2019年9月23日、千葉ロッテマリーンズの福浦和也(ふくうら かずや)選手が現役を引退した。2000本安打、首位打者、6年連続の3割到達……などなど、数々の偉業を達成したバットマンの最後の雄姿を見届けようと、ZOZOマリンスタジアムには多くのファンが駆けつけた。

千葉ロッテファン歴約25年の私、P.K.サンジュンも運良く試合を観戦できることになったのだが……。自分でも予想していなかった感情があふれ出し、結果的には自分でもビックリするくらいの涙が頬を伝ったのだった──。

・俺たちの福浦

これまで福浦が獲得してきた数々のタイトルについては、あえてここでは説明しない。大切なのはファンからすると福浦は “弱小” かつ “暗黒時代” の千葉ロッテマリーンズの中で、数少ない「どこに出しても誇れる選手」であったということだ。


昔のロッテはそれはそれは弱かった。ビビるほど弱かった。それでもファンはチームを、そして選手たちを懸命に応援するのだが、例えば他球団のファンや野球を知らない人にロッテを説明する際、必ず名前が挙がるのが福浦であった(他には小坂や黒木など)。

なにせ、暗黒千葉ロッテマリーンズにおける数少ないタイトルホルダーであり、また地元「習志野高校」出身の福浦は、千葉の誇りであり、千葉ロッテの至宝ともいうべき存在。ファンはいつしか福浦のことを “俺たちの福浦” と呼ぶようになっていた。

・華がある選手ではない

ドラフト7位で入団し、努力に努力を重ねた苦労人であることも、ファンの共感を呼んだ。控えめな性格ながら野球に対しては人一倍ストイックなことで知られる福浦。チームが弱くても俺たちには福浦がいる──。福浦は長くの間、ロッテファンの心の支えであり続けたのだ。


そんな福浦もピークを過ぎてからは全盛期のような輝きを放っていたとは言い難い。事実、2000本安打達成までにはかなりのシーズンを要しているし、今シーズンに関して言えば昨日の試合が1軍初登録である。ただ、それでもブレない野球への姿勢がまた、ファンにはたまらなかった。


さて──。


千葉ロッテファン歴約25年とか言いながら、いわゆる引退試合を観に行くのは初めてだった私。そもそも選手のことは普段からメチャメチャ好きで感謝もしているので「わざわざ引退試合に行く必要はない」というポリシーであるが、今回は運良く席を譲ってもらえることに。ならば行こう、福浦の最後の姿を見届けに。

・福浦の姿を見ただけで

というわけで、やってきたのはZOZOマリンスタジアム。心穏やかに福浦を見守れればいいと思っていたが、第1打席で福浦の名前がコールされただけで、自分でもビックリするくらい涙があふれ出してきた。バッターボックスに立つ姿を見ても涙が頬を伝い、アウトになってもまた涙が出た。何なんだ……この感情は?


そして迎えた最終打席──。おそらく現役最期のバッターボックスに立つ福浦を見ても、私は涙を止められなかった。結果は凡退。この日は4打席いずれもヒットは無く、このまま引退セレモニーに突入すると思われた。……のだが

・野球の神様

9回表、それまで指名打者だった福浦がファーストの守備に就く。私は「内野ゴロで最後に福浦が送球を受けて試合終了になればいいな」なんて思っていた。だがしかし、野球の神様は私の想像を凌駕する劇的なエンディングを用意していた。


痛烈なファーストライナーが福浦のミットに収まったのだ。


これ以上、福浦らしい終わり方があるだろうか? 決して派手な選手ではなく、あまり自己主張もしない福浦。ただ粛々とプレイし続け、見えるプレーで、そして見えないプレーで勝利をもぎ取ってきたのだ。その結果、最後の勝利も福浦が自らの手でもぎ取った──。この日、一番の涙があふれ出してきた。そして思った、


「野球の神様はいる」──と。


今後、福浦がどんな野球人生を送るのかはわからない。ファンは指導者としての福浦を待ち望んでいるハズだが、名選手が名監督と限らない以上、あまり期待しすぎるのも酷というものだろう。というか、大型連敗でファンに罵声を浴びせられる “福浦監督” は見たくない。


ただ、俺たちは忘れない。福浦こそがロッテであり、福浦がロッテファンの心の拠り所であり続けたことを。千葉の誇り、福浦和也選手。26年間、本当にお疲れ様でした。私は昨日、おそらく福浦選手の10倍くらい泣いてしまいました。

参考リンク:千葉ロッテマリーンズ公式サイト
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼本当に泣いた。メッチャ泣いた。

▼スタジアム前のホテルも粋な演出。

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球場の外も9。オシャレ。

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▼駅も粋。

▼俺たちの福浦。本当にお疲れ様でした。