車や宇宙開発だけではなかったようです。電気自動車のテスラ社や、ロケットのSpace X社のCEOでお馴染みのイーロン・マスク氏ですが、彼が2016年に創設したNeuralink社が、このたび思念でゲームをプレイできる猿を作り出したもよう。

猿の名前はペイジャー。9歳のオスのマカク属(ニホンザルなどと同じ属)です。Neuralink社はYouTubeにて、ペイジャーが思念でコンピューターゲームを上手にプレイする様子を公開しています。

・脳にチップ

動画の解説によると、ペイジャーは動画撮影の6週間前に、脳にNeuralink社製のチップを埋め込まれたもよう。その後Neuralink社は、カーソルを狙った場所に動かすだけのゲームを、バナナスムージー(おいしい)を用いてペイジャーにプレイさせました。

ペイジャーがバナナスムージーとゲームをエンジョイする間、脳内のチップはペイジャーがゲームを操作する際の腕の動きに対応する脳の動きを記録。そしてリアルタイムで研究者たちのPCにワイヤレス送信。

ほんの数分の(after only a few minutes)調整の後に、研究者たちはチップが検出する脳の動きの情報と、ゲーム内のカーソルの動きをリンクさせることに成功したそうです。

動画の半ば辺りでペイジャーはジョイスティックを動かしながらゲームをプレイしていますが、ジョイスティックのケーブルは引っこ抜かれています。この時点でペイジャーは、思念でゲームのカーソルを動かせるようになっているもよう。


・目標は

そして今度はジョイスティックを完全に撤去。研究者たちはペイジャーに、彼のお気に入りだというPong(バーを操作して玉を跳ね返すゲーム)というゲームをプレイさせました。動画を見ると、ペイジャーの手はバナナスムージーが出るストローにしか触れていません。

ペイジャーは、ただ頭で考えるだけで画面に映る玉を跳ね返すバーを操作可能になったわけです。しかも結構上手い。このペイジャーの動画の公開と同日に、マスク氏は以下のようにツイートしてます。


“First @Neuralink product will enable someone with paralysis to use a smartphone with their mind faster than someone using thumbs”
(最初のNeuralinkの製品で、体が麻痺した人が思念だけでスマホを扱えるようにするよ。普通に指で操作するより素早くね)


これこそがマスク氏とNeuralink社の、さしあたっての目標なもよう。決してサイキック感あるサイバーモンキーを生み出すことが彼らのゴールではないのでご安心を。それにしても凄いですねこれ。外見的にもチップが入っているようには見えないですし。そのうち誰もがこの手のチップを脳内に入れる未来が来るのでしょうか。

参照元:YouTube、Twitter @elonmusk
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼動画はこちら(英語)


▼実現するのもそう遠く無い……かもしれない