ジメジメと暑い日が続くが、日本の昔ながらの夏の風景はいいものだ。花火大会、近所の夏祭り、プール、蚊取り線香が置かれた縁側、冷えたスイカ……。そして、「うちわ」「風鈴」もまた、日本の夏を代表する2大風物詩と言えるだろう。

先日、アメリカにある「デスバレー国立公園」に行ってきた。常に気温40度台、本気を出せば50度だって突破してしまうという “死の谷” だ。しかし、そんなデスバレーでも、夏の風物詩たる「うちわ」と「風鈴」があれば心涼しく過ごせるのではないか? そう思い持参したところ、衝撃の事実が発覚したのである。

・デスバレー暑すぎ

実際に体験するデスバレーは、朝から当然のような顔をして気温40度台を叩き出すというただの地獄であった。湿度が低いのが唯一の救いではあるが、50度を超えると長時間は外に立っていられない。体にこたえる暑さとはあのことだろう。

だが心配するな。ババーーーン! こんな時こそ、「うちわ」と「風鈴」の出番じゃないか。風鈴のリーン、リーンという涼しげな音色が聞こえれば、たとえ地獄の業火で焼かれていようとも、心には爽やかな風が吹くに違いない。さらに究極のエコアイテム・うちわまであるのだ。勝った……。この勝負、勝ち申した。

・日本の夏の風物詩 vs デスバレー

検証はデスバレー内の3カ所で行うことにした。まずは岩塩がどこまでも広がるエリア、「悪魔のゴルフコース」から攻めてみよう。太陽を遮(さえぎ)るものがないこの灼熱の地で、直射日光を全身に浴びながらの過酷な検証がいま始まる。

・風鈴を鳴らしてみた

ジリジリという音が聞こえてきそうな猛暑の中、日本から持ってきた風鈴を取り出した。私(あひるねこ)はそれを手に持ち、目の前に掲げてみる。アメリカの広大な大地に吹く風が、風鈴を静かに揺らす。リーン……。控えめな音色がデスバレーに響いた。

お、おう……。

ちょっと、場所を変えようか……。続いてやって来たのは「ユービーヒービー・クレーター」。名前の通り巨大なクレーターを見下ろすことができる場所で、まるで地球ではないかのような壮大な景色が広がっている。

さあ、今度はどうだ。リーン、リーン……。

よし、次行こう。

おら、とっとと車に乗るんだ。移動じゃい! 次は北米で最も海抜の低い地点にある「バッドウォーター」じゃい!! 「バッドウォーター」はその一面が塩の結晶で埋めつくされており、真っ白な道がどこまでも続いている名所だ。

さっそく風鈴を鳴らすぞ。リーン、リーン、リーン……。わかってた。ああ、わかってたさ。デスバレーに到着した時から気付いていたよ。

風鈴、マジで意味ねぇ。

普通にクソ暑いじゃねーかよォォォォオオオオ! リーンじゃねーぞコラァァァァァアアア!! 風情も何もあったものではない。日本の夏の風物詩・風鈴は、このデスバレーにおいては一切の意味を成さないことが明らかになったのである。南無。

・うちわは効果があるのか?

だがしかし、私にはまだ「うちわ」が残っている。気分的に涼しい風鈴ではなく、物理的に涼しくなるうちわなら話は別だ。もう究極にアチいから、早く涼しくしてくれよな! パタパタパタ~と、うちわで自らをあおぐ。

・認めたくない事実

……ちょっと想像してみてほしい。今あなたはサウナに入っているとする。砂時計を眺めながら「暑い、早く出たい」と、あなたは思っている。そこへ、隣にいたヤツが突然タオルでバッサバッサと熱風を浴びせてきたら(これを熱波という)、あなたはどうするだろうか? 

私ならブン殴る。

つまり、そういうことである。これにより1つの結論が導き出された。日本の夏の風物詩である「うちわ」と「風鈴」は、気温50度以上のデスバレーでは完全に無意味。うちわに至っては、暑さをブーストさせる無能の極みでしかない。あえて言おう! カスであると!!!!!

・大人しく日本で使え

なにも、うちわと風鈴自体がカスと言っているわけではない。やはりこの2つは、日本で使うから風情があっていいのだ。デスバレーにはハマらなかった、それだけである。よって、もしデスバレーに行く際は荷物からこれらを抜いてもいいだろう。それがわかっただけでも有意義な旅であった。完。

Report:あひるねこ
Photo:RocketNews24.

▼マジで意味ねぇ