ターミネーターに扮してファンにドッキリを仕掛けたり、トランプ大統領に「仕事を交換しないか」と皮肉をぶつけたり。なにかと話題になるシュワちゃんこと、アーノルド・シュワルツェネッガーさんがまたまた注目を集めている。

この度はドッキリでもなく、皮肉でもない。ネットに投稿された「僕はうつ病でジムに行けません」というファンからのSOSに、直々にコメントを返したのだ。その言葉の温かさ、力強さに拍手喝采が集まっている

・男性「グズグズしている僕に喝を入れて」

2018年8月中旬、海外掲示板『Reddit』にてユーザーネーム「u/0770059834333178」さんが、シュワルツェネッガーさんに向けて以下のように呼びかけた。


「甘えであることは分かっていますが、僕は何カ月もうつ状態にあり、ジムに行くことができていません。シュワルツェネッガーさん、グズグズしている僕に、ジムに行くように喝を入れてもらえませんか?」


『BBC』によると、この投稿を行ったのは、カナダ・ケベック州在住のアリさんという男性だそうだ。アリさんは「ただベッドに寝転んで、落ち込んでいたときに、あのメッセージを送ってみようと思ったんです。もう3カ月も気分が塞いでいました」と同メディアに語っている。

また、『BoredPanda』に対しても「とにかく投稿しようと思ったんです。返事がなくても、失うものは何もありませんからね」と述べた。

・シュワルツェネッガーさん「どうか自分を責めないで」

『Reddit』には世界中から投稿が集まってくる。アリさんの声も埋もれてしまうか……と思われたが、さすがはシュワルツェネッガーさん。ファンからのSOSをすかさずキャッチし、返事をした。

しかも、それは「喝」ではなく、「そんな厳しいことは言わない。どうか、自分自身に対しても、辛く当たらないでほしい」という言葉から始まる温かいメッセージだったのだ。


「誰だってチャレンジしては、失敗もする。人生はトレーニングみたいなもの。でも重要なのは、立ち上がることだ。少しずつでいいから、前進するんだ。ベッドから起き出して、ちょっと腕立てをしてみたり、散歩に行けばいい。とりあえず、何かやってみてほしい」


「一歩一歩進めばいい。そして気を楽にして、ジムに再び行けることを願っている。だが、どうか自分自身を責めないでほしい。意味がないことだからね。そんなことしてもジムには戻れないよ。誰かに助けを求めることも恐れないで。幸運を願っている」


・ジムに飛んでいったアリさん

これにアリさんは大喜び。嬉しさのあまり、すぐに着替えると「これからジムに行ってきます!」とのコメントを『Reddit』に残して、家を飛び出してしまったそうだ。シュワルツェネッガーさんが「すごいじゃないか! ジムはどうだった?」と呼びかけると、「身体中があちこち痛むけれど、この痛みを味わっています。明日、またジムに行けるのが楽しみです」と回答した。

今回のふたりのやりとりに、同じようにうつ病に苦しむ人々も感銘を受けたもよう。「勇気をもらいました」「やり取りを読んでいたら、腕立てを始めてしまった」「素晴らしい言葉をありがとう」といった声がたくさん聞かれた。

また、アリさんは「自分も他の人の役に立ちたい」と決意し、うつ病に苦しむ人々にコメントを寄せている。その様子に気づいたシュワルツェネッガーさんは、動画を介して「素晴らしい行動だ」とアリさんへ賛辞を送った。

なかには「うつ病は簡単に治る病気ではない」といった声も上がっている。アリさんも「たしかに簡単ではありません」と同意しながらも、「でも僕の場合は、シュワルツェネッガーさんからのメッセージが大きな力になり、落ち込んだ気持ちから這い上がるために行動することができました。それまでは頭でわかっていても、体が動かなかった。僕には、ひと押しが必要だったんです」と話しているのだった。

参照元:Reddit [1] [2] [3]BBCBoredPanda(英語)
執筆:小千谷サチ