壁が薄いアパートやマンションだと、隣人の話し声が気になることがある。別に何を言っているかまでは聞こえないにしても、あれは非常に不快だ。思わず壁をブン殴り、うるせェェェェエエエエ! と叫びたくなる衝動に駆られてしまう。

私(あひるねこ)自身、過去に何度かそういう経験があるが、意外にも隣人が外国人だと、そこまで声が気にならないように思うのだ。あれは一体なぜなんだろう? 以前隣に住んでいた(おそらく)中国人女性は、なかなかにヤバイ人だったのだけど……。

・隣人の女性

ここではその女性をSさんとしよう。私がSさんをこの目で見たのはたった1度きり。それも数秒程度で、挨拶はおろかすれ違ったりすることもほぼなかった。年齢は30代くらいだろうか? メガネをかけた大人しそうな女性で、正直それ以外の情報は何もない。

にもかかわらず、なぜSさんが中国人らしきことが分かったのか? それは、Sさんが自室で定期的に怒り狂っていたからだ。何かに対し激しくまくし立てながら、猛烈に泣き叫んでいたからだ。響き的におそらく中国語で、日本語じゃないことだけは間違いなかった。

・めっちゃ叫んでいる

私が住んでいたマンションの壁は、決して薄くはなかったはず。隣から生活音や音楽などが聞こえてくることはあまりなかったように思う。しかし、Sさんの泣き叫ぶ声だけはガンガンに聞こえてきた。あれは相当な爆音で叫んでいたに違いない。

Sさんの絶叫は、土日の昼下がりに聞こえてくることが特に多かった。それ以外は静かなもので、本当に誰か住んでるのかな? ってくらいにひっそりしていたのだが、一旦スイッチが入ると30分以上ずーーーっと何かを叫んでいるのだ。しかも一人で。

そう、最初は誰かと言い争いをしているのかと思ったのだが、よく聞くとSさん以外の声がまるでしない。え、独り言!? いや、もしかしたら電話だったのかもしれないが、一方的に叫んでいた気もするし……。真相は闇の中である。

・案外気にならない

そんな控えめに言ってもヤバすぎるSさんであるが、実は私はこの現象について、そこまで迷惑には思っていなかった。ああ、またやってんなーくらいの感覚だ。なんなら、Sさんの叫び声を聞きながら昼寝をしたこともある。

理由は簡単だ。何を言ってるのかまったく分からないからである。別に私は鈍感な方ではない。もしSさんが日本人で、聞こえてくるのが日本語であったなら、速攻で警察に通報しただろう。しかし、意味が理解できない言語だと、これが案外気にならないものなのだ。車や工事の音に近いと言えば分かりやすいかもしれない。

そういえば中国に行った時、電車の中で電話をしている人や音を出して動画を見ている人がいても、あまり気にならなかった。日本だったら絶対うるさく感じるはずなのに不思議だ。脳の構造上の問題なのだろうか?

もちろん私個人の感覚なので、日本語でも英語でも うるせーもんはうるせーんだよ! となる人は多いはず。ただ、Sさんの猛攻に特に何も感じなかったという事実については、自分でも面白い現象だったと思っている。もしあれが日本人だったら……と考えるとゾッとするが。

執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.