「宝くじ高額当選者に多い特徴」を見てみると、イニシャルは「T.K」で男性、A型、乙女座……ってそれ単純に母数の問題なんじゃないのっ? とツッコみたくなるものが多い。しかしその中で、ほぼ全ての当選者に該当する法則があるのだという!!!! それはズバリ「くじを買い続けてきたこと」だ。なるほど継続は力なり……ってバカ! 今すぐ当てたいんじゃー!

「運」は見えないけど確かに「ある」。何らかの方法で一時的に運をブチ上げることができたなら、初めて買った宝くじで億を当てることも可能なのだ。たぶん。運の到来を誰かが教えてくれさえすれば、すぐ売り場へ走る準備はできているものを。

ところで最近気になる噂をキャッチした。なんでも鳥取県の人里離れた山奥に、金運のブチ上がる神社があるとか。そんで人がめちゃくちゃ来てるとか来てないとか……。スピリチュアルな話には慎重なほうだけど、もしもということもあるので行ってみることにした。

・かねもちじゃないよ! 「金持神社」

鳥取県は日野郡の山奥にある神社の名はズバリ『金持神社』。山村が客寄せのためにそんな名前を付けちゃって……と思ったら、『金持』はここの地名なのであった。正しくは「かねもち」じゃなく「かもち」

ここまで来るには米子鬼太郎空港から車で約1時間。電車とバスを乗り継ぐと3時間前後かかるぞ。金持への道はかくも険しいのだ。ちなみに私は鳥取県出身だが、日野郡へ来たのはたぶん初めてである。

季節柄ちょうど神社へつながる参道脇は、収穫間近の稲穂で金色(こんじき)に輝いていた。まるでこれから得る金(カネ)を象徴しているかのように……。平日の昼間だというのに神社の駐車場には5台ほどの車が停車している。意外にも全て1人客のようだ。

参拝すると金持神社はいたって普通な「田舎の神社」に見える。規模は大きすぎず小さすぎず……。山のふもとにあるのでちょっとした森林浴感を味わえるが、その距離は長すぎず短すぎず……。神社としてはなかなかいい塩梅だ。

なかなかいい塩梅であったにもかかわらず神社自体の印象が若干薄いのは、名前の他にもうひとつ、一般的な神社とは明らかに異なる点があったからである。


それは本殿周辺、駐車場、休憩所などいたるところに飾られた大量の絵馬。普通の神社なら「野球選手になりたい」などと書かれているところだが、金持神社の場合は少し違う。「お金がほしい」だろうって? 否、そうじゃあないんだ……!

・当選報告多すぎ問題

絵馬にはあらかじめ「祈願」の文字が印刷されており、「未来の願い事」を書くのだと普通は思う。しかしここにある絵馬の多くに書かれている内容は、要約すると「ここに参拝したら当選しました。ありがとうございます」という「事後報告」なのである。


しかもほぼ全てが億越えの高額当選っ……!

その内容をいくつか、かいつまんでご紹介しよう。


「サマージャンボ1等7億円当選させていただきありがとうございました。お金の心配がなくなり、鬱から立ち直れました。あとはお嫁さんだけです」(大阪府・男性)

「スクラッチで100万円を皮切りに、ロト6とジャンボ宝くじでも高額当選しました。ありがとうございました」(鳥取県・男性)

「ロト7で1等当選しました。家のローンを全て返すことができました。私の元に金の泉が湧いています。家庭円満、笑顔いっぱい。ありがとうございました」(大阪府・Sさん)


え? マジなの……?


