冬といえば寒さ対策……インナーはヒートテック! ダウンにファーにカイロ! って感じで、とにかく暖かくするみたいな。気持ちは分かる。でも、中にはそうじゃない人も結構いると思うのだ。

筆者もそのタイプ。最低気温0度くらいまでなら、シャツの上に適当にコートなりを着ればもう十分。むしろ外出時に待ち構えている、フルパワーな暖房をどう凌ぐかみたいなところがある。暑すぎて汗で不快で、外に出ようものなら気温以上に冷えてヤバい。

・暖房がキツい

脱げよ! という人もいるかもしれない。それも一理あるが、ぶっちゃけ面倒やねん。鞄を背負っていて、コートなりを着ていて、出たり入ったりする度に鞄を下ろして着たり脱いだり。やってられないというもの。手が塞がるのも嫌だし。

それに、満員電車だとなおのことやってられない。混んでる中で脱ぎだそうものなら、皆して「動くんじゃねぇクソがすり潰して犬の餌にするぞ」的なこと思ってそうなくらいに、邪魔そうな目で見たり舌打ちするじゃないですか。そうでしょ? 社会が許さないわけですよ。

空いていても面倒だし、混んでいたら許されない。いちいち脱ぐのはもう、そうしないと死ぬみたいな極限状態でないかぎり採用したくないソリューション。

そういうわけで、筆者的に冬は寒さ対策よりも、外出時の暖房対策がメインになるわけ。といっても、対策しようもないのが実情。汗でびっしゃびしゃになる前提で、シャツの着替えを持っていくくらいしかないのだが……。


・汗冷え

そんな愚痴を先日アウトドア派な知人にしていたところ、「登山用とかのインナーで良いじゃん」と。その手の、汗で冷える現象は「汗冷え」というらしく、気温の低い山においては致命的にもなりえる問題なのだとか。

そんな汗冷えを解決するためのインナーとは頼もしい。実に面白そうなので買ってみることに。結論から言うと、マジで最高。ぶっちゃけ冬のインナーはこれ一択というくらいに快適だったぞ! より詳しく述べていこう。 


・めっちゃ網

「登山用インナー」といっても色々あるが、今回その中から選んで買ったのは「ミレー」というメーカーの、「ドライナミックメッシュショートスリーブ」というもの。メンズもレディースも長袖もタンクトップタイプもあるが、よくわからなかったのでメンズの半そでにした。

ちなみにお値段はAmazonで5411円だった。ただのインナーとしてはぶっちゃけかなり高い。しかも商品ページを見た感じ、めっちゃ透けている……というか、網だ。

実際に届いたものを見てみると、やはり網。どこまでも網である。


普通に素肌が透けまくるので、これ単体で歩くのはかなりアレだろう。というか、着ていることを誰かに見られただけでも、事情を知らないなら「そういう性癖かな?」的な感じで誤解されそうである。


というか、寒くないのだろうか? どう見ても防寒性能は皆無だろうし、素材的に汗を吸いそうにも思えない……。5千円もしたというのに、失敗だったか? 


・汗で濡れてる感じがしない

ぶっちゃけそう思っていた。いや、この網具合を前にしたら、ほとんどの者が同様に思うのでは? 筆者も半信半疑どころか、9割くらい疑っていた。

とはいえ高かったし……駄目なら駄目でその時だ。とりあえず着てみると、タイトな見た目ながらも網なのでよく伸びる。フィット感は最高だ。

今回は汗をかかないと検証にならないので、普段ではまずしないような厚着をすることに。ということで、引っ張り出してきたのは厚手のタートルネックのニット。

持っていたはいいものの、真冬でも暑すぎて着られず、長らく防虫剤漬けになっていたものだ。そして上に革のジャケットを装備。ジャケットの前もしっかり閉じて熱を逃がさないようにした。


それだけだが、普段は雪が降っていても薄手のシャツに、ジャケットかコートのみが標準装備な筆者としては、間違いなく茹で上がるレベルの厚着である。いざ出かけてみると、まあ普通に暑い

5分くらい走ったところでもう汗をかき始めた感がある。しかし、汗で濡れてる感は無い。いつもならすでにジットリと嫌な感じが背中辺りにあるものなのに……汗が出てる感は気のせいなのだろうか?

そのままとりあえず、常に満員気味な大型のショッピングモール行きのバスなどに乗ってみる。普段は混雑具合が嫌なので乗らないものだ。すし詰め状態に、閉め切られた窓。ガンガン効きすぎな暖房で実に暑い。ついでに空気も悪い。

暑さで思考がやや曖昧になりつつあるので、これは間違いなく汗もかいているだろう。しかし、相変わらず濡れている感じがしない。全てはジャケットとセーターの内側のことなので、どうなっているのかは不明。しかし何かが起きているのは間違いない。

バスから降りて外に出ても、全く汗で冷える感じはしない。ただの網だと思っていたが、これは何かスゴいインナーな気がするぞ……。ここでトドメとばかりにカラいラーメンを食べて更なる発汗を促してみることに。


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その結果……あれ? なんかちょっと汗で湿ってる気がする。インナーの効果が切れたとかそういう感じだろうか? そろそろジャケットの内側でなにが起きているのか確認すべきだろう。


・大勝利

ということで帰宅し、脱いでみると……セーターが水を吸ったスポンジのような状態。いささか汚い話だが、ねじって汗を絞ることができる。ズボンのベルト部分までも汗で濡れている。真夏とかだと良くあるヤツだ。

やはり暑かったし、汗をかきまくっていたのである。が、その自覚はほとんど無かった。どういうことなのか公式HPを見てみると


水分をすぐに逃がすため、汗を吸い上げて上のレイヤーに移しつつ、メッシュ自体も早く乾燥へと向かうのです。


とのこと。どうやらこの網にしか見えないインナーが、汗をことごとく肌の表面から外側に移動させていたもよう。網だと侮っていたが、なかなかやるではないか。

カラいラーメンを食べた時点で濡れてる感がしたのは、外側のセーターが汗で飽和状態になり、ろくに吸えなくなってしまったから……だと推測できる。

マジでこれスゴいっす。感動した。しかも地味に厚みのある網なので、汗を吸った外側の服と肌が触れるのを、極力防いでくれるのもグッド

今回はただのセーターだったが、もし外側に速乾性で吸水力のある機能性インナーなんかを合わせたら、もっとスゴいのではなかろうか? 逆に、外側に着るものが全く汗を吸わない服だと、効果はほとんど無くなるのだろう。仕組み的に外側次第な気がする


・メーカーロゴの部分だけ微妙

一点だけ微妙に感じたのは、胸の所の「M」みたいなメーカーのロゴ周りである。普通の布よりはかなりマシだが、この部分は他よりも汗で湿った感じがやや強く出てしまう


なぜなら、この部分だけ網目じゃないからだ。レディース版だとこの部分も網になっているようだが、そのかわり背中側に似たようなエリアがある。これは男女共に、全て網でできてるバージョンを出すべきだろう。ロゴはどっか小さく裾あたりでいいじゃないですか。

ということで総評としては、ちょっと高いけど汗冷えでイラッとする人には是非オススメしたい一品である。個人的には最高に気に入ったので、追加でもう1枚買ったレベル。洗ってもすぐ乾くしな。もっと安ければもう5枚買って毎日着てた。

なお、脱ぐと体表に網目状の痕がうっすらついたりするので、あまり人には見せられない感じですね。あと、肌が弱いともしかしたら擦れてヒリヒリしたりするかも。

参考リンク:Amazon [1]、[2]、ミレー
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.