逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ! ロケットニュース24の記者になって何度そう思ったことか分からない。私(中澤)の場合、「自分が読みたくなる記事を書きたい」と思うなら、己との戦いは避けられないのである。

他の記者たちにもそんなネタがあるはずだ。そこで、ロケットニュース24の記者に「逃げちゃダメだ」と自分に言い聞かせた記事を聞いてみた

・中澤星児の「逃げちゃダメだ」

【突撃】ロンドンの路上でイングヴェイしてみたら緊急事態でライブ中断! それ以降、路上ライブができなくなってしまった話

国によっては捕まるかもしれない。渡英前、私は不安で眠れなかった。英語すらろくに話せないのである。だが、ロンドンに着き、なんやかんやしていると奇跡的にお膳立てが整ってしまった。警察もどうやら来ないっぽい。その時改めて逃げたくなった

正直、ギターを人前で弾くのは緊張する。その上、シンプルに速くて難しいイングヴェイの曲なんて日本の路上でも震えが止まらない。それをロンドンの路上である。いや、できるわけがない。だが、やった。「逃げちゃダメだ」と自分を叱咤しながら。


・佐藤英典の「逃げちゃダメだ」

【iPhoneX行列】予約分入荷せずセレモニーもなし! ただの「iPhone野宿」になったでござる

あれは今から3年前のことだ。「iPhone」といえば「行列」、この2つは私のなかで切っても切れない関係にある。新モデルが発表され、〇月〇日に発売開始となる。そんな情報が流れ始める頃になると、私は自然と並び始める日を計算し始めてしまう。これはもう、私の中に刷り込まれた習慣のようなものだ。

残念ながら、iPhone行列の戦いは常に勝つとは限らない。いやむしろ、あの奇跡の2年(iPhone5s・6)、ドコモの行列を勝ち得た日から、ずっと負けているといっても良いくらいだ。

それでも行かねばならぬ。さらにいえば、発売日当日に入荷しない公算が大きい時でさえも、最後までやり切らねばならぬ。人生とはそういうもんだ。今ここに留まるか? それとも一生逃げ続けるか? 若い人にはぜひとも逃げない人生を歩んで欲しい。逃げちゃダメだぜ……。


・砂子間正貫の「逃げちゃダメだ」

【閲覧注意】「昆虫食自販機」でカブトムシを購入して食べたでござる / 生涯忘れることはないでしょう

虫は見たくないし、触りたくない。食べたら口から泡を吹いて倒れる……どころか、死ぬ可能性すらあると思っていた。正直、カブトムシを食べるくらいなら、ゴリラと3分3ラウンドで殴り合う方がマシ。そのくらい虫が嫌いだ。無理なのだ。

しかし、逃げちゃダメだ……である。店員さん曰く、食べやすいのは「チョコレートでコーティングされたバッタ」とのことだったが、記事のために「カブトムシ」を選んだ自分を褒め称えたい。まあ1匹食べるのに約1時間かかったけどな。もう1度やれと言われたら100パー逃げます


・GO羽鳥の「逃げちゃダメだ」

【追跡ネット犯罪(5)】大阪にいるもう一人のオレに滋賀県産の高級米を渡したら「ココロカラカンシャシテマス」

もう8年も前の記事だけど、この時ほど緊張で足が震えたことはない。何をしたのかというと、私の楽天アカウントを乗っ取った “犯人らしき人物” のアジトに乗り込んだ……てな感じ。いまだに犯人かどうかは不明だが、関係していることは間違いない。

この乗り込みの数時間前、私は東京は世田谷区の警察署にいた。結局は捜査してくれないとの返事だったため、「ならオレが捕まえてやる!」とばかりに、そのまま大阪まで車を飛ばして乗り込んだのである。逃げるどころか、乗り込んでいく。そのイケイケさが、今となってはまぶしく感じる。もしよかったら、第一話から読んでください。

※第一話


・K.Masamiの「逃げちゃダメだ」

【保存版】約30時間かけて『こち亀』全200巻を読み返してみた → オススメの10話はコレだ!!

冗談抜きで何度逃げ出しそうになったことか……。いくら漫画好きの記者とはいえ、一気に200冊読むのは結構な苦行だった。

何度も何度も通う内に、漫喫の店員さんと会釈くらいはする仲になったが先日、久しぶりにその店の前を通ったところ閉店していたことを知る。こち亀に最終回があるように、なにごとにも終わりがあるのだなと諸行無常を感じたぞ

しかし大人になってあれほど集中して何かに取り組む機会というのもめずらしく、思い返してみれば良い思い出である。


・原田たかしの「逃げちゃダメだ」

【実話】リボ専用クレカで「支払い残高100万円」の地獄を見た

恥でしかない話だけに記事にするか迷いに迷った。でも、自分のちっぽけなプライドを守るくらいなら1人でも多くの人を救おうと逃げずに記事を執筆したのを思い出す。明日は我が身。改めて問おう。あなたのクレカは大丈夫?