・マジなのか微妙問題

隣の女性観光客たちも「え? これマジなの……?」と、私と同じ感想を口にしている。宝くじ高額当選者は毎年一定数いるわけなので、もちろんありえないとは言い切れない。それにしてもこの数と金額は「全国の宝くじ購入者の半分くらいがここを参拝していないと計算が合わないんじゃないか」と思う程度には多い。


私は決して、決してここのご利益を疑っているわけではない。しかし、さらに気になる問題があるのだ。

絵馬に書かれた内容をもう少しご紹介しよう。


「ミニロト1等当選しました。ありがとうございます。億万長者になります」(兵庫県・Hさん)

「ビジネスが大成功して永久に幸せです。家族全員が健康で、何不自由なく暮らします。ありがとうございます」(大阪府・女性)

「幸せなお金持ちになりました。感謝」(島根県・不明)


……うまく言えないが、なんとなく違和感があるように感じないだろうか? まるで願望をあえて過去形にしているような……?

また「ロトの当選番号」を具体的に全て明記しているものも多く見られる。「この番号で当選しました、ありがとう」ということらしい。ロトを購入したことはないので素人考えだが、果たして当選した番号をわざわざ書く意味があるのだろうか? まるで「この番号で頼む」と言わんばかりの……。


もしかすると、もしかするとである。これは「願望をあえて “叶った” と言い切ることで叶えようとする文化」なのでは……? そんな気がほんの少しだけした。もちろん真実は分からない。絵馬に書かれた通り、ここを参拝した人物が脅威の連続当選をとげていることは十分にありえるのだから。

そして数ある絵馬の中には、その内容、字体、オーラに至る全てから「ああ、この人はガチで当てたんだな」とビシバシ感じ取れるものがいくつか存在していることも、また事実なのだ。


・検証しかねぇ

数日後、私は友人を連れて再び金持神社を訪れた

今回の検証はこうだ。神社付近まで友人を連れて行くが、彼女は車に残しておく。近くまで来ておいて車から降りないとは何たるバチあたり! かわいそうだが金の神に見放されても仕方ないだろう。

一方の私は1人で参拝である。お賽銭を入れ、何度も祈った。そして……

宝くじ売り場に直行という段取りだ。


・果たして結果は……

今回はすぐに結果が分かるよう、1枚200円のスクラッチを友人と5000円(25枚)ずつ、計1万円分購入した。互いの運気を少しでも移らせぬため、売り場から別行動である。

スクラッチを削る作業はなかなか骨が折れる。次第に無表情になっていった友人の当選枚数と金額は……



6等が3枚(600円)!


5000円買って600円バック。なんだかしょっぱい気もする。しかし宝くじを3000円分買ったとき、たいてい300円しか当たらないことを考えれば妥当か。まぁ検証という観点においてはバッチリな展開だ。


さぁ次は私の番である。10円玉でカリカリとスクラッチを削れば……4枚目で早くもビンゴ! わーい!


……あっ!



これ1000円ジャン!!!


たった1枚で早くも友人超え確定! 検証的にはここで「撮れ高確保」といっていいだろう。

友人に負けたらこの記事をどうまとめようかと、実は内心ヒヤヒヤしていたのだ。これで安心。“ご利益はあるのかもしれないぞ”……記事の締めくくりを考えながら、急いで残りのスクラッチを削っ…………ム、ムムムムッ!




3000円きたァーーーーーー!!!


・ご利益は確かにあった

今回私の買ったスクラッチは25枚中5枚が当選。3000円×1本、1000円×1本、200円×3本の合計4600円を換金することができた。

惜しくも元金回収とはならなかったが、友人の600円と比較すれば約8倍である。この結果が参拝と関係している証拠はない。しかし関係していないと言い切ることもまた、できないのである。

しかも今回私は金持神社のご利益について、半信半疑のままチャレンジを敢行してしまった。金持の神様を心から信じ、信じすぎるがあまり「当選しました」と絵馬に書いちゃうくらいの境地に達していれば……もしかすると本当に高額当選していたのかもしれない?

金持神社に飾られた絵馬を信じるも信じないもその人しだい。ちょっとだけ信じ始めた私は、年末ジャンボのタイミングでまたここを訪れてみようと思う。

参考リンク:宝くじ公式サイト
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼「金持さん」という苗字のルーツはここらしい

▼金色の参道

▼ワンピーススクラッチを購入しました

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