私が「日本在住のイラン人とパリで仲良くなる」という不思議体験をしたのは2019年秋のこと。オーサカへ出稼ぎに来て3年になるというアリ氏は、里帰りついでにパリへ遊びに来ていたらしい。なんでも食堂にいる私の顔を一目見て「日本人と確信」したとのことだが……。

私がここ10年間で欧米を旅した経験上、現地の人からは約90%の確率で「ニーハオ」と話しかけられる。これはアジア人旅行者や現地労働者のほとんどが中国人であることを意味しており、残り5%が「アニョハセヨ」。残念ながら「コンニチハ」はレアケースだ。

つまりアジア人でない人にとって、中国人と韓国人と日本人は “ほぼ同じ顔” に見えているはず。にもかかわらず彼はなぜ、私を日本人だと見抜いたのだろう? パリなのに。

・(※注)あくまで個人の意見です

「お近づきのしるしに」とシーシャをオゴってくれたアリ氏(38)に、「あなたはアジア人の顔の違いが分かるのか」と尋ねてみた。すると「当然さ」とニヒルに笑う彼。

さて、ここから申し上げることは、断じて「データに基づく結果」や「当サイトの見解」ではない。ましてや私の持論でも決してない。あくまでも私がたまたまパリで会ったイラン人・アリ氏独自の判断基準であることをご理解のうえ、話半分で聞いていただければ幸いだ。

それでは私がたまたまパリで会ったイラン人による「アジア人を完全に見分ける方法」は……コレだ!


アリ氏「中国人の見分け方は簡単さ。なぜなら顔がフライパンみたいだから」

──なるほど……では韓国人は?

アリ氏「韓国人は歯を見れば分かるね。韓国人の歯は羊の歯にそっくりだ」

──に、日本人は……?


アリ氏「鼻が付いていれば日本人


・結論として

世界的に見ると日本人はかなりの “鼻ペチャ民族” であるハズ。しかしイラン人の彼に言わせると、日本人は「アジア人の中でも鼻に存在感があるのが特徴」らしい。う〜む……1ミリも共感できないが、パリでイラン人にそう言われれば反論のしようもない。

よって国籍不明のアジア人を見かけた時、フライパンに似ていたら中国人、歯が羊っぽかったら韓国人、ただし鼻の存在感がデカければ日本人…………信じるか信じないかはあなた次第だ。


・イランあるある

ところで私の英語レベルは中学生に毛が生えた程度。そんな私がなぜアリ氏とスムーズに意思疎通できたかというと、彼がかなり流暢に日本語を話せたからだ。あなた本当に来日3年? 30年の間違いじゃなくて?

日本語が全く分からない状態で日本へ移住したというアリ氏は、来日から2年間ほど農業に従事。「本当につらかった」と語るが、テレビのお笑い番組を見て独学で日本語をマスターしたのだそうだ。

ちなみに彼が好きな日本のお笑い芸人は「志村けん」「明石家さんま」「ダイアン」とのこと。また「石川さゆり」「クレイジーケンバンド」「オレンジレンジ」の楽曲は日本語の勉強に役立つと証言するが……本当だろうか? こればっかりは判断のしようがない。

おしゃべり好きのアリ氏は母国・イランに関する話を色々としてくれた。全てを記すと長くなってしまうので、五月雨式にご紹介しておこう。こちらもあくまでアリ氏個人の証言であり、真偽の確認が難しい情報も混ざっていることをご理解いただければ幸いだ。日本に暮らすイラン人の世間話と思って聞いてほしい。


・日本語を覚えるのは英語より簡単(ただし漢字はのぞく)
・イランとイラクを混同する日本人が多くて悲しい
・イラン人はとっても親日
・イランは暑そうなイメージがあるが、冬は大雪が降る
・イランにルーツを持つ日本の有名人はダルビッシュ有、サヘル・ローズ、May J.
・イラン人はトヨタ車がメッチャ好き。でもイランでプリウスを買うと1000万円くらいする
・日本とイランは文化が似ている。ちなみにイランにも「こたつ」があるよ
・全てのイラン人は『おしん』と『水戸黄門』を見て育った
・日本の悪いイラン人はみんな名古屋にいる


・イランに行ってみたくなった

他にもここでは書けない宗教の問題や国同士の微妙な関係など、未知なるイランの話が聞けて非常に興味深かった。今後海外旅行を予定している人、旅先で見知らぬ外国人に出会ったら、ぜひ「あなたの国の話を聞かせて」とお願いしてみてほしい。

ちなみにアリ氏は貧しい家の生まれではないが、自由を求めて日本へやってきたのだそうだ。「短パンを穿(は)いて街を歩き、好きな時にお酒を飲みたい」と語る彼。いつかリアルなイランを見に行ってみたいと強く思った。

執筆:亀沢郁奈
イラスト:マミヤ狂四郎
Photo:WikimediaCommons. / RocketNews24.