2018年10月31日、金融庁は西武信用金庫に対して、来月にも立ち入り検査を実施することを明らかにした。西武信金は、不動産向けの融資で、業者の不正を見抜けなかったとして審査体制に問題があると見られている。

このことについて、確認のために窓口で尋ねたところ、窓口にいたスタッフは「少々お待ちください」と言って、上長にお伺いを立てる事態となった。あ、いや、ちょっと聞いてみようと思っただけなんだけど……。

・「立ち入り検査」について聞いたら

西武信金の本店は東京・中野にある。プライベートで利用する機会のある私は、報道のあった日の朝、本店を訪ねる用事があった。所用のついでに出がけに見たニュースのことを聞いてみた。


「あの、金融庁の立ち入りの報道を見たんですけど……」


「問題ないですよね?」と続けようとしたところで、スタッフは立ちあがり、「少々お待ちください」と言って、窓口を離れたのである。そして上長とおぼしき人物に、何やら険し気な表情で尋ねているじゃないか。かなり軽い気持ちで確認したつもりなんだけど……。


・偉い人が出てきた!

その上長は窓口スタッフに、さらに上の人物に聞くように促している。え? 何? 「大丈夫ですよ」的な一言を聞きたかっただけなんだけど。すると、奥から1人の偉いさんが出てきて、私のもとまでやってきた。


軽く挨拶をされた後、「こちらへ」と言って端のソファに案内され、名刺まで渡される始末。え? あの、なんかマズイことを聞いちゃったのかな? 名刺にはかなり責任の重い人物であることがわかる役職が書いてある。そして、「お騒がせしてしまいまして」と、お詫びの言葉を述べた後に、次のような内容の説明を受けた。以下はその内容の要約だ。


偉い人「報じられております通り、不動産融資に関して、業者の不正が発覚しました。金融庁からの立ち入り検査を受けることになりますが、検査は今回に限らず定期的に行われているものです。当行は、いわば騙された訳ですけども、検査を受けた上で、融資の審査体制を見直して参りたいと思います」


と、丁寧に説明して頂いたのである。なるほど、報じられた内容でその一部を知っていたが、こうして直に言われると、何となく状況を伺い知ることができる。そして偉い人は、こう続けた。


偉い人「融資をお考えですか?」

佐藤「あ、全然……」


トンでもございません! まさかそんな融資だなんて、私の人生には1ミリも関係ない言葉のひとつでございます……。


・11月に検査

一般の利用者として、安心して西武信金を利用したいために尋ねただけだが、まさかお偉いさんから直々に説明を受けるとは思ってもみなかった。名刺まで渡されてしまって……。いずれにしても、11月の金融庁の立ち入り検査で、審査体制の問題点が明らかになるだろう。より安心して利用できる信用金庫になってくれることを願う。

参照元:朝日新聞
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24