・P.K.サンジュンの「逃げちゃダメだ」

【実話】変態仮面のコスプレで交番に行ったら、危うく逮捕されかけた話

タイトルにある通り、危うく逮捕されかけた今ならわかる「変態仮面のコスプレはNGなのだ」と。だがそれまでは私、P.K.サンジュンは絶対的な確信を持っていた「隠れるところは隠れているから大丈夫。捕まりっこない」と──。

とはいえ、変態仮面のコスプレは恥ずかPし、交番に行くのだって緊張した。ただ、もう1人の変態仮面「Yoshio」がアホのくせに超ビビってたから、いつも以上に自分を追い込む必要があったんだ……「逃げちゃダメだ」ってね。


・冨樫さやの「逃げちゃダメだ」

おひとりさま上等! 今年は “ソロキャンプ” がアツいらしいので生まれて初めて行ってみた!

ロケットニュースに加わって初めての本格的な現地取材、初めてのソロキャンプで、出発前からいろいろと不安だった。日が暮れるとさらに心細く、本気で「ここで帰っても誰もわからないんじゃ……!」と思ったが、各地に向けて離陸していく飛行機の灯りに自分の将来を重ねて思いとどまった

地元は車社会だが、とにかく東京は駅もビルも大きく、どこへ行くにも歩かないとならない。翌朝、キャンプ道具で大荷物なのでタクシーを呼ぼうとしたが何社も断られ、バス停までトボトボ歩いたのも印象深い。歩き過ぎて足の爪に血豆ができて、実は今も残っている。名誉の負傷である。


・あひるねこの「逃げちゃダメだ」

【大発見】ケンタッキーの骨でダシをとった「ケンタ風呂」が最高に気持ちイイことが判明 / 肌もツヤツヤになるし一石二鳥

食べたら手がギトギトになるケンタッキーと、体の汚れを落とすことを目的とした風呂がどうして結びつくのか? 入浴前、わりとキレイ好きなタイプの私(あひるねこ)は激しく躊躇した

しかし実際には、ケンタ風呂に入ることよりも湯船に浸かりながら底に沈んだ骨をしゃぶったり、そこに麺をブチ込んで “ダイレクトつけ麺” する方が精神的にもキツかったと記憶している。当然、何度体を洗ってもニオイが消えることはなかった。


・伊達彩香の「逃げちゃダメだ」

【お取り寄せ】家で「リスのチタタプ」が食べられるよ → 一口で世界観が変わった……!『珍獣屋』

人気漫画「ゴールデンカムイ」にも登場する「リスのチタタプ」──漫画の中で美味しいと絶賛されていたものが食べられる! とワクワクしながら注文したものの、届いた「お肉」状態のリスさんを見て生前の愛らしい姿を思い浮かべてしまい、1週間以上も食べるか否か苦悩しつづけた

しかし、逃げずにリスさんたちの命と向き合い、感謝しながら食べた結果……これほどまで「逃げちゃダメだ」と実感したことはない


・田代大一朗の「逃げちゃダメだ」

【やってしまった…】取材写真が入ったiPhoneを失くしてしまったのでイラストで東京ゲームショウを全力レビュー

取材先の写真が入ったiPhoneをなくす……今でも思い出すたびに胸がズキズキ痛む……

iPhoneをなくしたと気づいたのは取材先からオフィスに帰る道中。凄まじい絶望と情けなさに打ちひしがれるなか、「これは記事にするしかない」と開き直りにも近い決意をしたのを覚えている。

自分のお粗末な絵を世間にさらすという勇断(?)を下せたのも、ひとえに「逃げちゃダメだ」という心の声が聞こえてきたから。iPhoneユーザーのみなさん、「iPhoneを探す」設定は絶対にオンにしておいた方がいいぞ……


・和才雄一郎の「逃げちゃダメだ」

【素朴な疑問】Tバックをはいたら「ウンコ」がパンツにめっちゃ付かへんの? ファッションに詳しい女性ライターに聞いた結果

「気になったことは聞かなきゃいけない」という気持ちから逃げずに取り組んだと自画自賛している記事。結果的に、多くの人が心の中で密かに抱いていた疑問を解決できたと思っている。しかし、事情を知っても個人的に全然うれしくなかったのはなぜなのか……自分でもよく分からない。


──みんなそれぞれに「逃げちゃダメだ」があった。いつだって記事の執筆は自分との戦い。これからも逃げちゃダメだな。

ちなみに、本日6月6日は「逃げちゃダメだ」の名言を残した『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公・碇シンジの誕生日。

2007年に発売された公式ガイドブック『エッセンシャル・エヴァンゲリオン・クロニクル』によると、生年月日は2001年6月6日になっている。どうやら、テレビ版のシンジくんは今年で19歳になるようだ。

『新世紀エヴァンゲリオン』リアルタイム世代の私は、何かにぶつかる度にあのセリフが頭をよぎる。なんならロケットニュース24に応募する時も「逃げちゃダメだ」と思っていた。

まさに人生を変えた名言。そんな心に刻まれて忘れられないシーンの数々を生み出した本作品の主人公に敬意を表し、シンジくんの誕生日にこの企画を捧げます。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.