私が過去に諸外国を旅する中で、多少無理しつつもポケGOをプレイし続けたのは「体験記事を執筆しよう」という目論見があったからだ。しかしながら、結局その体験の多くが記事化には至らなかった。理由は “日本と比べて圧倒的にトレーナーが少なかった” から。

要するにレイドが全然成立せず「撮れ高が少なすぎた」というワケなのだが、恐らく日本に住んでいると、そのあたりの事情が想像しづらいだろう。……そして時は流れ、我々はとつぜん海外のフレンドを作る必要に迫られた。ようやくこの情報が役に立ちそうな気がする……!

・thank you guys!

今月24日(火)から30日(月)まで開催される「湖の神話イベント」の詳細について、ここで詳しい説明は省略させていただく。とにかく問題は、いかにしてアグノム(アメリカや南米で出現)、エムリット(ヨーロッパやアフリカで出現)を入手するかということ。



幸い私は海外のポケGO仲間に「レイドに招待し合おう」と事前約束を取り付けていた。彼はスペイン在住の熱心なトレーナーであり、イベントをきっかけに再び交流できたのは嬉しい。これにてエムリット問題は解決である。

残すはアグノムだが、こちらも彼が『WhatsApp』(日本でいう『LINE』のようなアプリ)のチャットグループに私を招待してくれた。そのチャットは世界中のポケGOプレイヤーが参加していて、互いにレイドに招待し合おうという、いわば掲示板のようなものらしい。

私はさっそく自己紹介とともに「ユクシー誘えます! フレンド申請プリーズ」と、英語でチャットに書き込んだ。もちろん自分のトレーナーコードも忘れずに。しばらくしてアプリを確認してみると……


ワッ! 通知が300件超えぇぇ〜〜〜!!!!


・日本人余ってる問題

しかしながら……それほど活発なチャットグループであるにも関わらず、私の「フレンド申請してね」に反応を示す人物は1人もいなかったのだった。友人に泣きついてみたところ「もっとしつこく、ガツガツと、自分からアクションを起こさねばダメだ。それが普通だ」とのこと。

そこで私は気になるトレーナーに自らフレンド申請を送り、「死ぬほどアグノムとエムリットが欲しい」と積極的に発言。なんとか数人とフレンドになることに成功した。28日(土)現在、私の捕獲数はアグノム39体、エムリット8体という偏った展開になっている。


この3日間で私が外国人とチャットしまくった結果、どうもポケGO市場において “他2体の需要に比べてユクシーの供給が多い” という状況が生じているように感じた。理由はいくつかあるが、「どっちもたくさん欲しい」という日本人に対して「アグノム(エムリット)は欲しいけど、ユクシーはもう結構」という外国人が多かった、というところが大きい。

あくまで私個人の体験ではあるが、このことから “外国人に比べて日本人トレーナーの数が多い” または “日本人に熱心なプレイヤーが多い” あるいは “日本人は同じポケモンでも大量に捕獲する傾向にある” という可能性が考えられるのではないだろうか。


・世界のイベント事情

「たまたまだろう」という意見もあるかと思うので、ここで実際に私が海外でプレイした体験談をさせて頂こうと思う。ちなみに昨年ヨーロッパからインドを周遊したのだが、約3カ月の旅行期間で伝説レイドに勝利したのはわずか3回。なお不平等のないよう、ここに記すのは “その国の都市部で”  “コミュニティデイ、レイドデイなどのイベントを” プレイした体験のみとしている。

まずヨーロッパ。フランス(パリ)のコミュニティデイは、大きな公園にトレーナーが集結する傾向があるようだった。これには人混みやデモの影響もあったのかもしれない。ちなみに『コンコルド広場』を中心としたエリアに最もトレーナーが集まっていたようだ。

またイタリア(フィレンツェ)では、街の中心部をトレーナーたちがグルグルと周回するスタイル。こちらもパリと同様そこそこの数のトレーナーが見られた。パリでは人が集まらなかったレイドも、ここではコミュニティデイ中になんとか1回成立。

対して、大都市のわりに苦しんだのはオーストリアとスペインである。ポケストップの数は多いので普通にプレイするぶんには問題ないが、いかんせんトレーナー数が少ない……と感じたのは、私が各国の動向を掴めていなかったせいもあるだろう。海外でプレイする際は事前に情報収集しておくことが望ましい。

相当キツかったのはモロッコ(カサブランカ)とインド(ニューデリー)。こちらは「どう立ち回ろうと、かなりキビしい」と断言できる。中心部を外れるとポケストップが皆無になるうえ、レイドどころかトレーナー自体、滞在中ついに1人とも出会うことはなかった。

ただしこれらの国ではジムが常時ガラ空き状態なので、コイン稼ぎには向いているといえるだろう。私がインドに置いてきたハピナスは帰国後に戻ってきたぞ。


・やはりオススメはアジア

逆に私の経験した限り、最もイベントが盛り上がっていたのはシンガポール

レイドデイ中は至る所にトレーナーの姿が見られ、日本に匹敵するほどの盛り上がりを見せていた。またタイ(バンコク)や台湾(台北)も、開始直後であれば比較的レイドは成立しやすいようである。

以上の結果から個人的に、熱心な海外トレーナーとフレンドになりたければ、これらのアジア諸国から探せば効率がよいのでは、と思っている。ただし今回のイベントの場合、アジアはみな同じユクシーなのが悩ましいところだが……。


・何が言いたいかというと……

誤解のないように申し上げておくと、この記事は決して「どの国がポケGOに熱心か」等を論じるものではない。私がポケGOをプレイしたのは世界のごくごく一部地域であり、とてもじゃないがそんな大それた事を言える立場ではない。

では何が言いたいのかというと……例えばエムリットを欲しい日本人が10人いたとして、ユクシーを欲しいヨーロッパ人は1人しかいないかもしれない。あくまでも例え話だが、その可能性を考えたことがあるだろうか? ということ。

その状況で見ず知らずの日本人に、突然SNSで「ユクシー誘う代わりにエムリット誘って」と言われたらどうだろう? 私が外国人なら正直、あまりいい気はしない気がする。今回のイベントに際し、ネット上で日本人のそういった書き込みを何度か目にしたのは事実だ。

私の友人とてユクシーはもう要らないにも関わらず、レイドに招待し続けてくれている理由はひとえに「友達だから」であろう。今後また同様のイベントが開催されることもあるかもしれないが、その時になって慌てるよりも、日頃から海外フレンドと人間関係を構築しておくほうが早いのでは……ということを、今回のイベントで痛感した次第なのである。


それにしてもこの数日間で、私の英語力はズイブン上昇した。ものごとをハッキリ言う外国人たちとのやり取りはハラハラすることもあるけれど、やってみればとっても刺激的だ。損得勘定などせずに、ポケGOで国際交流を楽しみたいものである。

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:ポケモンGO (iOS)