3月8日は「エスカレーターの日」なのだとか。その日にちなんで皆さんに尋ねたいのだが、エスカレーターの乗り方を知っているだろうか? 「乗り方なんてあるか!」、そう思う人がほとんどのはず。大抵どこの地域でも、駅や商業施設であればエスカレーターが設置されているものである。

しかし、離島になるとちょっと状況が違うのだ。島根県隠岐郡、中ノ島の海士町にはエスカレーターが1つもない。子どもたちはエスカレーターの乗り方を知らず、初めて遭遇すると戸惑うのである。

・信号は1カ所だけ

この島には信号が1カ所だけある。交通量が過密な訳ではないので、島に信号がなくても問題ないのだが、教育上の理由で設置されているのだ。


エスカレーターが設置されている建物は1つもなく、島から松江市に来ると、初めてエスカレーターに遭遇する子どもたちは戸惑ってしまうそうだ。「動く階段」に乗るタイミングがわからないので、親御さんが抱きかかえて乗せてあげるのだとか。海士町在住の中村徹也さんに伺うと、6歳の娘さんはいまだにエスカレーターに乗るのか苦手とのこと。


・自動改札も苦手

実はもうひとつ、島には無いが、最近松江市に導入されたものがある。それは、駅の自動改札だ。

松江駅では、2016年11月に自動改札が導入されたばかり。島には鉄道もないので、娘さんは当然通るのが苦手。中村さんによると、娘さんは虎が火の輪をくぐるみたいに、通る時に緊張していたそうだ。そして、無事に通れると思わず拍手してしまったという。

今一度、皆さんに問いたい。エスカレーターの乗り方を知っているだろうか? もしも明確に答えられるのなら、乗り方を知らない子どもに出会った時に、そのコツを教えてあげて欲しい。当たり前だと思うことほど、教えるのは難しいものだ。

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24