今年は公私ともに激動の1年だった。憧れのノマドワーク……なんて思っても、海外はもちろん、思うように国内取材旅行にも行けず、新型コロナウイルスに翻弄されっぱなしだった。新しい生活スタイルに慣れるのにだいぶ時間がかかったと思う。

そんな中でも、なんとか1年間にわたって記事を公開できた。反響があったもの、なかったもの、いろいろあるが「私的ベスト」をピックアップしたい!


・おひとりさま上等! 今年は “ソロキャンプ” がアツいらしいので生まれて初めて行ってみた!

今年は本当にソロキャンプが流行った。この記事は、筆者の人生初ソロキャンプのレポート。冬とはいえ気候のいい都内のキャンプ場だし、用具はフルレンタルだしで、いろいろと「ぬるい!」といわれそうだが、自分ではがんばった。ジェットボイル(バーナー)のカートリッジは宅配便で送れないなど、初めて知ることも多かった。

この少し後から新型コロナウイルスの国内流行が始まり、気兼ねなく自由に行動できた最後の機会だったともいえる。早くこんな何気ない日々が戻ってくることを切に願う。


・山にまったく興味はないが富士山の山岳模型を作ってみたら……誰もが山好きになるかもしれない癒しのキット「やまつみ」

普段、自分が満足できる出来の記事と、多く読んでいただける記事とはまったく一致せず、よるべなくウェブメディアの大海を漂っているのだが、意外な反響をいただいた記事。富士山という対象物の力と、コロナ疲れで癒しを求める風潮がマッチしたのではないかと思っている。

シール状のシートを重ねていくだけで、誰でも美しい山岳模型が作れるのでオススメ。記事中の「手のり富士山」はその名のとおり手のひらサイズなのだが、より大がかりなキットもあるのでぜひ。同じくクラフト系で、大苦戦の末にボトルシップを作った記事もたくさん読んでいただいた。ありがたい。


・【奇跡のビフォー&アフター】素人の受刑者がプロ漫画作品の背景画を描けるようになるまで / 素材サイト「漫画家本舗」も必見

受刑者の画力の向上に目をみはるビフォー&アフターを扱った記事。絵を指導した漫画家・苑場凌先生の快諾を得て記事化できたもの。受刑者はみな、もとから絵が趣味だった人たちではなくまったくの素人。同一人物の作品とは思えない成長ぶりだ。

筆者自身も一時期「漫画家になりたい!」と思っていたほど漫画絵が好きなので、「こんなに上手くなるもん!?」と驚きながら書いていた。個人的な思い入れもあり、書けてよかったと思っている1本。


・ネットで話題のダンボール工作「猫戦車」を作ってみたら…人類の弱さと愚かさを教えられた

何日も綿密に計画を立てて書く記事もあるが、「降りてきた」ように生まれるおバカ記事もある。ある晩ふと思いつき、設計図もなく勢いで作成した「猫戦車」。過不足なくぴったりのダンボールがあったことも奇跡的だった。

さらに猫たちがまったく予定どおりの行動を取らないので、筆者にも最後まで展開が読めなかった記事。結局SNSで披露できるような「カワイイ」写真は1枚も撮れなかった。それもまた人生。


・【防災の日】震災遺構「たろう観光ホテル」を訪ねる / 大津波に襲われた町はいま

東日本大震災で甚大な被害を受けた、岩手県宮古市の田老地区を取材した記事。破壊された「たろう観光ホテル」のインパクトもすごかったが、被災者の生の声を聞けたことは唯一無二の体験だった。

現地では貴重な津波映像も視聴できるのだが、たとえば映像に登場する住民を、ガイドさんは個人的に知っていたりする。その方が助かったのか、逃げ遅れたのか、すべて知った上で解説してくださる。テレビでニュース映像を見るのとはまったく違う体験だ。

すべての日本人に訪ねて欲しい場所だと思っている。


以上5選である。少し前「好きなことで、生きていく」という言葉が流行った。YouTuberとはビジネスモデルが違うが、自分が好きなこと、おもしろいと思ったことを人に伝える、という点ではライターの仕事もかなり近い。

自由と引き換えに、新しいアイディアを次々と出さないとあっさり食い詰めるし、おもしろい記事を生み出せるかは自分次第でもある。苦労もあるがチャレンジングな仕事だ。来年もまたたくさんの挑戦をしたい。

今年1年ご愛読いただきありがとうございました! 来年もよろしくお願いします!!


執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.