歳)
「以前日本で、日本の文化について学ぶ授業に参加したのですが、その時に同じ授業にいた日本人の学生が、私より日本の文化について知らなくてビックリしました。オーストリアには、自分たちの国の文化について学ぶ授業が、日本よりたくさんあると思います。きっと日本の学校では、日本の文化について学ぶ機会があまりないのではないでしょうか?」

オーストリア Victorさん(男性18歳)
「50メートルぐらいごとに、どこにでも自動販売機があることです」

フランス Nicolasさん(男性24歳)
「日本にはいろんなファッションがあることです。特に驚いたのは、犬のファッションですね。犬もいい服を着ていて、それを見た時はビックリしました。(笑)フランスではこういう犬のファッションはありませんから」

カナダ Jessicaさん(女性24歳)
「日本のファッションですね。カナダではTシャツにジーパンといった感じで、みんな同じファッションをしています。しかし日本には、ロリータファッションやギャルファッションなどいろんなタイプのファッションがあって好きです」

いかがだっただろうか? 日本について、何か新しい発見はあっただろうか?

このように、違う環境で生まれ育った人に日本について聞いてみるのは、自分の国の新たな魅力、新たな問題の発見につながる。というわけで、みなさんも周りにいる外国の方に、日本についてどう思っているのか質問してみてはいかがだろうか? そうすることで、様々な顔を持つ “日本” についてもっともっと知ることができるだろう。

(文、写真=田代大一朗
▼インタビューに答えて下さった方の写真はコチラ:http://wp.me/p25BsW-10Jm
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▼今回インタビューした相手は、「コミックマーケット82」に来ていた外国人の方々

▼左からDanaさん(26歳)、Annさん(22歳)、Valdarさん(25歳)

▼こちらが、Danaさんが日本の変なところの例として挙げていた携帯ストラップ
確かに前から見ると、可愛いが……

▼後ろには、指を突っ込めるようになっているおしりの穴が! 
ドイツでは、こういうものはジョークショップで売っているらしい

▼日本に留学中のフランス人Matthieuさん(20歳)

▼左からRobinさん(25歳)、Danielさん(25歳)、Dennisさん(29歳)。みなさんオランダの方

▼日本に留学中のBrigitteさん(24歳・左)とSusanneさん(25歳・右)

▼オーストリア人のVictorさん(18歳・左)とそのお友達

▼日本語がペラペラだったJeremieさん(24歳・左)とNicolasさん(24歳・右)

▼左からJessicaさん(24歳)、Gladzyさん(21歳)、Issacさん(21歳)
3人ともコスプレイヤーとして今回のコミケに参加

▼フランス人のJordyさん(30歳・右端の黄色いTシャツを着ている男性)とそのお友達

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